外貨建保険は米ドルか豪ドルか?利率変動型か前納型か

今月初めからの株価下落に連動して為替が1年半ぶりに106円台の円高に振れていました。

106円という水準は2000年以降18年で円/米ドルの平均水準となります。

 

為替が円高に振れるというのは輸入企業の業績を後押しする反面、輸出企業の業績を厳しくします。

日本はかつて海外から材料を輸入、それを加工して輸出する事で大きな経済成長を遂げてきました。(加工輸出産業)

日本最大の企業の一つであるトヨタ自動車はその最たる会社です。

 

一方で社会構造の大きな変化は長引き「失われた20年」と呼ばれている間に物作りからサービス業へ転換していきました。

東南アジアなどの人件費の安い地域で製造し、日本へ輸入をする事で低価格な商品を大量に供給する事で急成長してきたのが家具メーカーや100円ショップなどの新興企業です。

かつてはトヨタ型の輸出企業が体制を占めていましたが、現在では輸出企業と輸入企業はほぼ半々となりつつあります。

 

産業構造の変化は為替の影響によってメリットを受ける企業の数も変容させます。

日経平均株価に反映さらる企業の業績は総じて円安になると利益が上振れしやすく、東証株価指数(TOPIX)は円安や円高で利益が出る企業が分散しており、日本の大手企業の実態を浮き彫りにする傾向があります。

 

歴史が証明している通貨は株式に勝てないという法則

外貨預金、FXなど様々な外貨を扱う金融商品がありますが為替という動きのある資産を計画的に長期で積立していける点で外貨建保険は大変優秀です。

例えば外貨預金の場合、保険のようなペナルティはありませんので投資家はいつでも積立をやめられ、いつでも円に換金したり、使ってしまう事が可能です。

これはメリットのようで実は資産形成においては大変なデメリットでもあります。

人は存外弱い生き物で円高の時は積極的にやるのですが、円安になると今やると勿体ないという気持ちになり積立を多くの人が辞めてしまうのです。

 

結果として続ける事が出来ず、外貨資産を将来の一定の時期までに十分積み増す事が出来ません。

これが外貨建保険の場合、毎月積立をするドル建の保険料が決まっていますので、払込レートに応じて毎月の保険料が変動します。

この購入方法を定量購入法と呼び、将来の一定の時期までに一定量の外貨などを確保したい場合にコツコツと積立していけるのが特徴です。(ドルコスト平均法の定額購入法とは異なる)

契約が成立すると毎月自動的に積立をしてくれ、手間が省けてコストも安く、保障までついてきます。

その一方で保険商品特有の解約控除などの払込保険料と返戻率のギャップは当然ですが慎重に検討するリスクと言えます。

しかしこの途中でやめると損をするという感覚が半強制的に積立を続けられる要因になり、きちんと外貨資産を積み増しできることに貢献します。

また海外通貨建の資産を持つことは間接的にその国の債券を保有することと等しい事は忘れてはなりません。

その国の通貨はその国の債券を担保したものと考えることができるからです。

 

長い目で見れば株式(投資信託や変額保険)と債券(海外通貨)では株式に及ばないというのは投資の世界ではすでに結論が出ている議論です。何故なら債券は値動きが一定幅に限定されており上下に動くだけですが、株式は企業が新しい価値を生み出した評価として永続的にインフレを引き起こすためです。

端的に言えば株式投資は複利で、債券投資は単利。

しかも通貨の場合には間接投資ですから株式投資に及ぶはずもありません。

下記はジェレミー・シーゲル著書の「株式投資の未来」からの株式、債券、金、ドル預金の1ドルあたりの価値を示したものです。

アメリカでの調査結果ですが、世界中がつながり、そして投資も既に自国だけに留まらず可能な時代ですからドルをただ保有するだけでは資産はインフレによって目減りするという事がドルでも起こることを表しています。

 

では何故、多くの人が海外通貨を保有したがるのでしょうか。

債券運用による金融商品(外貨建保険)は将来の資産価値を現在の延長線上として描きやすいという特徴があります。

一言で言えば「分かりやすい」からです。

15年後、20年後の物価や株価を予測することは困難ですが、利回りが固定されている債券投資は保有し続ければ具体的に今より何%増えるかが明記できます。

しかしそこには実際のインフレ率や失業などの雇用状況などが加味されておらず、実態との乖離が必然として発生します。

株式相場は経済を写す鏡、債券は景気の体温計と言われる所以です。

債券で運用する資産はミドルリスク、ミドルリターンを狙う資産運用で、既にある資産を守るための選択肢としては大変優秀です。

一方で資産を増やす選択肢としては株式投資に遠く及びませんので十分な使い分けが肝心です。

 

外貨資産は値動きの幅がある程度想定できる

為替を予測する事は大変困難です。明日の為替や一年後の為替は誰にもわかりません。プロでも予測するのは困難と言われています。

しかし過去の為替相場の履歴から為替はおよそ一定の幅の中でしか基本的には動かないという規則性があります。

下記は2000年以降17年間の為替の動きをグラフ化したものです。

どうでしょう?

最も円安だった時期と、最も円高だった所に空間を見ることができませんか?

このような一定の幅でしか値動きをしない相場を”ボックス相場”と呼び、リスクの下値が限定されている低リスクな環境と考えることができます。

リスクが一定の範囲の中に留まるという事はリターンも一定の中に留まるということです。

手堅く資産形成を行うのであれば外貨資産の積立は理にかなっています。

最悪の場合はこの下値でも採算が合うかどうかを考えれば済むためです。

 

一方でこの値動きのブレ幅を抑えたいという場合には別な値動きをする資産を組み合わせます。

現在、マイナス金利のユーロ建を除くと日本で買える主要先進国の通貨は米ドル建か豪ドルに縛られます。

豪ドルの2000年の値動きは次の通りです。

見事なボックス相場ですね。

米ドルと豪ドルを50%:50%で組み合わせると次のようになります。

 

まるで米ドルが上にある時には豪ドルは下に、米ドルが下に動く時には豪ドルが上に動く逆相関の関係にあります。

これを自分の資産で考えると次のように二つの通貨の間に資産価値があることになります。

一種類だけの時よりもブレ幅がかなり軽減されていることがお分かりでしょうか?

米ドルは世界の基軸通貨です。IMFなど世界の経済を安定化させる役割の国際金融機関が保有している外貨準備高でもそのシェアは60%を超え、圧倒的な信頼があります。

為替の値動きは両国の力関係で綱引きのような状況です。

2種類以上の異なる値動きの通貨を組み合わせることでブレ幅を抑えた資産形成が実現します。

 

ユーロ建の金融商品が消えた理由

米ドル建の金融商品が主流の一方で、リスク分散を考えるとアメリカがいくら大国とは言え一極集中はオススメできません。

2000年代にはその対抗馬としてユーロ建の金融商品も数多く登場しました。(ユーロが最初に発行されて使われ始めたのは2002年から)

しかし欧州における南北問題(PIGS:ポルトガル、イタリア、ギリシア、スペインとの経済格差)は今もなおくすぶっており、ユーロ建債券の金利は日本に先駆けて2014年にマイナス金利政策に突入しました。

マイナス金利とは、通貨の発行元である中央銀行(EUの場合はECB、アメリカの場合はFRB、日本では日本銀行)が銀行から預かる資金にマイナス金利を適用させ、市中にお金の流通量を増やす(融資や投資)ように促す措置です。

これによってユーロ建の長期運用を前提とした金融商品はことごとく販売停止となりました。

米ドル建に唯一対抗できそうな勢力だったユーロは2010年に各国の外貨準備高で25%を占めていましたが、現在では19%と年々そのシェアを縮小しています。

 

イギリスのEU離脱はユーロのシェア低下に直接関係はありませんが(イギリスは元々ユーロに参加していない)、イギリスが抜けることにより”統一欧州”という夢が難しかったことの象徴的な事例でもあります。

最も既にECBは2018年中に現在の低金利政策からの脱却について話し合いを始める予定でいます。早ければ2019年にも実施される予定ですから日本よりも早く現在の低金利からの脱却を目指すということは再びユーロ建の金融商品もお目にかかれる日も来るかもしれません。

 

第三の選択肢、豪ドル建が近年人気急上昇な理由

世界に分散投資をする上でユーロ建の金融商品が販売停止となって、シェアでは代わる通貨がありません。

強いて言えば日本円が外貨準備高では第4位となります。(IMFの外貨準備高ではイギリスのポンドが第3位ではあるが、ポンドは「殺人通貨」の異名を持つほど値動きの荒い通貨のため素人にはオススメできない)

しかし日本は超低金利です。ユーロ同様に低金利では金融商品の魅力は少なく、厳しい状況です。

また今後の市場の伸びを考えるとGDP世界第2位の中国の元が選択肢となるところですが、元は市場開放されておらず一般には旅行時やビジネスなどで決済をする以外では購入することが出来ません。(マネックス証券や三菱UFJ銀行では中国債券の購入ができますが、かなりマイナーな存在で流動性と信頼性にまだ難点があります)

そこで白羽の矢が立ったのがオーストラリアドル(豪ドル)です。

 

アメリカやヨーロッパの国々が何処かの国と仮に戦争を開始しても物理的に異なる地理に存在するため被害が受けづらい。

アメリカの西海岸サンフランシスコからオーストラリアまでは直線距離で12,872km。

ヨーロッパの中心パリからではなんと15,106km

直線距離だと中東の真上を超えて言った方が近いんですね(笑)

地球の半径は6,371kmですからアメリカからもヨーロッパからも地球の裏側くらい離れていることになります。(しかも地球は丸いので実際にはぐるっと回らないと攻撃できない…)

 

世界最長の飛距離を持つロシアの最新核弾頭ミサイルRS-28でさえ10,000kmですから誤発射であっても届かないというほど離れています。

いくらオーストラリアが広大な土地の大陸とは言え、もはや直接狙わなければまず当たらない距離です。

そしてオーストラリアはIMFを始め国際通貨基金、世界銀行、OECDなどでも先進国として位置づけられており、人口も増加傾向。

経済も安定していて、世界一位の輸出量であるボーキサイト(アルミニウムの原料)や世界第2位の鉄鉱石、金、鉛、世界第3位のウラン、天然ガスなどの資源国でもあるため政策的に金利が高めに設定されているなど長期運用の金融商品を作るための条件もほぼ満たしていました。

オーストラリアの資源事情

中でも評価されているのが2008年に起きたリーマンショックの際に震源地のアメリカだけでなく世界中の先進国の経済成長はマイナスとなりましたが、オーストラリアだけは唯一のプラス成長を維持し続けました。

上記でもご紹介したように米ドルとは異なる値動きをすることからも米ドルと組み合わせたリスク分散に適した通貨として近年注目を集めています。

唯一、長期運用のための金融商品化のハードルとなっていた30年国債が発行されていなかった点は2016年10月に遂に発行された事で解消。

保険会社などの終身保険でも豪ドル建が登場しました。(マニュライフ生命のこだわり外貨終身などは月々保険料を支払う平準払いも可能)

アメリカが利上げをして近年では金利差が殆どなくなってきましたが、分散という意味でも様々な面からも検討の余地のある通貨ではないでしょうか。

 

為替が円高に動いた事で前納のチャンス到来か?

 

為替の急騰で2000年以降の平均値である106円を切りそうな水準にまで円高が進みました。

近い将来106円を割り込むことも考えられます。

100円台前半まで進む事も数年に一度あるかもしれません。

そのような時にはご契約の会社次第では手元資金と相談して前納の取り扱いが可能です。前納とは、保険料の前払いです。

外貨建ての場合、保険会社に着金した日の為替レートで払い込んだ月数の前払いが可能です。

 

以下の保険会社は外貨建保険の円での前納の取り扱いがある保険会社です。

 

保険会社 円前納 方法 手数料負担
ソニー カスタマーセンターもしくは契約担当者に連絡して専用口座へ振り込む 振込手数料は契約者負担
ジブラルタ カスタマーセンターまたは担当者がソリシター経由で専用口座へ振込 振込手数料は契約者負担
マニュライフ カスタマーセンターへ連絡をして専用払込用紙を郵送。その払込用紙で振込

 

前納の取り扱いが可能な保険会社の中で担当者に依頼した際に最もスピーディに振込に対応できるのがソニー生命と分かりました。

担当者が直接振込レートや振込口座の設定までできるそうで、担当者によっては当日10時30分に振込レートを確認してから銀行の営業時間の間にすぐに手続きも可能です。

 

次点でジブラルタ生命です。ソニー生命と一見するとほぼ同じ取り扱いに見えますが担当者が直接口座開設は出来ないため、代理店と保険会社をつなぐ担当者ソリシター経由での振込口座設定となります。

ソニー生命、ジブラルタ生命はいずれも契約時固定の予定利率の商品のみを扱っていますので、前納をうまく活用すると総払込保険料を節約でき、実質返戻率を高くする事が可能です。

 

積立利率更改型を扱っていて、円での前納も可能なのがマニュライフ生命の「こだわり外貨終身」です。

しかし前納期間が最大12ヶ月と限られている事、払込用紙での前納とスピード感では見劣りします。

利率変動型の外貨建保険には他にもメットライフ生命のドルスマートもありますが、こちらは円での前納の取り扱いがありません。

その代わりに予定利率の最低保証が3%となっているので各社見事に被らないように認可を取っています。

 

外貨建保険は保障重視。ついでに資産を増やすためのもの

近年、円建ての貯蓄性保険がマイナス金利の影響で返戻率が低下しており、資産を増やすなら外貨建保険という提案を受けている方が増えています。

保険には貯蓄性と保障性があり、その両方を兼ねているのが外貨建の養老保険や終身保険です。

保険商品ですから保障がまず大前提としてあり、保険料としてのコストが差し引かれている事は忘れてはいけません。

その保障が必要と思って加入するのであれば良いですが、もしただ増やそうとするためだけに外貨建保険に加入するなら勿体無いと言えます。

あくまでも払込満了まで払いきれたら得られるのが返戻金表に示されている外貨建の資産で、円換算での資産ではありません。

 

万が一、十分な蓄えがなく外貨建て保険を始めるとしたらじっくり再検討をした方が良いでしょう。

途中で支払いが困難になった場合などに払済保険や延長定期保険への変更がどのように取り扱われるのか。

低解約返戻金型などのペナルティは付いていないか、慎重になる必要があります。

 

一方でこんな保障があったらいいよねと考える人で、既にある預貯金などを預け替えをするには外貨建保険は検討の価値があります。

使わなければ将来、自分で受け取り使うこともできるのですからこれほど合理的な資金準備の方法はありません。

但し、あくまでも外貨建ですから受け取る時に円に両替した額が資産価値です。

その為替の動きは冒頭で紹介した通り一定の幅の中で動いています。

受け取りに良い円安のタイミングの時も、円高の時もあるでしょう。

そのため全てを一つの通貨で資産運用をするのは決しておすすめできません。

あくまでも分散の一部として活用することをお勧めします。

関連記事

  1. 保護中: 【非公開記事】外国株式指数ファンド

  2. “運命に抗おう“ーアクティブファンドの宿命を乗り越えたキャピタルシステムとは

  3. 収入保障と就業不能保障が一体となったプランの選び方

  4. 得てもいない利益への非課税よりも損失回避が大切では?

  5. 主要保険商品 積立利率・為替レート・運用レポートまとめリンク

  6. 保護中: 【非公開記事】SMT グローバル株式インデックス・オープン

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA