マルイがつみたてNISA専業のtsumiki証券を9月営業開始、クレカ払で投資ができる

若者向けのファッションビルやクレジットカードのエポスカード(旧赤いカード)などを手掛けるマルイ(本社は東京都中野区)が先駆けて報道されていたように第一種金融商品取引業者の認可を受け2018年9月より証券会社を設立します。

神奈川県川崎市溝ノ口駅前にあるマルイ溝ノ口店

 

→ tsumiki証券が第一種金融商品取引業者に登録されました~2018年9月 口座開設スタート~ 

日本初つみたて投資専業の証券会社「tsumiki証券」

旧来の証券会社とは異なり、対顧客向けでは一括投資ではなく積立投資専門の証券会社です。

マルイはエポスカード会員657万人のうち約半数となる20~30代の若い世代、更にその7割が女性であることを踏まえ若い世代の資産形成の相談先としてtsumiki証券を設立しました。

tsumiki証券の特徴は次の3点と言われています。

 

①フィンテック×店舗を活用した利便性の高い窓口

②初めての資産形成に重点を置いた積立投資専門会社

③日本初のクレジットカード払ができる投資信託購入

 

①フィンテック×店舗を活用した利便性の高い窓口

マルイは店舗網とWebを組み合わせた投資信託販売を目指すようです。

店舗で証券口座を開設する際にはオマモリを購入し、裏面のQRコードから証券口座へアクセスをするという目に見える形にこだわったそうです。

ネット証券の口座開設などはWebで申し込みをして、郵送された書類に印鑑などを押して返送をしてという流れがりました。

証券業界は未だに印鑑の文化ですが、マルイの参入によってペーパーレス化や口座開設までのスピードが短縮されるかどうかは期待したいところです。

 

またネット証券がWebのみで完結してしまう証券売買において、近年は対面相談を希望する投資家も増えている現状をマルイは店舗網を活用して対面相談とWebのハイブリットを実現できそうです。

ネット証券では独立系の金融商品仲介業者IFAとの業務提携によって補おうとしている課題を、既に全国各地に店舗を構えていることを活用することでカバーしようという試みになります。

 

②初めての資産形成に重点を置いた積立投資専門会社

 

将来への不安を抱えている多くの若者(働く世代)を中心に、

資産形成を促すことを目指すマルイの試みは金融庁が目指す積立投資普及の方向性とも一致します。

店舗とWebの相乗効果でこれまで投資へ踏み出せなかった層が投資へ踏み出すのか注目です。

マルイの発表では10年後に100万人、預かり資産1兆円を目指すとしています。

 

投資は初めてという方に投資を始めるきっかけとしてスタート時点では「つみたてNISA」対象商品4つをラインナップすることを発表しました。

当初選ばれたのはつみたてNISA152本のうち、

17本しか選ばれなかったアクティブ型のうち4本

③日本初のクレジットカード払ができる投資信託購入

生命保険の資産形成商品では既に始まっているクレジットカードでの保険料支払いに証券業界も動き出しました。

エポスカード(一括払)でのみ投資信託の積立ができるというのは日本の証券業界では初の取り組みとなります。※月々5万円の積立を上限

クレジットカードでの支払いによってポイントが付与されるなどのメリットも

FP Voice

新しいプレイヤーが参入するのは証券業界にとってはうれしい出来事と言えます。

特に既に店舗網を持つマルイのような業態の場合には出店費用を抑えることができ、新たに店舗を構えるコストを抑える効果が期待できるのは大きな魅力です。

 

一方で懸念されることがいくつかあります。

①ラインナップが独立系運用会社ばかり

このラインナップそれぞれの投資信託が別に悪いわけではありません。

むしろ世の中にある数多くのファンドより運用成績もよく人気のファンドと呼べます。

しかしつみたてNISAを軸に置いた投資をアドバイスしながら行うビジネスとして、

アクティブ型投資信託だけでラインナップを構成した点には疑問があります。

 

例えばコモンズ投信の「コモンズ30」は国内株式30銘柄に重点投資をするアクティブ型投資信託で国内株式100%

レオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」は日本で最も有名な投資信託ですが国内株式90%、外国株式10%

セゾン投信の2商品は外国株式、外国債券を組み合わせた「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」と外国株式に重点を置いた「セゾン資産形成の達人ファンド」です。

 

分散投資が原則であり、基本のつみたてNISAにおいて大切なのは投資家が既に持っている金融資産(多くは現預金)と投資家のリスクに対する許容度や経済、投資についての考えに合わせて組み合わせをすることです。

私は基本的にアクティブ型投資信託には肯定派ですが、155本のラインナップがあるつみたてNISAであえて4本すべてをアクティヴ型に設定した理由が不透明だなと感じました。

これら4本は考え方も運用方法も一見すると異なりますが、重なる部分も少なくありません。組み合わせて投資をすると連動してしまう部分が目立つことも考えられます。

スタート時点というだけで順次拡充をしていく予定だと考えられますが、

三菱UFJ国際投信やニッセイアセットマネジメント、アセットマネジメントOneなどインデックス型投資信託の主要会社が揃わなかったのは何故でしょうか。

 

また収益性に懸念があります。クレジットカード払ができるようになることは非常に大きなトピックスですが、一括払は金利が発生せず、ポイントが貯まります。

投資家にとってメリットが大きい一方で、マルイからすればつみたてNISAは販売手数料がゼロのノーロードファンドのみ。信託報酬は市場平均よりも安く設定されているファンドのため、キャッシュフローが悪いビジネスになってしまう危険性があります。長期的にはフローで入ってくる信託報酬ですが収益として黒字化するまでには相当の時間がかかると考えられます。

10年で1兆円を目指す預かり資産規模ということですが、そこから得られる収益はどうでしょうか。

ファンド名 信託報酬
コモンズ30 1.06%
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド 0.68%
セゾン資産形成の達人ファンド 1.35%
ひふみプラス 1.06%

仮に一人の投資家がまんべんなく4本の投資信託を1万円ずつ毎月購入してくれたとすると信託報酬の平均は1.0375%。

月4万円×12か月=48万円

48万円×1.0375%=4,980円

4万円の投資をしてくれる顧客がどれくらいいるのか、また運用によって積み立てられた資産がどれくらいのペースで増えるのか分かりませんが仮に資産が横ばい(運用利率0%)だとすれば年4,980円の収益になり、これを運用会社と分け合います。

どれくらいの割合で分け合うのかはわかりませんが、仮に50%ずつだとすれば一人の顧客から約2,500円の売上を得られることになります。

マルイの店頭で説明をする証券外務員の給料がどれくらいか、どのような給与体系や報酬体系か分かりませんが仮に会社から支払われる給与総額が30万円だとすれば一か月120人の顧客が月4万円の積立投資をしてくれると1年後からはお給料が人並みにくらいにはもらえるということになります。※一か月120人、ひと月30日だとすれば一日4人の成約です。

最初の一年間は無給で且つ365日無休で働いたとしてです。

こんなのはボランティアであってすでにビジネスの様相を呈していません。

最も金融庁はそれを証券会社や証券外務員に強いているのですから、どこかにそれを解消するような資金援助や他の収益でもない限りこのビジネスが成り立つことは相当に難しいと考えられます。

 

ちなみにつみたてNISAは販売手数料ゼロですが、一般的な投資信託(アクティブ型)の場合であればここに販売手数料が生じます。平均的な販売手数料は税込3.24%(税抜3.00%)くらいです。

するとこの月4万円の積立投資からは1,296円の販売手数料が毎月入ってきます。月間120人が顧客になれば一か月で155,520円の売上になり、販売手数料は販売をした証券会社がこれをそのまま受け取ります。これが毎月積み上がっていくのですから最初は大変ですが、一応ビジネスとして成り立つことが想像できます。

早晩、tsumiki証券はつみたてNISAと組み合わせて投資をする一般の投資信託の販売を始めることになるのではないでしょうか。もし本当につみたてNISAだけでこの事業を黒字化できたとしたらそれはかなりすごいことです。(自前の建物でテナント代が抑えられると考えても)

もしくはフィー方式にするかですが、現状の信託報酬の仕組みではなかなかフィー方式への切り替えは困難ではないでしょうか。

 

更に単独の証券会社の店頭外務員は投資に興味がある人に提案をしますが、マルイで投資には関心があるかないか分からない人にとりあえず話を聞いてみようという人は大勢いるかもしれませんが、成約率がどれほどのものになるのかは始まってみなければわかりません。(たぶん、相当厳しい)

マルイやMODIなどマルイが運営する商業施設の集客した顧客への付加サービスとしては良いが、

単独での収益化はかなり困難では…

 

〇天証券が黙っていないのでは…

ネット証券の大手、特に〇天証券は会社の事業を再編して金融事業、通信事業などにしました。

金融事業の中には生命保険、損害保険、少額短期保険だけでなく〇天銀行、〇天証券、そして〇天カードもあります。

金融事業のシナジー効果を考えればこの会社がいつまでもクレジットカードでの積立投資に乗り出さないということは考えづらいのではないでしょうか。

クレカ払いの独占はそんなに長い時期続かないでしょうし、その独占が崩れた時にtsumiki証券は果たして取扱ラインナップも多いネット証券などとどう差別化を測るのか気になるところです。

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