決算対策に生命保険は本当にお得か?

9月は企業の決算期という会社も少なくありませんね。

今期の着地予測から利益を来期はどう活用するのか。

経営者にとっては楽しみでもあり、苦しみの時期でもあります。

決算といえば、今期の利益から税金を払うのかも悩みどころの1つです。

誰も脱税をしろとは指南しませんが、賢い経営者は節税や税の繰り延べを検討します。

様々なスキームが生まれては消えていくものですが、永延と続いている方法の一つに

「生命保険」を活用した『税の繰り延べ』があります。

今回は法人契約による生命保険、法人保険についてご紹介します。

 

保険で決算対策ってどういうこと?

 

法人保険で代表的なのは全損と呼ばれる契約です。

「全損」とは「金」の略称で、

企業の税引き前利益から保険料を経費に全額参入をしてしまう方法です。

利用には諸条件がありますが、条件さえクリアすれば合法的な課税の繰り延べとして

簿外資産を作ることができます。

 

決算のスキームとしては昔からあるのですが、多くの経営者はそれらのスキームに詳しくありません。

また税理士や会計士でさえ、残念ながら法人保険税務に強い方は殆どいません

このジャンルにもっとも精通しているのは保険募集人です。

また経営コンサルタントも次いで詳しいことごあります。

そのため顧問税理士や顧問会計士に確認するだけ無駄または反対されるのがオチです。

よって反対して欲しい場合は顧問税理士や顧問会計士に確認をするのが正解です。

 

税理士は税金の計算をするのが仕事です。

国から許可されて国税庁管轄のもとで仕事をする事が特別に免じられた税金の計算をするのが税理士です。

税理士に税の繰り延べを確認するのは警察にこれは犯罪かを確認するような行為に他なりません。

 

また会計士も同様です。会計士の仕事は会計監査が主な仕事です。

上場企業が決算の数字を誤魔化していないか、不正はないかを見極めるのが業務です。

課税の繰り延べは適切に扱うと違法ではありませんが、

決算の数字を調整する意味ではやはり確認するべき相手ではないでしょう。

これって合法?と思ったら確認する方法

 

それが合法かどうか?

それを確認するのは経営者自身が判断をするしかありません。

税理士にも会計士にも相談を出来ない…

ではその方法が合法かを確認するにはどうしたら良いのでしょうか?

確認の方法はたった一つです。

スキームが合法かどうかは国税庁の通達を持って判断できます。

 

【長期平準定期保険 半損の通達例】

 

保険募集人から法人保険を提案されて迷われた際には

「このスキームは国税庁の通達の何処に出ていますか?」と必ず確認して下さい。

答えられない、または解答を用意していなければ契約は見送るべきでしょう。

 

言い換えればまだ通達のない事例はグレーな契約であることを押さえておけば、

違法または怪しい契約をする事がありません。

 

調べ方はYahoo!やGoogleなど検索エンジンを活用すれば簡単です。

提案されている保険種類と「通達」「国税 通達 ○○(保険種類)」などで検索をすると容易に出てきます。

あとは上のような通達文を読み理解し、判断するだけです。

通達には(法人税基本通達9-3-5)のように通達番号が振られています。

この解釈が適法かどうか、これを確認する相手は所轄税務署です。

その確認を代行してくれるのが顧問税理士です。

 

全額損金?半額損金?

 

法人保険を活用した決算対策でよく議論になるのが

経費化の種類です。法人契約にはいくつかの種類があり、代表的なのは先ほど既に挙げた全損(全額損金)。

その名の通り保険料100%経費化できます。

その他にも半損や4/1など様々あります。

半損は半額損金(半額資産計上)ですので節税効果は半分しかありません。

では半損にはどんなメリットがあるのかといえば

長期のキャッシュフローの改善、若い従業員の退職金積立などに効果的です。

 

全損は比較的短い期間(5年〜10年以内)で返戻率のピークを迎えることが多く、

その後の返戻率は低下していきます。

このため黒字になるから取り敢えず決算対策として

法人保険を契約するのは愚の骨頂です。

 

来期、翌来期なども保険料は払いつづけなければ保険は失効して、

会社にとってはただ掛け捨ての保険にお金を払っただけになりかねません。

個人保険と同様に払いきれる無理のない保険料で契約をすることは必須です。

 

また出口対策をきちんと考えていないとりあえず契約が後を絶ちません。

結局、決算が好調な時に課税されてより税金を多く支払うことになる会社もあります。

保険に入れたお金を解約などでキャッシュアウトさせると雑収入扱いで課税されます

将来を見据えた加入内容とは決して言い難いのが日本の多くの法人保険に見られます。

 

日本の法人保険の有効契約は残念ながら非常に短命です。

約半数近くの契約で5年と持ちません。

これは如何にその場しのぎの決算対策を多くの経営者や

保険募集人がしているのか、ということの現れでもあります。

 

私の個人的な感覚では8割の法人保険は適切に契約されていません。

それは保険募集人がただの営業マンの場合、保険業界の経験や知識が乏しい場合、

中小企業連合会などの組織からの馴れ合いで付き合いのある保険会社の方から

適当に加入している場合など様々です。

既にご紹介をした上記の内容を踏まえ、加入内容や出口対策がきちんと考えられているのか

今一度確認をすることをお勧めします。

 

契約が長く続いているのはどんな場合?

 

法人保険で長く継続して保険を続けている場合が例外的にあります。

それが役員退職金の積立、また従業員の福利厚生のための法人保険契約です。

一般的な退職金積立は決算後の税引き後利益、つまり法人税を支払った後の残った現金から

貯金のように積立をしていきます。

しかし法人保険の契約は税引き前利益から積立が可能です。

どちらが原資が豊富に積立できるかは言うまでもないでしょう。

 

また現在日本では法人税の引き下げが進められていますので、

今年よりも来年。来年よりも再来年の法人税率の方が低くなることがあります。

課税の繰り延べは法人税の支払い時期をずらし、

会社にとって適切なタイミングで納税をする事ができます。

 

払うべき税金を払わないのは脱税で違法ですが、

払う時期を決算前に経費貸してしまって、ずらすことそのものにルールを課してはいません。

結果的にスキームや通達が理解できる経営者にとって

生命保険の法人契約は合法的な課税の繰り延べ方法であり、

簿外資産を毎年課税前利益から積み上げるのに非常に有効な手段です。

 

但し、無数にある保険会社と保険商品それぞれに使い方の特徴があります。

それらを全て理解している保険募集人はおそらく殆どいないでしょう。

なので法人保険の提案を受けたら、まずはその担当者との関係性を構築することが大切です。

保険は信頼できる人から加入するべきです。

その信頼は人から紹介されたからという恩義などではなく、

経営者自身が保険の担当者を見極める目を養うことでもあります。

 

あなたは信頼できる保険の担当者を自分の会社経営のブレーン(頭脳)として接していますか?

損得だけのお付き合いだとしたらその契約は将来の火種になるかもしれません。

 

法人保険を活用する決算対策

 

会社を経営するというのは大変なことです。

会社生存率(存続率)というものがあります。

会社が生き残るというのは本当に大変なことだというのがこの数字からも読み取れるでしょう。

5年で14%、10年で6%、20年で0.4%…これだけしか生き残れない厳しさの中で

会社は利益を上げていかなければ企業活動を続けることができません。

 

企業活動とは社会に商品やサービスなど付加価値を付けたものを提供し、社会の発展に貢献することですが、

企業が存続するのこと、従業員の雇用や取引先などの協力や協業なども含まれます。

 

企業は決算という節目ごとにその成果を報告する義務があります。

黒字であれば法人税を支払いますが、赤字でも国は何かをしてくれるわけではありません。

創業から何年か赤字続きでやっと黒字になったら、税金を持っていくのがこの国の税制です。

企業は賢く、自分の身は自分で守る必要があります。

言い換えれば自分の身を守ることが出来ない、

国や取引先や社会がなんとかしてくれるという考えの企業では生き残っていけません。

 

法人契約の生命保険、法人保険はこの企業の経営の数字を創業期から企業の成長期、

また事業承継などの様々なシーンで活用できます。

是非自分たちの状況に合わせた自助努力、自主防衛の方法の一つとして

その仕組みを活用してくださいね。

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