私の医療保障の備え方〜FPはどんな保険に入っているのか

前回の続きです。

日本人の平均寿命がより長生きになってきたために生命保険各社は、標準生命表の改訂を反映してこの春に保険料の大幅な見直しを行います。

国内最大の生命保険会社である日本生命は死亡保障を年齢によっては最大20%下げると発表。

日本生命が死亡保障を最大20%値下げ2018年4月より

値下げの一方で医療・がん・介護保険は大幅に値上がりをする予定です。

今回値上げのされる医療保障は2000年頃から保険会社が競ってきたジャンルとなり、最も競争の激しい分野となります。

販売戦略によっては値上げをしない方向に舵を切った保険会社もあります。

損保系生保最大手の東京海上日動あんしん生命などは医療保障の保険料を据え置くと発表。

据え置きは新たな契約者にとってじっくり検討できる良い面があり歓迎される一方で値上げするべきタイミングで値段を据え置く事は将来的に保険金支払いが増えた際の経営体力を問うことになります。

値下げは更にリスクを取ることになりますので、保険料改訂を4月にしない会社は新商品への切り替えなど見直しを近い将来行う計画があるのではないでしょうか。(あいおい生命やチューリッヒ生命は既に4月から新商品発売のアナウンスしている)

 

高額療養費をアテにした保障の考え方は老後に通用しない

日本の年金制度に不安を持つ人は多い一方で、殆ど同じ構造を持つ健康保険や介護保険について多くの方が現状のまま将来も高額療養費制度があるなどを前提として考えることがそもそも現実的ではないのではないでしょうか?

 

1961年に埼玉県越谷市で始まった日本の健康保険という制度は保険料を支払えば治療の際の自己負担ゼロという優良制度でした。

相互扶助共済を示す、相扶共済の碑は越谷市役所の敷地内に今もその功績を残しています。

あっという間に全国に広まり、国民皆保険となりましたが、1981年には1割負担、1997年に2割負担となり2003年には現在の3割負担となりました。

高額療養費制度も1973年に設定され、基本は変わりませんが現在では所得に応じた自己負担を区分するようになり、実質的な値上げが進められています。

何故、自己負担割合や高額療養費制度の自己負担が増えているのでしょうか?

働く世代が高齢者を支える仕組みである年金と類似して健康保険や介護保険も現役世代の人口減と高齢者の増加によってその財政が逼迫しています。

1960年代に日本の様々な社会保障が始まった時にはお神輿型と呼ばれ、大勢の現役世代の方によって少ない高齢者を支える構図が成り立ってきました。

しかし少子化によりこれが改善される見込みもないため、保険料は10年で年間約10万円の値上げ。所得の高い人ほど保険料負担が大きいだけでなく、治療費の自己負担も大きくなる不公平の極みとなっています。(このため日本は最も成功した社会主義国家であると考える人もいます)

2050年には現役世代1人に対して高齢者が1人となります。(2014年時点で2.4人で1人の高齢者を支えている)

また団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年には現在のままの制度だと医療費だけで歳入を上回る事態がやってきます。

この対策として後期高齢者の医療費自己負担を所得に応じて区分し2割負担にしたり、高額療養費も所得に応じて区分けする、病床数を全国の病院から約10%減少させるなど医療の自己負担は高齢者になるほど厳しくなっています。

現役世代のうちは手厚い健康保険組合や雇用保険によって必要性の優先順位が高くない医療保障は退職後に優先順位が一気に高くなる傾向にあります。

しかし退職をしてから加入をしようとしても民間の医療保障の保険料が高かったり、健康上の理由で加入できない方も少なくありません。

国の社会保障戦略が少子化に歯止めがかかるのであれば見通しは多少明るくなりますが現在のところはまだ時間がかかりそうですし、最も医療を使用する頻度の高い年齢である高齢者の自己負担は年々高まっている中で「高額療養費制度」などを将来も現状維持と考えることは果たして適切でしょうか?

また昨年夏には65歳以上の入院患者から光熱費320円/日を徴収が始まり、病院食も一食あたり480円にまで今年値上げとなります。これらの部分は差額ベッド代と合わせて健康保険適用外の自己負担部分です。

医療の自己負担は増え、高齢者になると病気にかかる確率も高くなる必然性を考えると加入をしないということは保険で受けられたはずの負担を、ご自分の貯蓄から取り崩して補う必要があるということです。

老後、資産を取り崩して生活をする方にとって生活以外で取り崩しをする虚しさや先行きへの不安を考えると現役世代の若いうちの医療保険の負担は安いものと感じる方も少なくないのではないでしょうか。

医療は5つの考え方が必要

医療費と一言にいっても様々なお金がかかります。

医療保険に加入していても全額がピッタリ保障される事は殆どありません。

足りないか、もらいすぎる傾向にあります。

損害保険会社などが提供する医療補償にはかかった医療費の実費払いがありますが、5歳刻みなどの年齢区分ごとに保険料が上がり続けるため現役世代の備えとしては過不足なく利点もあるが、年齢とともに保険料負担が大きくなり家計の支出圧迫につながることもあります。

生命保険会社が提供する医療保障の場合、漢字で社名を表記している会社以外は原則として加入した年齢で保険料が固定され値上げされることはまずありません。(先進医療特約など一部10年ごとに更新する商品ももあるが大きな値上げにはならないと考えている)

医療費は次の5つにどう備えるかを考えて備えることが大切です。

①治療費

前回もお伝えしたように日本の健康保険には高額療養費制度があり、所得に応じた自己負担を確保することができればまずは一安心です。

給与、交通費、手当などを合算した標準報酬月額が28〜53万(年収330〜730万)までの方の場合、約9万円が上限となります。

 

同じ月の中で内科と外科両方にまたがると2倍かかる計算になりますが、そのようなケースは少ないとしてこのお金が支払えればきちんと治療が受けられるのですからこの治療費を補填する仕組みとして私は入院一時金プラン10万円に加入しています。(FWD富士生命の医療ベストゴールド)

入院一時金とは、入院を1日でもするとまとまったお金を受け取れる仕組みの保障です。

2日入院しても重複しての給付はありません。

別な病気やケガで入院すると再び給付されます。

医療ベストゴールドには継続入院で30日ごとにまた10万円が受け取れるプランも選べますが、私は他にも医療保障があるので、シンプルなプランにしています。

②保険適用外の費用

入院をすると治療費以外の様々なお金がかかります。

差額ベッド代、食事代一食480円、交通費やパジャマ・シーツ代などの雑費も発生します。

65歳以上だと上でご紹介した一日320円の光熱費も取られます。

これらは入院が長引くほどかかるため、私は旧来からある日額給付の保険料が安いプランに加入しています。

一日入院すると5,000円のプラン(オリックスの新CURE)

大人数の相部屋なら差額ベッド代は発生しませんが、概ね4名以下だと差額ベッド代は発生します。

私は個室に入ることは基本的に希望していませんが、症状や手術直後などは入らざるを得ないこともあり得ます。

(本来、治療の必要性がある場合の個室や少人数部屋は健康保険適用ですがこの点は別な機会にご紹介したいと思います)

③入院前の通院、退院後の通院

最近増えているのが短期入院と前後の通院です。

がんと診断されても入院をせず日帰り手術と通院だけで治療する事もあります。

このため日帰り手術をした前後でも給付金が受け取れるプラン(アクサ生命のスマートケア)に加入しています。

④健康保険が適用にならない治療への備え

健康保険適用外の自由診療、中でも健康保険に将来導入を検討されている大学病院など認可を受けた施設で行われている治療は例外的に混合診療が認められています。

これを先進医療と呼びますが、白内障の水晶体再建手術のように50万円前後のものから副作用の少ないがんの放射線治療の一種である陽子線治療・重粒子線治療のように、300万円近いものまで様々です。

私は加入している医療保障全てに先進医療特約を付加しています。(生保は損保と異なり、会社を跨がれば複数給付が受けられる)

⑤休業による収入減少への備え

サラリーマンであれば有給、そして傷病手当があるので給与の2/3は一年半保証されています。

よって残り1/3をカバーするか検討する必要があります。

私の場合は自営業のような状態のため、休業=収入がダウンします。

FPの収入体系は若干複雑なので割愛しますが、サラリーマンでもあり自営業でもある扱いなんですよね(笑)

よってこのダウンをどこまでカバーするかで保障もどこまで持つか変わりますが

前述の通院でも給付されるアクサ生命のスマートケアから入院で日額5,000円をカバーします。(30日入院だと15万円)

 

その他に入院をして手術をするとオリックスの新CUREとスマートケアからそれぞれ給付が受けられるので5〜25万円は確保できると考えています。

ガンなどの三大疾病、障害や介護などの大きなダメージについてはソニー生命の逓減LBⅡ型に加入しています。1,000万円から徐々に保険金額が逓減していくプランです。

加入から数年間は保障額が減らないプランのため、1,000万円は就業不能への備えとして確保しています。

治療をして、きちんと回復するまで休業して2〜3年は大丈夫でしょう。

 

現役時代に払い切るメリット

現役時代に保険料を払い終え、保障がその後も一生涯続く短期払プランが選べるのは共済にはない生命保険の大きな特徴です。

働いている間は老後と比べて一般的には所得が大きい事から、現役のうちに生命保険料控除を活用して所得控除・住民税軽減を得ながら一生涯の保障も持てるのは大きな利点です。

 

現役時代に保険料がキャッシュフロー(自由に使えるお金)を多少圧迫しますが、早くきちんと加入すればその負担は大きく膨らむことはありません。

むしろ収入が年金などだけになってしまい、貯蓄などを取り崩しながら毎月保険料を支払い続けることの方がキャッシュフローを圧迫します。

老後の備えの一つでもある医療費は「アリとキリギリス」のようです。

コツコツ支払い、ゆとりある老後を迎えるか。遊び呆けて備えるべき冬の時期に対しての備えをしなかった人になるかは大切な決断です。

残念ながら保険の営業マンに勧められるがまま医療保障を「終身払」にしている方がいます。

ご自身で65歳までに支払い終えるか、終身で払い続けるかを選んだのであれば良いのですが選んでいないのであれば大変危険です。

医療保障の終身払とは保障期間が終身、かつ支払いも終身という意味です。

つまり死ぬまで払う。払えなくなったらそこで保障はなくなることを意味しています。

別な機会にも書きましたが、長生きの時代に何歳まで支払うか分からないコストを持ち越す事は大変危険です。

保険料の総払込額を終身払と65歳払で比べてみてください。

老後の限られた資金を取り崩しながら払い続けて、コストも割高になることが果たして皆さんにとって本当に良い事なのでしょうか。

50代半ばを迎え、末子も働き始めたご夫婦のご相談を受けた際に「働いている内はまだ払えるけど、仕事をやめたら続けられない」と多くの方が口を揃えて言います。

結果、若い方の何倍もの保険料を支払わなければ65歳や70歳までに払い終えることはできない事になります。

老後資金のために資産形成に回したくても、ご家庭にとっては将来の支出に備えるために医療保障の優先順位を上げざるを得ないこともあります。

近年は「三大疾病保険料払込免除」の特約を付加できる商品も各社から登場しています。大変ありがたい払込免除ですが、該当すると言うことは大きな病気にかかるという事ですから、長生きしない可能性が高くなるという事でもあります。

長生きを前提とした短い払込期間と、早くに亡くなる事を前提にした払込期間では意味と目的が異なります。

皆さんはどちらのために医療保障を検討しているでしょうか。

 

FPはどんな医療保障に加入しているか

医療保障への備えはサラリーマンか自営業者かによっても、その方の収入や貯蓄状況によっても大きく変わってきます。

要するに私にとってベストなプランが、皆さんにとってもベストであるかは別という事です。

また価値観によっても医療保障に対する備えは優先順位が変わることは珍しくありません。

最後に私が加入している保障領域の一覧を表にしましたのでご参照していただければと思います。

掛け捨て保障の目安としては生命保険(死亡保障・就業不能)、医療保険合わせて手取り収入の10%以下に抑えています。

 

オリックス FWD富士 アクサ ソニー
新CURE 医療ベストゴールド スマートケア

Ⅰ型

C型

逓減LB2
保障期間 終身 終身 終身 70歳
払込期間 65歳迄 終身 終身 70歳
保険料免除 三大疾病 3大疾病
保険料 2,822 2,028

(健康祝金付き3,687)

2,708+患者申出療養400 7,070
がん診断 1000万※※
難病指定 100万※
日帰り手術前の通院 5千
日帰り手術 2.5万 2.5万
入院前の通院 5千
入院一時金 10万

日帰りは5万

(5年間で一度も入院しなければ10万)

1万
入院

1日あたり

5千(60日型) 5千

(120日型)

入院日数無制限 三大疾病 三大疾病
生活習慣病 入院日数無制限
精神性疾患 60日不担保

15万

 

急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態 1,000万※※
入院しての手術 5〜10万 5〜25万
退院後の通院 5千(通算30日間。退院後180日まで)
放射線治療 10万

(60日ごと)

5万

(60日ごと)

先進医療 通算2,000万 通算2,000万 通算2,000万
患者申出療養 通算1,000万
障害手帳3級 1000万※※
公的介護2 1000万※※
死亡 1000万※※

 

※保険金支払いがあるとこの特約は消滅する。

難病とは国が指定する難病指定の病気と診断確定された場合を示す。

※※同一保険でいずれかの保険金支払いがあると保険は消滅する。

保険金額は経過年数によって数年間一定の後、徐々に逓減していき70歳時点で300万にまで下がるプランです。

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