金融機関の役割 保険会社の場合

前回まで銀行、証券など3大金融機関の『金融』事業とその収益源を見てきましたが、

今回は身近でありながら一般の方にはなかなか金融と言われてもピンとこない保険会社についての紹介です。

 

保険会社には生命保険と損害保険、少額短期保険(ミニ保険や共済など)があります。

その規模や提供するサービスは様々ですが、ここでは金融機関としての役割と収益構造を見ていきます。

保険会社の金融事業

 

保険会社は契約者から保険料を預かり、その代わりに保障(補償)を約束します。

保障(補償)は目に見えない約束ですので、その約束を契約行為として証明するために

保険証券を発行します。

 

純保険料と付加保険料

ここからが一般の方に馴染みがない保険独自の考え方になってきます。

保険会社は集めたお金を純保険料と付加保険料に分けます。

保険金支払いのための積立金(責任準備金)にあたる純保険料、

事務経費・人件費・広告費などの付加保険料。

付加保険料のうち、その他のお金を中央銀行が発行する国債、

または市場で売買が可能な株式や債券へ融資(投資)します。

これらによる収益も保険会社にとっては貴重な資金源です。

生命保険の保険料が値上げ?値下げ?どっち?

 

※日本の保険業界のリーディングカンパニー日本生命は

国債・社債・株式などの有価証券へ約52兆円、企業等への融資に約5兆円を運用しています。

資産運用収益は2016年年度決算で1.6兆円(利回り約3%)を挙げています。

その他、不動産や海外などへも投資をしていますのでその資本・収益力は一国の国家予算にも匹敵します。

ちなみに日本の歳入(税収)は一般会計上42兆円です。

日本生命 決算情報

 

保険会社の3利源

保険会社の収益は3利源と呼ばれ、死差益・利差益・費差益があります。

引受時に想定していたより保険金・給付金の支払いが少なければ死差益となり、

融資(投資)によって利益が出れば利差益、

事務経費や人件費など費用面でのコストが抑えられれば費差益となります。

 

日本では戦後一貫した平均寿命の改善、高齢化が進みましたので死差益が拡大してきましたが、

低金利による予定利率の負担が伸し掛かり、保険料の割引が抜本的には進んでいません。

死差も5年ごとに発表される生命表の改訂に合わせて、改訂をして純保険料は安くなっているのですが

低金利・マイナス金利の影響はそれを上回るペースで付加保険料が実質的値上げとなっています。

生命保険は何故、2017年4月に値上げするのか?

解約すると保険会社が儲かる!?

 

また特筆するべきはこの純保険料の中に、保険を解約した時に生じる責任準備金の払いだしが行われる点です。

例えば長年契約をしていた保険契約を解約する場合、保険会社は解約と同時にこれまで積立ててきた責任準備金を

保険金支払いのために確保しておく必要性がありません。

解約返戻金と呼ばれる契約者にこれを戻す契約内容のものであれば、契約者へ返還されますが

定期保険や医療保険などの多くは近年、無解約返戻金型と呼ばれる返戻金のないタイプが増えています。

つまり保険会社は契約者が解約を請求した時点で責任準備金が利益へと計上される仕組みになっています。

 

手元に残すべき資金がどれくらいかを事前に把握できる

保険金の支払いのための積立金がすぐに支払われるかどうか、

どれくらいの確率で支払いが必要になるかは、保険の引受時に告知や健康状態などの診査を行っています。

これによって保険金の支払いリスクが高い場合には引受ができない(謝絶)、

または特別保険料を徴収することで契約者間のリスクの公平性を保ちつつ、

会社としてもリスクに対するより大きな保険料を確保します。

金融機関の役割

金融機関は国の経済を支える臓器(心臓)です。

経済の血液である資金を国の様々な場所へ行き届ける役割があります。

その資金の集め方は我々一般の消費者へ様々な金融サービスを提供することで行われています。

銀行であれば預金、証券であれば投資、保険であれば保障(補償)の提供などです。

消費者と企業、そして日本の経済は相互の協調によって維持されています。

 

豊富な資金があることは企業経営をしていくうえで非常に力強いですが、

それでは現在の日本の金融は盤石と呼べるのでしょうか。

次回は日本の金融の負の面を見ていきます。

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