公的介護保険制度とはどんな社会保障か

高齢社会の到来を見据えて2000年に公的介護保険制度が誕生してから今年で18年目ですが、

この制度は1997年に故橋本龍太郎首相(当時)と小泉純一郎厚生大臣(当時)による

構造改革の一環としてそのひな形が作られました。

いわば2017年は介護保険制度20周年と考えることのできる年でもあります。

政治的、社会的にどのような変遷を経てこの制度が誕生したかは立命館大学:佐藤満氏の研究に譲るとして、

本ブログでは公的介護保険制度の基本的な仕組みと、

民間の介護保険の立ち位置を紹介していきます。

 

公的介護保険の仕組み

 

基本的な仕組み

 

公的介護保険制度は自治体によって運営され、40歳以上の方を対象としています。

主な介護の対象者は65歳以上で、この年齢の方を第一号被保険者

40~64歳までの加入者を第二号被保険者と呼んでいます。

 

公的介護保険制度は第一号被保険者、または第二号被保険者が

所定の介護状態となった場合に介護サービスを

1割負担ないしは2割負担で受けられるようになる制度です。

言い換えれば40歳未満はいかなる状態、いかなる原因であっても

公的介護保険による介護サービスは受けられないということになります。

40歳以上の方と重複する部分になりますが、障害年金または障害手帳などの申請を行う必要があります。

 

介護保険制度でよくある誤解の一つに

「介護サービスを無料で受けられるようになる」「介護年金を受け取れる」と答える方がいますが、

これは大きな誤りです。

 

公的介護保険は障害年金や遺族年金とは異なり、現金を給付したりするサービスではなく、

また介護サービスを無料で受けられるものでもありません。

1割ないし2割の少ない自己負担で、残り9割ないし8割を沢山の方の介護保険料や

国・自治体からの補助によって介護サービスを提供しています。

 

介護保険制度は健康保険制度が現金給付ではなく、また医療費無料でもなく3割自己負担である事と

考え方としては近いもの(現物給付)になります。

 

 

公的介護保険を考える際には

介護保険料と介護サービス自己負担分は支払えなければ

サービスそのものが受けられないということを認識することが大切です。

 

介護保険料は自治体によって異なる

 

また公的介護認定を受けても介護保険料は存命の間、払い続ける必要があることは忘れてはなりません。

(65歳以上で年金を受給している方は健康保険、介護保険料が年金から差し引かれて受給されます)

保険料は自治体の財政状況によって異なります。

 

全国平均で約6千円ですが、全国で最も安いのは千葉県四街道市の44,400円/年(月額3,700円)

全国で最も高いのは福岡県88,426円/年(月額7,368円)と言われています。

住む場所によっておよそ2倍も保険料負担が違うというのは制度上の大きな問題とされています。

 

またこの例はあくまでも基準となる所得の世帯の方の場合です。

所得が多い場合には自己負担はより大きくなる傾向があります。

介護保険制度は自治体が運営しているので、ご自身の介護保険料がどれくらいか。

どのように保険料が決まっているのかを知りたい方はお住まいの自治体のWebページをご参照ください。

増える保険料負担、財政圧迫により制度は曲がり角へ

 

介護費用は40歳以上の保険加入者が負担する保険料と、

自治体・国が負担する補てんによって賄われています。

しかし介護認定を受ける方も増え続けているためその負担増に歯止めがかかっていません。

制度が始まった当初の保険料負担はみるみる膨れ上がり、

現在では5千円を超えている自治体も珍しくありません。

また高齢になるほど介護を必要とする方が増え、

85歳以上ではおよそ半分の方が介護を必要としているとされています。

これらを踏まえ、国の補助は年々増え続け、団塊の世代が75歳以上を迎える2025年には

国の介護費用負担は2010年と比べて凡そ3倍にもなると試算されています。

この負担増を避けるため、保険料の増額や所得の多い方への自己負担増の改革が進められています。

 

自己負担増の公的介護保険制度と民間保険で補いたい保障額

医療に対する備えと同様に、公的介護保障も自己負担の増加は今後避けて通ることはできません。

公的介護保険サービスを受けるための費用を捻出するための経済的な備え

これが現在の民間介護保険に求められている保障と考えることができます。

 

 

年齢によって異なる介護認定の条件

 

第一号被保険者と第二号被保険者では「介護になった原因」によって

介護サービスを受けられるかどうかが変わってきます。

65歳以上の第一号被保険者は『理由のいかんを問わず』介護認定を受けると介護サービスを利用可能です。

40~64歳の場合には『国が認定する特定の疾病を原因とする』介護状態の場合に限り、公的介護保険を利用できます。

国が現在認定している特定疾病は16種類にのぼります。

この病名を見て、どう感じるでしょうか?

非常に重い、重度の病気という印象でしょうか?

この16疾病が原因で公的介護保険サービスを利用しているこの年齢の方の人数は全国に凡そ13万人いるそうです。

その一方で同じ年齢(40~64歳)で残念ながら亡くなってしまう人の数は12万人と言われています。

多くの方が生命保険で亡くなった時の備えとして保障をお持ちですが、

亡くなるよりもこの16疾病で介護を受けている人の方が多いという事実はあまり知られていません。

医療技術の向上、平均寿命の伸びによって若くして介護が必要となると介護期間も長期化しやすくなります。

『死ぬよりも辛い』『経済的に大変』と言われるのが、この若くして介護を必要とする場合です。

この若くして介護になり得る人の多い16疾病を公的介護保険制度では救済する目的で、保障の条件としています。

 

人はいつか必ず亡くなる生き物ですから決して死亡保障を軽視するわけではありませんが、

時代と共に備えるべきリスクは変化していくものです。

もし現在加入している保障が「死亡」または「死亡・高度障害」だけをカバーしているものだとしたら、

それは何のために保険に加入をしているのか、改めてよく考える必要があるのではないでしょうか。

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