地震保険は何故、火災保険の半額までしか補償されないのか

年末調整の用紙をよく見るとサラリーマンでも

様々な控除が受けられることを改めて感じる方もいらっしゃるでしょう。

ご結婚されている方であれば配偶者控除、生命保険にご加入の方であれば

生命保険料控除など沢山の控除の中でマイホームをお持ちの方に

改めて確認して欲しいのが『地震保険料控除』です。

 

地震保険の誕生

 

地震がいつでも、何処でも起こり得る国である日本で地震保険が生まれたのは

1966年に『地震保険に関する法律』が成立してからでした。

 

その4年前の1962年、当時44歳という異例の若さで大蔵大臣(現在の財務省、

金融庁トップを兼ねる)に就任した田中角栄氏は

2年後の1944年に故郷で起きた新潟大地震の被災地を訪ね、

その惨状から『地震保険がこの国には必要だ』と

我が国における地震保険の設立に向けて動き出しました。

 

(新潟地震の死者は26名と被害からすれば奇跡的に少なかったのですが建物の全半壊8600棟、

津波と液状化による浸水1万5298棟と建物の被害が大きく、

被害は新潟を中心に山形・秋田などの日本海側を中心に9県に及び、

損害保険会社は通常の火災保険の保険金ではなく、

見舞金として政府から資金を借り入れて支払いを行いました。)

いつ起こるとも分からない、しかし一度起これば

そのダメージがとても大きいリスクに対する備えという

保険の性質と合致する地震被害への備えは一見すると合理的とも言えます。

 

しかし民間の損害保険の会社は未知の、また未曾有の災害時の保険金を補償しきれない

(被害が広範囲に及んだ際に一度に生じる損害額の大きさを負いきれない)としてその設立に躊躇しました。

紆余曲折を経て民間の損害保険会社と国が共同でお金を出し合い、

保険料をプールしながら行う方式(再保険の一種)で合意し、1966年に始まりました。

もし損害保険会社による積立基金に不足が生じた場合には国の積立基金から

補填する(損害保険会社が政府から借り入れて将来の保険料で返済)という仕組みです。

 

このため地震保険は加入こそ損害保険会社が窓口となりますが、

その運営主体やいざという時の補償は国が行なっている事実上の自助努力による公的補償とも言えます。

また何処の保険会社経由で加入しても同じ内容、地域が同じであれば同じ保険料となりました。

 

またこの際に地震保険の運営に参加した会社(後に新設されて参加する事になった会社含む)だけが

地震保険を提供することになりました。

この事は火災保険を扱いながら、地震保険は扱わない損害保険会社も存在することになりました。

 

増える積立基金、補償額や上限を拡充

地震保険を扱う損害保険会社が加入者から集めた保険料は国の地震保険基金にプールされ、

その額が増えると地震保険で補償される上限額が増えるようになっています。

 

 

2017年現在の補償上限は建物5000万円、家財1000万円。

全損100%、大破損60%、小破損30%、一部損5%。

基金は11兆3000億円で内訳は政府11兆1268億円、損保会社1732億円となっています。

 

上図を見ると2009年から2011年に大きく損害保険会社の積立が減少

東日本大震災(2011年)の際には多額の基金(損害保険会社分の4743億円)を取り崩して対応した事が分かります。

一方で政府基金は取り崩さずに乗り越えられた事も確認できます。

 

地震保険は何故、火災保険の保険金額の半額までなのか?

火災保険は火災などの損失が生じた際にその損失を補填する補償機能を持っています。

保険金額は保険金として支払われる上限金額となっており、

その損失を修繕や新たに入手するために必要な資金として見積もりを基準に支払われます。

その一方で地震保険の際の保険金額は地震で建物が倒壊(全損)した場合でも、

火災保険の保険金額の半分までしか補償されません。

何故でしょうか?

 

東日本大震災のような大災害は二度と起きて欲しくないですが、

あのような規模の災害が起きた際にどれくらいの補償が必要だったかを我々に教えてくれます。

 

 

災害時に救済目的として国は公営住宅(被災者支援住宅)の建設や家賃への補助金などで

負担を大幅に減らしたり、借り入れしている住宅ローンの返済の猶予期間を設けるなどの工夫をしています。

内閣府の調査によると住宅の建設・購入・補修などの住宅再建費は1,000万円~3,000万円ほど掛かった方が19.3%。

住宅以外の生活再建費は、総額100万円~300万円掛かった方が34.4%を占めています。

平成22年度(2010年度)被災者生活再建支援法調査(内閣府)

 

その他にも固定資産税の減免や家の耐震性を高めたりするなどの修繕、

立て直しなどに国からの助成金や損失の控除やそれらを繰り越せる、

生活再建のための支援金も支払われます。

SUUMO『住宅再建のための「手続きとお金」』

 

これらの額が決して元の生活を再開するのに十分な額であるとは言えませんが、

一部は国からの支援で、一部は自助努力で備えることができます。

 

地震保険が火災保険の保険金額に対して50%までしか加入できないことは

知っていても、それが何故そうであるかはどこにも書かれていません。

しかし災害が起こった際に、その損失に対して国からの支援が何もないことはなく、

しかし必要なお金は家庭によって異なります。

不足額を自分たちで備えている人にはそれが支払われないとしたら

誰も自助努力で備えようとは思いません。

 

この様な心情的な意味から被災地の損壊の度合いに応じて一律に支払われる公的な支援が一部あり、

残りは自分たちで備えることを国は推奨しているのではないでしょうか。

その上限が火災保険の半額という考え方は現実に即した考え方と言えるのではないでしょうか?

 

地震保険料控除の効果

また地震保険に加入すると年末調整、確定申告の際に所得控除を受けることができる点も魅力です。

年間保険料50,000円までは保険料の1/2が、

年間保険料50,001円以上の場合には25,000円が所得控除となります。

地震保険の場合には最長5年までの一括払契約が可能ですが、控除証明書記載の額は一年分ずつ充てられていきます。

 

地震保険を兎に角手厚くしたいなら

 

地震保険を手厚くするためには大きく二種類の方法があります。

一つは東京海上日動火災の提供する『超保険』によって残り50%を補償する方法です。

超保険加入のためには東京海上日動火災の火災保険、地震保険への加入が必須となります。

また代理店の担当者が超保険の資格を保有していることも条件となり、

東京海上日動火災の保険をある程度の規模で扱っていないとその提案さえされない可能性があります。

 

もう一つの方法は少額短期保険による補償を上乗せする方法です。

SBIリスタ少額短期保険が提供する『地震補償保険』は大きく2つのパターンがあります。

既に火災保険+地震保険に加入している方が補償されていない残り50%を補うもの、

または地震保険未加入の方が地震補償として加入するという場合です。

少額短期保険はかつて無認可共済と言われたこともありますが、

保険業法の改正に伴って『保険業法』が適用になり、

現在は補償額1000万円以下、1年以内の補償に限り提供が認可されています。

 

世帯人数や補償額に制限がありますが、非常に廉価な保険料で補償が持てという特徴があります。

通常の地震保険までは手が出せないけれど、災害時の一時的な資金として検討されてみてはいかがでしょうか。

Restaパンフレット・保険料表

 

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