全国で記録的豪雨、火災保険の水災補償は本当に外して大丈夫?

台風と大雨の被害に遭われた皆様のお見舞い申し上げます。

各地に恐ろしいほどの爪痕を残した台風7号と大雨、豪雨は自然災害の怖さを我々に改めて教訓として教えてくれました。

平成になってからでは最悪の被害と犠牲になったそうです。

今回は被災を教訓として火災保険の水災補償が本当に不要としてしまっても良いものか、改めて検討してみたいと思います。

水災補償は加入率約3割、不要と考える人の理由の第1位は…

 

調査は全国の成人男女3,000人を面接形式で質問。

回答率60%(1,801名)が回答をしたそうです。

「10年以内に台風や集中豪雨などで被害を受ける可能性がある」と回答したのは44.5%、可能性がないと回答したのは52.2%だったそうです。

凡そ半数近い人はリスクがあると考えているのですが、残り半数以上はリスクがないと考えているようです。

火災保険に加入していて水災補償をつけていない方の理由については次のようになっていたそうです。

第1位「自宅周辺では水害は起こらない」43.4%

第2位「水害が起こっても被害は受けない」17.6%

第3位「保険料が高い」17%

 

第1位、第2位の考え方はかなり近いもので合算すると約60%を超えます。自分は災害に遭わないと考えている方が多いのはなんとも保険を提案している立場からすると「本当に?」と常々感じますが、価値観は人それぞれですから難しいところです。

また保険料を高いと感じて加入を見送っている人も17%と少なくないようで、「水害保険を知らなかった」も14.1%と一定割合いたそうです。

加入率約3割ですから、地震保険の加入率にかなり近く補償内容と保険料のバランスに不満を感じて加入を見送っている人が少なくない現状が伺えます。

 

火災保険の水災補償はどんな時に補償される?

ではこの水災、どのような時に補償がされるのでしょうか?「水災」という言葉から洪水などでの補償というイメージが先行している事が少なくありません。

保険金の支払い条件は保険会社によって微妙に異なる場合がありますが、原則として次のようになっていることが多いようです。

床上浸水

または地盤面より45cm以上の浸水

または損害割合30%以上

 

このいずれかを満たす事故が発生した際に火災保険の建物または家財補償の額を上限としてそれぞれの保険金が支払われるというものです。

次のようなリスクがある方は原則として検討をする必要があります。

1. 川や堤防・用水路の近く
2. 窪地や集中豪雨などを原因として、水が溢れて浸水するリスクのある場所
3.山間の土地

また立地ではないですが、住宅ローン返済中の方も予算が許すのであれば水災補償は外さないのが原則です。

特に忘れがちなのが3.山間の場合です。

いわゆる土砂崩れは破損・汚損ではなく水災補償の一部となっています。

今回の豪雨では土砂崩れによる被害も相当出ていると聞いています。

ローンが残っているのに家が土砂崩れや洪水などで流された、浸水した…家を復旧して、生活を再建するのにまとまった資金がある方であればともかく、そうでない方は水災補償について今回の災害を教訓に十分検討して欲しいと思います。

 

保険料の安さも大切ですが、「もしも」や「まさか」時の備えとして保険を考えるのであれば何でも節約すれば良いというのも考えものではないでしょうか。

 

平成30年7月豪雨の被害

まだ被災地では救援や救助が続いていますが、水災の災害の怖いところは水そのものによる一次被害に続いて、二次被害が広がる事です。

街に溢れ出した水は下水などの排水と混ざり衛生的とは言えません。

これらの水が床や壁などに触れてしまったという事ですから衛生的とは呼べません。また木造家屋の場合には柱などが水に浸された事によってカビや雑菌の繁殖や腐敗などが進む可能性もあります。

家財がそのような水に触れれば、それを再び使うことは衛生面から考えても避けるべきです。

また次の台風や大雨によって時間差でやって来る土砂崩れや排水能力への負荷が懸念されます。

 

ハザードマップの確認は最低限のリスク、それを上回る危険性は毎年あちこちで起きている

災害防止のために国や自治体は一定規模の災害に対する余力として都市の排水能力を確保していますが、近年はその想定を上回る雨量などが一箇所の地域に集中して降るゲリラ豪雨も珍しくありません。

気象庁よると「強い雨」の定義である50mm以上の雨が降る頻度は年々増えてきており、舗装された雨水を排水管などが処理しきれずに溢れてしまう都市型水災が目立ってきているそうです。

水災補償を検討する際にはハザードマップを見ますが、これらは通常の想定される範囲でのリスクです。

国土交通省は大雨の定義を1時間に50mmの大雨でも耐えられる都市の排水能力を基本としています。

しかしご存知の通り、近年では100mmを超える雨量も珍しくなく、100mmを超えると土砂災害の危険性がかなり高くなってくるのですが今回の豪雨は…

観測史上最大の降雨量だったそうです。

 

西日本の豪雨に限らず、ゲリラ豪雨などの都市型水災は東京などの都会でも起こり得ます。

 

上のハザードマップは東京都の中心部を表していますが、西側はほぼ全域で水災のリスクがあります。

一方で東側は神奈川寄りの地域と河川の近く以外はハザードマップ上は水災リスクがほぼないとされています。

では本当に水災補償を外してしまっても大丈夫でしょうか?

 

先程触れたように近年は異常気象で都市部でも気候が急激に変わることがあります。

2014年6月24日という梅雨の季節に東京では雹が降りました。

氷の塊が空から落ちてきたために屋根やベランダなどが壊れたという損害があちこちで出ました。

東京都調布市と三鷹市の一部ではなんと降った雹によって街路樹の葉が落ちて、その直後の大雨によって葉が排水口を塞いでしまい高台の土地にも関わらず雨水が住宅地に溢れて床上浸水になってしまった事があります。

下記にその現地を訪ねて歩いた専門家の意見が載っています。

損害保険の担当を長く勤めていた先輩FPの話では東京の西側で水災は付けたことが殆どなかったが、この事故以来、水災補償はマンションなどの高いフロア以外は必ず付けてまずは提案するようになったと言います。

また専門家曰く「ゲリラ豪雨の原因となる集中豪雨がどこで発生するかを予測することはできないし、短時間に集中して降る雨量がその地域の下水処理能力を超えてしまえば、これは都市部であればどこでも起きうる可能性があることになろう」とのことです。

 

日本で水災リスクが全くない地域は存在しない

日本は四方を海に囲まれ、高い技術力に基づいて治水事業を行ってきました。

<東日本大震災被災地で新しい防波堤が作られ、賛否が分かれている>

 

しかし現代の技術を持ってしても想定以上の自然災害は我々が忘れた頃にいつもやって来ます。

2015年9月には茨城県常総市では鬼怒川の堤防が決壊して地域一帯が壊滅的被害を受けました。

鬼怒川は歴史上度々氾濫をしてきました。そのため堤防も「100年に一度の大雨にも耐えられる設計」と言われていました。しかし自然の力はそれを上回り、堤防は200mに渡って決壊してしまい大災害となりました。

国土交通省による2016年の水災被害額は16,000棟、1,630億円となっています。

これだけ各地で毎年のように自然災害が起きている日本で災害のたびに「こんな事は長年住んでいるが初めてだ」、「まさかこんな事が起こるなんて」と驚きます。

人間が生きている時間はわずか1世紀ほどですが、自然は茫漠とした時間の長さをかけて循環しています。こう言ってしまっては何ですが、100年足らずの間にたまたま起きなかっただけで、いつどこでも起こり得るリスクと改めて考え直すことが必要ではないでしょうか。

保険は「もしもの時」「まさかの時」「万が一」のために加入する経済的リスクを多くの人と負担を分け合う仕組みです。

 

水災補償の有無は最終的には提案する保険担当者ではなく、常に契約者自身が決めることですから、迷った場合には予算が許すのであれば水災補償は付加するのが原則と考えることが大切だと私は考えています。

 

FPとしての意見

現在のところ、日本では火災保険加入時に水災の補償を付けるか、外すか。

選べるようになっています。

言い換えれば補償が必要であれば保険料を高いと感じていても付加して加入せざるを得ません。

水災補償を付ける場合には免責を付加することで例えば修繕に100万円以上かかった超えた部分だけ補償するという条件を付けることで保険料を安く出来ます。

または縮小特約を付ける事で損害率に応じて3段階、上限70%までの保険金しか出ないようにする設計をする事で保険料は幾分安くなります。しかし凄く保険料を抑えられるかは微妙なところです。

これらの考え方では免責を付けた時にはそれなりに大きな損害の時には助かりますが、軽度の損害の時には補償が得られず、縮小補償で加入した場合だと損害率が一定まで上がらないと十分な保険金が支払われず、保険料の負担を節約したいという志向の契約者には結果として加入を見送るという考え方になるのも商品設計上やむを得ない部分があるのではないでしょうか?

(保険の本質は手に負えない大きな損害が生じた時の補償だが、契約者の気持ちとしては上限額マックスまで貰えるよりも小さな損害でも受け取れた方が納得できる方が増えているのではないでしょうか?)

例えば補償額を建物の火災保険と常に同額ではなく、家財保険のように任意で水災時の補償上限を設定できるようにするとかでも契約が出来るようになれば予算に応じて加入率も向上するのではないでしょうか。

また現在は火災保険とセットでなければ加入が出来ないとなっていますが、これはいわば特約のような考え方です(火災保険が主契約、水災保険は特約)。

損害保険はあくまでも損失を補填する保険であるという考え方から2つの保険に加入していても片方から損失補てんがされると損失はなくなるので保険金がもう片方からは支払われないのですから、水災補償だけで保険金額を任意で設定して加入が出来る保険※などが何処かから出てきても良いのではないでしょうか。

※少額短期保険だと保険金額1千万円、1年契約が上限なので、それ以上加入したい場合は火災保険で水災補償に備えるとか。

水災(水害)補償だけの保険って賃貸用の家財保険の少額短期保険しか私はまだ聞いたことないんですが、建物の水災補償だけの保険って何処かから提供されているでしょうか?ご存知の方がいましたらお知らせください。

地震保険でさえ民間でも補償してくれる保険が登場しているので需要も多分あると思うのですが…S◯I損保さんや◯天少額短期保険さんあたり、開発どうでしょうか?

年8千円以内くらいだと負担感としては許容できそうって声もありますよ。|ω・`)ちらっ

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