節税目的ではじめる確定拠出年金のデメリット

確定拠出年金のセミナーや導入時教育、ライフプランニング表の作成をしていると

『節税になるから』とその加入を検討されている理由を教えてくれます。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は確かに拠出額上限まで全額所得控除という大きな魅力を持っています。

しかし、控除と節税は意味が似ているようで違うということをご存知でしょうか?

1.控除という仕組み

控除とは課税所得から差し引く仕組みで、その差額に対しての税金が還付される仕組みです。

図にすると次のような形になります。

③本来支払われる税金と、④控除後の所得税額の差額が還付されるというのが

個人型確定拠出年金や生命保険料控除はこのような仕組みになっています。

控除には一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の他

地震保険料控除、寄付金控除、小規模企業共済等掛金控除など様々な控除があります。

個人型確定拠出年金の掛け金は小規模企業共済等掛金控除の区分になります。

控除という仕組みで忘れてはいけないのが所得税が戻ってくる仕組みというだけでなく、

税の繰り延べであるという点です。

税の繰り延べとは、今払うべき税金を将来に持ち越すことを意味します。

つまり控除を受けて還付された税金は払わなくて良いという意味ではなく、

将来の年金や一時金として受け取る時に支払う必要があるという点です。

2運用益の非課税に潜む時限爆弾

確定拠出年金のメリットとして運用益の非課税が挙げられることが多いですが、

私はこの「非課税」という言葉は正確ではないと考えています。

非課税とはその名の通り税金がかからないという意味のはずです。

しかし確定拠出年金は後述する受取時に税金がかかります。

これは非課税ではなく前述の控除と同じく『課税の繰り延べ』が適切な言葉だと考えています。

またパンフレットなどにも取り上げられている『運用益の非課税』の部分をよーく目を凝らして視ると・・・

「※積立金には別途1.173%の特別法人税がかかりますが、現在まで課税が凍結されています。

特別法人税は企業年金等の年金積立金に課税される税金で、

企業年金は本来支払うべき税金が年金支払時点まで支払われないためにその遅延利息として課せられる税金です。

適格退職年金・確定給付年金・確定拠出年金を対象としており、個人型確定拠出年金もその対象となっています。

この制度が出来た当初、この特別法人税はすぐに適用となるはずでした。

しかし世の中の景気がおもわしくなかったために現在まで凍結されています。

財源が苦しい政府がいつこの凍結を解除するかはわかりませんが、もし凍結解除されると

運用益が出ている場合も、そうでない場合も積立金に対して年1.173%の課税がされます。

これがどれくらいの影響を及ぼすかは生命保険協会が試算している次のようなデータがあります。

拠出額の全額所得控除・運用益の非課税という甘い蜜に釣られて、得に運用をせずに

この凍結が解除されたとしたらそれが還付される税金以上の損失を意味します。

2002年に確定拠出年金が始まってからずっと議論されてきたこの特別法人税廃止論は未だ実現に至っていません。

現在2019年3月末まで再延長とされていますが、不安の種が払しょくされるまでは

こういったリスクがあることも加味した拠出を前提としなければなりません。

3受取時に課税される税金

確定拠出年金は受取時の税制優遇があり、退職金と同じ扱いで税務よりがされます。

これを計算すると拠出年数ごとの控除枠は次のようになります。

長く確定拠出年金を運用するほど退職所得控除の枠が大きくなる仕組みで、

控除枠以上に運用益などが増えた場合はその部分に課税がされます。

拠出額ではなく運用期間の長さによって適用される控除枠が変化になる点は留意する必要があります。

ということは拠出額を若くて手元資金に余裕がない場合には最低額5,000円で運用期間だけでも

運用をしておいた方が受取時の控除枠は大きくなるということになります。

4最後に。

いかがだったでしょうか?

リスクを取らずに確定拠出年金へ拠出するだけで税金が節約できるともしお考えの方がいたとしたら

それはもっと自分のお金を国に預けるということのリスクを十分に再検討する必要があります。

そしてきちんとご自分のライフプランをシミュレーションすることです。

私は確定拠出年金は非常に優れた制度だと考えています。

しかし制度が優れていることと

あなたに合った老後資金づくりの方法とは別なお話だと思います。

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