増える「就業不能保険」と社会保障

就労不能保険ってどんな保険?

 

昨年7月からアメリカ系アヒルの会社がCMなどを始めて、

認知度また問い合わせが急上昇している「就業不能保険」はこれまでの

保険の考え方からさらに進化した全く新しいジャンルの保険です。

各社、それぞれに「就業不能」の定義が異なりますが、

主な会社による定義は次のいずれかになるようです。

 

①三大疾病など病気を起因とする60日以上の労働制限

②公的介護保険制度に連動する介護状態

③国の障害年金に認定された状態

 

この他に自治体が発行する障害手帳3級以上などを就労不能(制限)と定義する会社もあります。

いずれの状態を「就労不能」と定義するかによって給付の考え方が異なります。

 

死因の変化に見る就労不能リスク

 

日本人の死因のトップ3といえば「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」

いわゆる三大疾病ですが、2012年に脳卒中は第4位となり、

代わりに肺炎が死因の第3位と増えてきているというのはご存知でしょうか。

 

 

著名人の代表で恐縮ですが、2005年に読売ジャイアンツの元監督だった

長嶋茂雄氏が脳梗塞で倒れ、右麻痺や言語障害などを抱えた姿で

再び登場した時の姿を覚えている方も少なくないでしょう。

医療の進歩や応急処置、そして本人の努力によって

現在では死ではなくこのような後遺症と共に生きていく時代となりました。

電動車椅子や杖をついて街を行く方の姿が一昔前と比べても増えているのは、

脳卒中(または急性心筋梗塞)で亡くならない時代となりつつあるためです。

もちろん初期対応が間に合わなかったり、発見が遅れた場合には今でも命を落とす危険な病気です。

命を落とす危険性、そして幸いにも一命を取り留めてもその先に待つもの、

それは障害や介護などのこれまでとは全く変わってしまう生活です。

 

 

働き盛りの方がこの障害や介護を抱えると

①治療・療養費

②「収入の減少」という大きく2つの問題に直面します。

自営業の方は言わずもがな、サラリーマンや公務員でさえ直面するこの問題を保障するのが

この新しい保障領域「就業不能保険」です。

 

働き方によって異なる社会保障

 

ここまで脳梗塞を中心にお話してきましたが、様々な病気やケガなどが原因で

入院や自宅療養、また仕事に復帰できない状態が長引くと収入に影響を及ぼしかねません。

ある程度の貯えがあれば良いですが一生生活できるだけのお金を既に確保している人は殆どいません。

 

働いている時に入ってくる収入(フロー)を確保するというのは、

家計を維持する上でとても大切なお金の考え方です。

 

病気やケガ、障害や介護の恐ろしいところはそれらがひとたび起こると、

生活に必要な収入に加えて、治療費や療養費が発生します。

 

現在日本で販売されている医療保険は正確には『入院保険』で、

入院をしなければ給付を受けられないものが殆どです。

社会保障費の増大に伴い入院期間の短縮化、治療の日帰り化、通院の増加という変化が起きています。

加えて公的介護保障は40歳以上からで、事故やケガを原因とする介護状態の場合は

公的介護保険制度を利用したサービスを受けることができません。

 

このため民間の生命保険会社が提供する介護保険や障害保険、

損害保険会社の提供する傷害保険・所得保障保険を組み合わせてリスクに備えることも一つの方法です。

 

その際に理解しておいてほしいのが給与所得者と自営業者のリスクの違いです。

給与所得者は有給休暇、そして健康保険組合が休業4日目~最長1年6か月提供する『傷病手当』があります。

およそ収入の3分の2を就業不能であれば補てんしてくれます。

しかし3分の1は収入が減少してしまいます。

 

自営業者(個人事業主)の場合にはそのままダイレクトに収入がなくなります。

障害年金の受給開始は最短1年半です。

認定まで時間がかかることもあります。

その間の生活費だけでなく治療代・療養費は確保できているでしょうか。

備える手段として損害保険や生命保険があります。

損害保険は短期の補償、1年契約で保険金を受け取れる期間は最長2年です。

短期の契約のため保険料は廉価ですが、1年更新ごと年齢に応じて保険料は高くなっていきます。

また長期の補償としては弱いためサラリーマンの有給や傷病手当金代わりに契約をするのが一般的です。

 

生命保険での就業不能は対称的に60日の不担保期間が設けられていることが多い傾向にあります。

その後、60歳・65歳・70歳などの契約時に設定した年齢までご存命であれば給付金・保険金が支払われます。

アフラック「給与サポート保険」とはどんな保険?

 

2016年7月に発売開始された「給与サポート保険」は

公的保障である傷病手当や障害年金の受取に合わせた受取のタイミングを設定した保険です。

下記は給与所得者の社会保障受取例と給与サポート保険の受取例になります。

 

点線部分は給与サポート保険での給付タイミングです。

傷病手当受取時の不足する収入の3分の1を短期回復支援給付金

障害年金受取時には不足する収入を長期療養支援給付金が支払われます。

 

給付金額を休業前収入と同じになるよう設定しています。

最低給付金はいずれも5万円~設定可能です。

受け取れるタイミングが収入減のタイミングと連動している点は

「給与サポート保険」の良い点です。

一方で気を付ける必要があるのが次の6点です。

①休業から60日は給付金が出ない期間がある。

②うつ病などの精神疾患・妊娠・出産による就業不能は対象外

③給付金の支払要件は「公的保障とは原則として連動しない」

④就業不能証明を毎回する必要がある(保険料免除がない)

⑤契約年齢55歳がラスト。契約期間は最長65歳まで。(働き方の実情と合わない可能性がある)

⑥途中で亡くなると保険は消滅する。死亡給付金はないので、就業不能にならずなくなった場合には1円ももらえない。

 

給付要件は「働けない」と医師に診断書を書いてもらえるか

 

「給与サポート保険」の給付要件は医師に「60日以上働けない」と診断 書を書いてもらうことです。

そのためケガでも病気でも条件を満たせば給付金が支払われます。

他社が特定の疾病を原因として働けないことを要件にしていますが、

この点は「給与サポート保険」の良い点でもあり、デメリットでもあります。

病気やケガなどで仕事復帰まで2か月以上かかった方が約4人に1人。

精神疾患や妊娠・出産が給付対象でない点を除けば原因に制限がないのは非常に良い点です。

他社の就業不能と違う点がいくつかある

 

他社は支払要件を特定の疾病(三大疾病など)に限定しているため、

支払いまでのハードルは比べると少し高めです。

その代わりに保険金・給付金が一度支払われると保険料の払込免除、

保険金は保険期間満了まで支払われるという取り扱いにしている会社が多いようです。

 

また他社は死亡保険金とセットになっている会社が殆どです。

そのためその会社が指定する疾病などを原因とした就業不能とならず、亡くなっても

死亡保険金が支払われるという点では他社が優れています。

 

「給与サポート保険」は折角、公的保障と給付タイミングが連動しているのに

給付要件は「医師による診断書」となって公的連動していない点にも注意が必要です。

収入ダウン時に保険料が免除とならず保険料を払い続ける、

診断書(5,000円相当)を毎回負担するのは保険として私は不完全さを感じます。

 

保険会社としては1万円ほど保険金額を上げることで、

この両方をカバーできるという回答をしていますが

収入を維持できるという意味では確かにその考えは妥当なのですが、

実際に給付を受ける側の立場だとすると不満が残るのではないでしょうか。

 

こんな方にはおススメ

 

精神疾患に絶対自分はならないという方や、ケガをする可能性の高い趣味(スポーツなど)、

バイクなどのひとたび事故が起きれば脊椎損傷などのリスクの高い乗り物などに乗る方などにとって

ご自身が働けない状態になった時の備えとして「給与サポート保険」は現在唯一無二の商品です。

 

その一方で、生活習慣病(三大疾病など)のように食生活が乱れている、睡眠不足、

ストレスを抱えているなどの方にとっては介護保障や特定疾病による「就業不能」を重点的にしている

他の保険種類が合っているかもしれません。

 

前回、このブログでもその他の就業不能保険を比べてみたものがありますので参照にしていただければと思います。

→ FP Voice「注目の就業不能保険を比べてみた」

 

 

10月にそっくりの商品が登場するらしい。しかも…

 

ニッセイからこの「給与サポート保険」そっくりの保険が

10月には発売開始予定だそうです。

こちらは若干保険料が割高になる代わりに、

うつ病などの精神疾患を所定の回数まで給付対象としているとのこと。

 

日本の大手保険会社が参入することで、ますます注目度の高くなる『就業不能保険』

新しい情報が入りましたら随時更新をしていきたいと思います。

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