今更聞けない火災保険・家財保険・地震保険の考え方

戸建てであれ、マンションであれ自分で所有するマイホームを購入した際には

「火災保険」へ加入することが求められます。

火災保険は任意保険ですが、自動車における自賠責保険(強制保険)のような役割があります。

任意とはいえほぼ全ての方が加入するため事実上の全員加入保険です。

 

何故、多くの人が加入しているのかといえば火災の際には「失火責任法」というものがあり、

失火によって他人の家からの延焼した場合であっても、失火者に「重大な過失※」がなければ、

損害賠償責任を負わせないことになっています。

 

他人の失火による火事であっても賠償請求できない…

そのために自らの失火でないとしても、自分の家は自分で守るという考え方に基づき多くの方が加入をしています。

※重大な過失とは個別に判断されます。下記はその一例です。

軽度な過失であっても、二度目は認められないことがあります。

  • 台所のガスコンロに天ぷら油の入った鍋をかけて加熱中、その場を離れて出火させた場合
  • たばこの吸殻が完全に消えたことを確認せず、その吸殻を紙類が入ったビニール製ごみ袋に入れて放置したまま外出し、出火した場合
  • 漏電の可能性があり回線修理等の指摘を受けたが、適切な措置を講じなかったため、漏電により出火した場合 など

 

 

火災保険ってどんな保険?

火災保険と一口に言っても幾つかの保険を組み合わせた保険を示していることがあります。

  1. 火災保険
  2. 家財保険
  3. 地震保険
  4. 個人賠償責任補償特約

 

1.火災保険とは

自分の自宅が所定の災害によって損害を受けた場合に

修繕・修復のための費用の補てんを目的として保険金が支払われる損害保険です。

 

補償の範囲は任意に選ぶことが出来ます。

  • 火災
  • 風災・雪災・雹災
  • 水災
  • 破損・汚損(破汚損)

 

「火災」は文字通り、火事によって住宅が燃えてしまった場合に補償されます。

 

「風災・雪災・雹災」は台風によって屋根や外壁、窓ガラスなどが損害を受けた場合に、

「水災」は高波や大雨などにより土手などが決壊、床下浸水・床上浸水などの場合に、

「汚損・破損」はその他の急激かつ突発的に発生した際の損害に保険金が支払われます。

 

例えばマンションの中層階以上や高台に建つ自宅の場合に水災の可能性は殆どありません。

「殆ど」と断っているのには例外的に高台などでも水災被害が起きたことがあるためです。

 

マンションの周辺に雹が降り、街路樹の葉が道路に散乱した後で大雨となりました。

大量の雨によって流された落葉が道路脇の排水溝に流れ込み、詰まり、

高台にも拘らず水災被害(床下浸水)に至ったケースなど。

 

可能性がないとは断言できない、そのために高台などであっても低層階の場合には

水災に対する補償を付加することは検討されてもよいでしょう。

 

2.家財保険とは

自宅の中にある家財(家電・テーブル・食器・タンス、ソファーなど)を補償する保険です。

保険会社によって補償する範囲が微妙に異なり、

例えばパソコンに関してはデスクトップパソコンのみを補償対象とする保険会社と、

ノートパソコンも補償対象とする保険会社が存在します。

前述の火災保険と比べて保険料が割高な傾向がありますが、

保険金請求の頻度は圧倒的に家財保険が多いのが実態です。

そのためしっかりと比較して加入を検討したい損害保険の一つです。

 

火災保険とセットで提案されることが多いですが別の独立した単独の保険です。

セットで加入しても割引になったりしないので、必要な補償内容や保険料から

火災保険と家財保険を別々な保険会社で契約するのもアリです。

 

3.地震保険とは

 

阪神淡路大震災、東日本大震災など大きな地震のたびに注目をされご存知の方も多いですが

「地震・噴火またはそれに伴う津波※」による被害を補償する、

国と損害保険会社が持ち合いで運営している損害保険です。

※”それに伴う津波”と断っているのは高波とは区別しているためです。高波は火災保険の水災の補償対象です。

地震保険の加入を検討する際、特に気を付けてほしいのが以下の点です。

 

・火災保険とセットでしか加入が出来ません。

・補償額は火災保険の最大50%かつ5,000万円までが上限

・都道府県ごとに保険料が異なる

・地震保険はどこで加入しても同じ保険料、保障内容

・補償期間は地震発生(本震)から10日以内に発生した被害に対して

 

地震保険を付加しておくと地震によって建物の被害だけでなく

地震被害による家財の補償として食器棚・タンス、テレビなど

家財が壊れた場合にも補償を受けることができます。

 

保険金は火災保険とは異なる損害の段階によって区分されています。

詳しくは日本損害保険協会の下記ページをご参照ください。

地震保険とは、どんな保険ですか?

 

地震保険の意義は生活の再建費用ですので、長大な契約はできません。

しかし50%では足りない!という方は

損害保険会社によっては独自に上乗せ補償を引き受けしてくれる場合があります。

 

4.個人賠償責任補償特約とは

 

個人賠償責任補償特約は火災保険または自動車保険、傷害保険などに付加することが出来る特約です。

特約ですので単独での加入は原則できません。

 

これまでご紹介してきた通り、火災保険・家財保険・地震保険は全て

自分のための保険です。

しかし「自宅から火災が発生して隣家に延焼してしまった」

「(マンションなど共同住宅で)下の階の家に水濡れ」など周りの人に損害を与えてしまった場合に、

その損害を償う保険が個人賠償責任補償特約(通称、個賠)です。

 

この特約は火災保険や自動車保険に付加しても自宅にいる時や

自動車で出かけた時に限定しないのも大きな特徴です。

つまり日常生活で起きる様々なトラブルにもこの特約は有効です。

また同居の家族(配偶者や親族など)や

別居中で未婚の子(職場や大学などに通うため一人暮らしなど)も対象としてくれます。

 

・自転車で高齢者と接触して、寝たきりにしてしまった

・キャリーバックを引いていたら人や車と接触してケガ・破損させてしまった

・外出先で食器などを見ていたら落として壊してしまった

 

日本でも賠償請求は年々高額になってきています。

特に相手をケガさせてしまった場合や、寝たきりなどの状態になった場合には

約1億円の賠償請求がされた事例などもあります。

 

2008年9月、神戸で自転車事故が発生。

当時11歳の少年がマウンテンバイクで走行中、散歩をしていた60代女性に正面衝突。

女性は頭を強く打って意識不明に陥り、以後、寝たきりの生活を余儀なくされました。

2013年、神戸地裁は少年の母親の監督不行き届きを理由に、加害者側に9,500万円の損害賠償金の支払いを命じました。

 

加害者少年の母親は、事故による損害賠償を補てんする保険に未加入でした。

賠償金を負担しきれず、判決翌年には自己破産。

結果、被害者側は慰謝料などの支払いを受けることができないまま、家族全員が苦しみ続ける結果となりました。

さらにこの判決を受け、全国のあちこちで自転車事故に関連する損害賠償金の請求訴訟が行われるようになりました。

結果、前述の加害者側と同じく、自転車事故の保険に入っていなかったばかりに、自己破産を申請する人も増加しました。

 

多くの保険会社は「1億円」を上限に引き受けをしてくれていますが、

会社によっては保険期間を短く設定することで「無制限」で引き受ける損害保険会社も登場しています。

火災保険または自動車保険に加入の方はどちらか一方に付加ができますので、

是非加入をして欲しい補償の一つです。

※近年はクレジットカードの付帯サービスとして、また賃貸契約の際の火災保険にも特約として付加されているケースがあります。

補償内容をよく確認をして重複することのないように気を付けましょう。

損害保険は複数社で契約をしていても重複しては保険金を支払わない仕組みを原則としています。

 

保険会社によって異なる強み

 

火災保険は基本的な補償内容だけでは差別化が困難な保険の一つです。

そこで損害保険会社は特約(オプション)によってその差別化を測っています。

片づけ費用もお支払いするなどの特約

例えば残存物片づけ費用特約などのように

火災が起きた際、保険金が支払われたとしてもそれは建物の住み替え費用として使われてしまいます。

現地に残った燃え残りについて処分する費用はどこから捻出するのでしょうか?

火災保険で支払われた保険金の一部を充てることも可能ですが、

そうすると住み替えのための費用が減ってしまいます。

そこで火災保険の保険金とは別に片づけ費用を別途で支払うなどの特約を用意する保険会社があったりします。

 

なるほど、確かにこれらはあるとよりいざという時は便利そうです。

各社同じような特約があるのですが保険金の支払い時期が異なったりします。

立て替え払い(領収書を添えて請求した後で保険金が出る)や

前払い(見積もり書を元に、片づけ費用としての保険金を先に支払う)など様々です。

 

保険料の安さなどを武器にする保険会社も

 

差別化が難しいコモディティー(大衆化)した商品の行きつく先は価格差になります。

かつて自動車保険がインターネット経由で加入すると大幅に安くなると宣伝したのと同様に

自社の募集人(外交員)を抱えず、CMや広告を極力しないことでコストを抑え保険料の安さをウリにしている

損害保険会社も存在します。

 

 

また生命保険のように払込総額より何十%も増えはしませんが、貯蓄型の火災保険が存在したりします。

返戻率100%を少し超える程度ですが、火災保険に支払う保険料が掛け捨てだと勿体ないと感じる方で、

預貯金に置いておくだけで用途の定まっていないお金を活用するという点では有りな選択肢と言えるかもしれません。

※但し保険料は数百万円単位になります。

 

保険加入の難しさと担当者の重要性

 

生命保険がそうであるように、損害保険もまたインターネットで単純比較で加入をすることが困難な商品です。

約款やパンフレットに全て書かれているとして、その内容を一般の方が適切に理解して選べるのかといえば

それは事実上不可能です。

 

生命保険募集人や損害保険募集人はそれらを理解し、契約を考えている人に

平易な言葉で理解する手伝いをすることができる数少ない職業と言えます。

また生命保険・損害保険どちらにも言えることは加入時の大切さ以上に重要なのが

保険金請求の時に相談できる担当者かどうか、ではないでしょうか。

 

極論を言えばヒアリングや見積もりから説明、契約時の時の担当者と

保険金請求の担当者が同じであること、契約者と募集人は意思疎通が図れて、

お互いに尊重できる関係性であることが重要だと言えます。

 

募集人は様々な事例を学んでいます。また様々な事故対応や保険金請求の経験をしています。

事故が実際に発生した時にこんな事があった、こんな保険金が役に立ったなどの事例は

契約時に提案する補償内容や保険金額の設定根拠、会社選定にも反映していきます。

 

しっかりと自分で理解して、納得できる保険の選び方は損害保険でも生命保険でも変わりません。

様々な補償が提供されている時代だからこそ、良く比べて自分に合ったプランを選びたいですね。

 

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