変額保険にあんしん生命が新規参入~マーケットリンクってどんな商品?

2017年8月より変額保険を新たに取り扱う保険会社が登場しました。

変額保険の新規参入は2009年のアクサ生命以来およそ8年ぶり。

この背景には円建保険の予定利率が史上最低を更新したことへの対策もありますが、

来年1月に始まる積立NISAとの業界を超えた資産形成市場への挑戦があります。

1.変額保険とはどんな仕組みの保険?

 

変額保険は投資信託の仕組みを利用した

資産形成・資産運用を目的とした保険商品です。

通常の保険商品の運用は国債で運用していましたが、

運用対象を国債ではなく各保険会社が選定した8~10種類前後の投資信託(ファンド)を利用します。

 

投資信託で運用益が上がった場合、保険の解約返戻金(A)や保険金額(B)に充当され

運用実績に応じて解約返戻金や保険金額が変動する保険種類です。

 

死亡時・高度障害時などの保険金額は最低保証が設けられています。

また解約返戻金や満期保険金に最低保証はありません。

 

<種類>

通常の生命保険の種類と同様にパターンが存在します。

・定期型・・・定期保険タイプ。所定の期間のみ保障する。

・有期型・・・養老保険タイプ。所定の期間のみ保障する。

満期時に満期保険金を一括・分割などで受け取る。

・終身型・・・終身保険タイプ。一生涯の保障をする。

満期がないため、払込満了後もずっと運用を続ける。

 

<取扱会社の一覧と特徴>

ソニー生命・・・変額保険(定期型)(有期型)(終身型)、変額個人年金

日本で最も変額保険の取扱歴が長い保険会社。

解約返戻金重視型(A)、保障重視型(B)と選べる。

また定期型・有期型・終身型、変額個人年金保険の全タイプを扱う唯一の会社でもある。※定期型は法人契約のみ。

終身型では株式50%までと制限が設けられているが、

代わりに三大疾病保険料払込免除特約を付加可能。定額払済のみ。

 

モルガンスタンレーなどの投資助言をソニー・フィナンシャルが受けて、独自に運用。

アクティブ型の世界株式の運用実績は国内の全投資信託と比較してもトップクラス

1989年スタートで2017年7月末まで10%超の利回りと断トツ

予定利率3.5%

 

プルデンシャル生命・・・アメリカ資本の生命保険会社。現在は変額保険(終身型)のみを取り扱う。

ソニー生命に次いで日本では変額保険の取り扱いの歴史がある。

変額保険一時払を唯一取り扱う。

定額払済・変額払済が唯一選べる保険会社。

独自ファンドとしてJ-REIT(日本の不動産投資信託)の運用実績は堅調。

外国株式ファンドはETFを採用。運用は子会社に委託し、運用実績は手堅いが、一時払の特別勘定のみレポートを公開しており平準払いの運用実態は非公開のため投資判断は難しい。

元本確保型をファンドの中に持たず、資産形成・運用よりも保障性を重視(B)の傾向。

予定利率3.5%

 

アクサ生命・・・フランス資本の生命保険会社。2017年時点で世界最大の生命保険会社。

クレディスイス、エクイタブル生命など歴史ある欧州系生命保険会社が複数社合併して誕生。

欧州系資産運用会社の大手アライアンスバーンスタインがアクサ生命資本のため、同社の商品のファンド構成でも一翼を担う。

変額保険(有期型)のユニット・リンクで資産形成に最も知名度の高い商品を保有。

日本での発売開始から8年経過し、運用実績の高いアクティブ型を保有。外国株式プラスファンドの直近5年間の運用利回り15%超と驚異的な成績を記録している。

保障よりも資産形成(A)を重視したタイプ。

バランスファンドも充実しており平均9%~12%と高いパフォーマンスを発揮している。

2018年初頭のファンド追加で更に注目を集める。

クレジットカード払による保険料払込に唯一対応。変額払済に対応。特別条件引受アリ

予定利率3.0%

 

あんしん生命・・・日本最大の損害保険会社、東京海上日動グループ資本の生命保険会社。

2017年8月より変額保険に参入。東京海上グループの資産運用会社と、

野村アセットマネジメントによるファンドを中心に組み合わせた8種類のファンドすべてがインデックス型

海外REITを唯一取り入れており、海外の不動産投資へ間接投資ができる。

信託報酬国内の投資信託を含んでも最安グループに属し、積立NISAと真っ向からぶつかる商品。

タイプはもちろん有期型の資産形成(A)重視型。変額払済。特別条件引受不可

予定利率2.75%

 

2.貯金から資産形成へ

 

『貯金から資産運用へ』を旗印にバブル崩壊後の日本は投資へのシフトが求められてきました。

その一方で景気後退、リーマンショックなどを経て日本人の投資への熱は冷めつつあり、

国の方針はいつしかトーンダウンしていきました。

2014年に始まったNISAはその投資への動きを再び加速させるものでした。

それに続き2018年積立NISAが始まります。

 

この間、日本では生命保険業界による変額保険も実に控えめに営業されてきました。

 

生命保険会社は銀行に次ぐ個人資産を預かる金融機関。

その集まってきた保険料を効率よく融資や運用をする必要がある機関投資家です。

変額保険は特別勘定と呼ばれる、一般の保険とは別に管理することが求められ、

資産を適切に運用をするために厳選した運用会社によるファンドを用意しています。

自社の運用会社だけでなく、他社の運用会社に依頼することも珍しくありません。

世界では資産形成の方法として投資信託を活用する方法と並んで、

変額保険での資産形成は主流の方法です。

ソニー生命が1989年から長年取り組んできた変額保険というジャンルに、

プルデンシャル生命、アクサ生命が参入し、市場を作ってきました。

 

 

上の図はアメリカのFRB、またイギリスのBOE、日本の日本銀行など中央銀行が提示し、

日本の金融庁が作成した各国の家計金融資産構成比です。

日本は現預金での資産保有がまだまだ圧倒的に多い一方で、

株式や保険・年金などの資産保有が少ないことが分かります。

特に株式投資の割合はアメリカと比べてかなり低いことが危惧されています。

 

また水色のラインのように変額保険などの間接保有を含む株式・投資信託の保有を重ねると

保険・年金ジャンルにおける変額保険の普及は現在の2倍前後まで増える余地があります。

(オレンジの部分と水色の枠の部分が現状の変額保険のシェア。

日本ではまだ4%ほどしかないが、英米では16~24%と大きなシェアを占めてる)

 

金融庁の森長官のアナウンスにもあるように資産形成をしていくうえで

複利の効果は最大限に活用したいところですが、

現在のNISAは5年非課税と複利の効果を得ることが殆ど出来ません。

 

複利効果を最大限に得るためには税制優遇または商品設計上、

運用益非課税(複利運用)』を確保できていることが大前提ですが、

これを日本で実現しているのは積立NISADC/iDeCo変額保険だけです。

 

 

 

2014年に先行して始まっているNISAは国民金融資産1800兆円の『貯金から投資へ』を促す税制優遇政策でした。

1800兆円のこれらの資産の70%以上を60歳以上の高齢者が所有しており、

対象者は必然的に金融資産を既に保有している方となります。

 

一方で現役世代の毎月の給与からの貯蓄、資産形成に合わせた税制優遇政策は

2017年1月に大幅な対象者の拡大をした確定拠出年金(DC)、個人型確定拠出年金iDeCoや

2018年1月から始まる積立NISAなどです。

積立NISAも非常に期待の制度ですが、拠出枠の年40万円と小さい枠である点や

現役世代を主な対象と考えると保障付きである変額保険を組み合わせておくことが

有効な活用方法となる方も出てくるでしょう。

 

変額保険は上記のように3つのリスクに一度に備えることが出来る商品です。

 

①万が一のリスク、②老後のリスク、③インフレのリスク

変額保険だけが万能な商品ではなく、NISAや積立NISAなど

それぞれの特徴を踏まえてリスクに備えることが大切です。

 

以下は各種制度との主な特徴の比較です。

 

制度・商品 加入目的 メリット・特徴 留意点 死亡保障
税メリット 特徴
支払時 期間中 受取時
iDeCo 老後資産形成 ・節税効果

・ポータビリティ

・各種手数料がかかる

・投資知識などが求められる

・60歳まで原則引き出し不可

・掛金制限

×
NISA 資産形成

(短期~中期)

・加入者範囲、中途解約の制限なし

・対象商品が豊富

・投資知識などが求められる

・掛け金120万/年

・5年間

・損益通算対象外

×
積立NISA 資産形成

(長期)

・40万/年

・20年間

・損益通算対象外

×
変額保険 保障の確保と長期資産形成 ・加入者範囲、中途解約の制限なし

・制度設計の柔軟性

・契約者貸付

・継続性(払済)

・ファンド運用/構成に担当者のサポートあり

・加入時の健康状態制限アリ

・10年以内の解約控除

・契約失効リスク

 

また変額保険の受取時のメリットの一つに年金受取などのバリエーションが豊富な点です。

一括または10年分割の年金、もしくは終身保険への変更が可能です。

 

 

<終身保険への切り替え>

老後、実際に歳を取ってから保険に加入することは大変困難です。

そこで満期保険金を終身保険に切り替えられるなど死亡保障や相続対策としても活用できます。

終身保険への変更は10年超の保険料払込が条件となっていますので、

日本のマイナス金利がその頃には改善して利率が良ければそこで固定の運用へ切り替えるのも方法の一つです。

(10年国債までがマイナス金利ですので、10年超は超低金利が続く可能性が濃厚です)

 

3.あんしん生命が目指す資産形成とは

 

 

東京海上日動あんしん生命は親会社に日本最大の損害保険会社、東京海上日動火災を持つ生命保険会社です。

自社が持つ東京海上アセットマネジメントを中心に低コストのファンド8つで変額保険へ2017年8月に参入しました。

ファンドの構成は一般的ですが、特筆すべき点は信託報酬(手数料)の安さです。

特にバランス型と呼ばれるバランス40型・バランス60型の手数料の安さは

日本の投資信託全体と比較しても最低水準となっています。

 

最も競合するアクサ生命のユニットリンクの信託報酬は次のようになっています。

あんしん生命のバランス40型にあたるのが『安定成長バランス型』、

バランス60型にあたるのが『積極運用バランス型』です。

 

二社を比べるとほぼ2倍近い信託報酬の差があります。

あんしん生命の変額保険の基本的な考え方は4月にアナウンスがされた森長官の指摘にある

手数料の安いインデックス型主体の長期・分散の資産形成です。

低コストを意識して資産運用をされる方は

あんしん生命の『マーケットリンク』非常にニーズとマッチするのではないでしょうか。

 

一方でアクティブ型の利点やインデックス型のデメリット、運用実績などを重視される方は

その他の生命保険会社が提供している商品と比較してみるのもよいでしょう。

金融商品はそれぞれに特徴があります。是非自分の考え方に合ったプランを見つけてくださいね。

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