ファイナンシャルプランナー(FP)は何故、保険を提案するのか?

多くの方のライフプランニングをしていると生命保険についてのご相談やご提案を行うことがあります。

資産運用や資産形成、ライフプランニングを主な業務としているファイナンシャルプランナー(FP)が何故、生命保険や損害保険の話や考え方、時には解決策として保険商品の扱うのでしょうか。

時に「手数料ビジネス」だからとお考えの方も多いようですが、その見当は半分正解で半分外れと私は考えています。

FPにとって解決しなければならない顧客の問題とは何でしょうか?

相談に来られる方の多くの方が実に様々なご相談に来られます。

①老後の生活が心配だから年金や資産運用の相談がしたい

②マイホームを購入しようと思うのだが、どれくらいのローンまで大丈夫だろうか?

③貯金がなかなか思うようにできない、どうしたら良いだろうか?

1.保険の性質と資産運用リスク

ファイナンシャルプランナーは『顧客の利益を最優先することにより顧客より報酬を得る者』を倫理規定としています。

「顧客の利益を最優先」とは顧客の資産を増やすことだけでしょうか?

前述の例を参考に考えてみると

①の場合にはその通りと言えるでしょう。

しかし老後資金の準備方法として、投資経験の乏しい方にリスクの高い特定の金融商品(株式投資や投資信託)を提案したとしたらどうでしょうか?

FPは金融のプロフェッショナルとして、顧客の投資経験や価値観と要望(目標・目的)に合致する運用方法を提案しなければなりません。

何故なら損失は顧客の利益の対極に位置する事態だからです。

そのため顧客の損失を避ける・軽減するために金融商品の中でも比較的安定性の高い傾向にある生命保険を活用することがあります。

日本では長らく銀行預金による資産形成が主流だったため、現在でも金融資産の半分以上を預貯金が占めています。

しかし資産形成をしていくために現在の日本の金融環境(経済情勢や金利など)では目標に遠く及びません。

金融商品はその性質上、短期での運用はハイリスク・ハイリターンの傾向があります。

一方で中長期的な運用(5年超)の場合にはそのリスクとリターンが相殺され、分散され安定化する傾向があります。

金融における安定化とはリスクがなくなるという意味ではなく、ブレ幅が小さくなるという意味です。

生命保険会社が扱う貯蓄性商品は長期(10年超)または超長期(20年超)の運用を前提とした金融商品が多く、契約時固定の利回り(予定利率)や保障や保証付きなど保険会社固有の性質を持っています。

※保障とは万が一などいざという際のリスクに対する解決策を提供することです。保証とはそれを約款上、契約上の言葉として約束していることです。保険は「保障と保証」の両方が実現されて初めてその効果を発揮します。

安定志向の日本人の長期の資産形成には生命保険との相性が良いということがその理由の根底にはあります。

2.不安の正体は何か?

また②の場合はどうでしょうか?

②は住宅ローンの返済額についての心配があります。

月々いくらの住宅ローンが組めるか。

これを判断するだけであれば審査に出してみれば答えは出ます。

ではこのような相談をしに来られる方にはどのような解決するべき課題があるのでしょうか?

私たちが購入前の住宅ローン相談を受ける際に確認をする点がいくつかあります。

・返済期間

・退職予定時期

・健康状態

残念ながら貸し出し(審査)をする金融機関からすれば、貸せる人かどうかしか判断していません。

「組めるローンと返済できるローン」は違うということです。

そのため組める住宅ローンであれば最大の35年で組もうとする場合が殆どです。

よくよく考えればおかしな話ですが、40歳の人でも35年ローンを組もうとする場合があります。

仮に35年ローンの返済を終えるとき、75歳です。

果たして働いているのでしょうか?

子どもがいるとして、大学などの教育資金の支出は既に用意しているのでしょうか?

仕事の転勤、転職、休職したりすることなどはないでしょうか?

事故やケガ・病気などで働けない状態などになった場合には返済をどのようにしていくのでしょうか?

「大丈夫だろうか?」の意味はどこまでの事態を想定して大丈夫かという意味ではないでしょうか。

そして、返済ができない心配もさることながらそこで暮らす「家族」のことも心配していないでしょうか。

もし私たちFPが表面的に質問されたことに答えるだけであれば、それはコンピュータやロボットにやってもらうだけで回答が出るでしょう。

近い将来、人工知能などがもっと開発が進めばそれらはロボットがやってくれるでしょう。

しかし、FPという仕事はヒューマンビジネスだと私は考えています。

人(顧客)と人(FP)がお互いの人生の時間を削って、テーブル越しに何時間と話し合い、

お互いの考え方や価値観を確認し合い、作り上げていくもの。

それがライフプランではないでしょうか。

ある症状が心配で診察に来た患者の問診票や簡単な触診などをしただけで、

「あなたが心配しているような病気ではない」と医師が患者を帰してしまったとしたら

その医者はヤブ医者ではないでしょうか。

せめて「検査をしましょう」や「その症状は〇〇科の医師に相談をした方が良い」くらいは言うのが

医師としての役割ではないでしょうか?

仮にその検査結果で気になる点があれば治療を勧めるなどのアドバイスを行うのが医師ではないでしょうか。

FPとはお金に関する専門職であり、お金のお医者さんとも呼べる職業です。

顧客の経済的課題を解決する方法の一つとして、契約成立と同時に即座に保障を提供できる生命保険や損害保険は、即効性の高い特効薬とも言えます。

3.貯蓄の習慣作り

FPは原則として顧客の資産に直接触れることができません。

本人に代わって定期預金の手続きも出来なければ、顧客の資産を預かっての資産運用も行えません。

(ネット証券などでアカウント情報を与えての運用代行も法律違反です)

貯蓄を行うには天引きが最も効果的です。

『先取り貯蓄』と呼ばれるこれらの仕組みを活用することで使ってしまう前の給与を、

予め別な場所へ移動させる方法、この中でFPが資産形成のお手伝いができる金融商品は生命保険が最も一般的です。

FPが所属する会社に生命保険代理店の締結があれば(ほとんどの場合はある)顧客の銀行口座から毎月決まった額の保険料を移動させることができます。

保険には解約控除と呼ばれるペナルティが存在し、契約から早期に解約を行うと貯蓄性の保険は支払った保険料から差し引かれる手数料を契約時に予め設定されています。

保険商品によって異なるが契約から早期の解約は支払った額に比べてごくわずかなお金しか戻ってこない(つまり損をする)というペナルティがあるために、貯蓄の習慣がない人も半強制的に損をしないために支払った保険料はないものとして生活設計を行います。

すると数年が経つ頃にはそのお金がある程度の額となり、かつ保険には銀行預金にはない保障性機能もあり、保障を持ちつつ貯蓄もできる習慣が形成されるというメリットが生じます。

ここで忘れてはならないのが銀行預金のメリットです。先に保険と比べての説明をしましたが、では銀行預金が金融商品としてダメな商品かというわけではありません。元本保証は銀行預金のメリットの一つですし、いつでも引き出せる自由度の高さなどは保険と比べて優れている点です。一方ですぐに引き出せる点はデメリットでもあり、引き出す=貯まらない原因でもあります。それぞれの利点と目的が異なりますので、保険だけが優れているわけではないことを忘れては危険です。保険は基本的に長期資金の準備手段に向いている商品なので、1年後、3年後、5年後など10年未満の短期の目的にはあまり適していません。

さらに保険商品によっては既に紹介したように予定利率が固定や、銀行預金と比べて長期運用のために最終的に利用したい時期に合わせて資産を計画的に用意しやすいなどの利点もあります。

近年では資産形成の性質をより強くした投資信託の仕組みを取り入れた変額保険も増えており、長期の資産形成と習慣化を併せ持つ商品も登場しています。(リスクについては投資性商品と同様に運用コスト・損失リスクなどがあります)

4.ビジネスとしての成立するための必須条件

ではこれらの利点をFPはどれくらいの時間、どれくらいの労力をかけて顧客のためにヒアリングして、

設計や分析を行って、解決策を無数にある金融商品から選びだし、準備をするのでしょうか?

ファイナンシャルプランナーの業務はボランティアではありません。

対価がなければFPは業務を行うことができません。FP業務はビジネスです。

では顧客が相談をしようと思った際に「この相談内容だと5時間かかるので相談料は5万円です」と最初に提示したとしたら顧客はその費用を支払って相談するでしょうか?

相談時の時間に対してだけ相談料として支払いを求めたとしても2時間はヒアリングにかかるので2万円の請求を求めたとして、支払って解決策を聴こうという人はどれくらいいるでしょうか?

欧米では会計士や税理士、弁護士など顧問が家庭に就いていて顧問料や相談料を支払う文化がありますが、日本では法人でさえ弁護士を顧問としている企業はなかなか増えていません。

個人の場合はさらにその割合は少ないでしょう。

”どんなに良い商品やサービスであっても、顧客に利用してもらわなければ存在していないのと同じ。”

FPの業務は顧客との需要と供給の関係にあります。

手数料が高い商品を顧客への提案理由にするというのはFPとして本末転倒な事態で、あってはならないことですが、FPは長い期間を経てその労力を回収します。

FPは良識と適切な倫理観を持った人にしか出来ない仕事だと私は考えています。

また顧客とFPは互いの信頼関係が不可欠だとも考えています。

信頼は付き合った時間の長さだけでなく、お互いに尊敬(尊重)できるかどうかも大切です。

お互いにそれができる相手かどうか、見極めることも必要です。

相談されるあなたはFPを、FPは顧客を尊重してみているでしょうか。

私はこの点が日本のビジネスの、これから向き合うべき課題のように感じています。

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