今更聞けない外貨建保険のおさらい

史上最低の標準予定利率の改訂によって注目の『外貨建保険』と『変額保険』。

前回ご紹介の『低解約返戻金特則付』(以下、低CV)に引き続いて
現在は百花繚乱の『外貨建保険』のメリット・デメリットを比べてみましょう。

そもそも外貨建保険ってどんな保険?

 

『外貨建保険』は指定通貨ベースで固定の保険金額・保険料・解約返戻金の定額保険です。

指定通貨には米ドル・豪ドル、ユーロがあり、取扱会社の殆どは米ドル建がメインとなっています。

(ユーロは全社で2017年8月現在、販売停止中)

毎月または毎年支払うドル建の保険料を支払う保険商品です。

円に換算して支払うことが出来る特約を付加でき、その場合には保険料は為替レートによって毎月変動します。

為替レートは契約する保険会社所定のレートを適用し、月々の保険料のレートは前月末の為替を適用します。

 

外貨建保険の歴史

 

外貨建保険は現在、百花繚乱の時代です。

この契機となったのが1998年4月にバブル崩壊後の

第一次金融ビックバンの一環として『外為法』が改正されたことでした。

 

外国資産を保有したいという個人・企業のニーズに応えるためいち早く商品開発を行い、

1998年12月に日本で最初に外貨建保険を販売したのはGEエジソン生命※でした。

※『えんドル君』という一時払米国ドル建個人年金保険でした。

GEエジソン生命は後に親会社の事業売却によってAIGエジソン生命、2011年には現在のジブラルタ生命へ統合されました。

 

その後、2002年にアリコ・ジャパン(現メットライフ生命)が平準払の

米国通貨建 市場金利連動型終身保険(現在の商品名をドルスマート)を発売。

平準払の外貨建保険ではプルデンシャル生命、ジブラルタ生命、

マニュライフ生命、ソニー生命などが次々と参入をしました。

 

日米で広がる国債金利の差

生命保険は長期国債の利回りを基準に、

契約時固定で将来の予定利率を保証する特性(GIC)があります。

GEエジソン生命が一時払の『えんドル君』を発売直後の1999年1月4日時点の日本の10年国債利回りは1.985%、

米国10年国債利回り4.66%とその差は2.675%もありました。

現在も日本国債はマイナス金利政策によって0%台を推移しており、米国との国債利回りの差は

米国での量的緩和政策の終了、そしてFRBによる「利上げ」報道を耳にしてご存知の通り

広がりつつあります。

 

得られる3つのメリット

 

外貨建保険で得られるメリットは大きく3つあります。

  1. 相対的に高い金利差を利用した運用
  2. 長期資産形成における金利の力
  3. 通貨分散

 

1.相対的に高い金利差を利用した運用

高い利回りで運用が出来るということは資産をより効率的に増やすことが可能になります。

日米の金利差は長期にわたって拡大傾向にあります。

 

また外貨建保険には他の金融商品には殆ど見られない予定利率の最低保証(GIC)があります。

最も低い運用状況だった時にどれくらいになるのかが事前に分かることは

長期の資産を考える上でとても心強い要素と呼べます。

 

金利差によって生じる利子を解約返戻金に単純還元することも一つの方法ですが、

近年は保障範囲を広げるなどに応用している保険商品も存在しています。

 

たとえば後述するジブラルタ生命のドル建介護保障付終身保険(低解約特則付)は、

同社のドル建終身保険(低解約特則付)と比べても保険料の差が殆どなく、返戻率の差もそれほど極端な開きがありません。

介護保障(公的介護保険要介護2以上)から保険金として死亡時と同額受取も可能と、長い人生のリスクを考える上で一つの選択肢になるでしょう。

 

2.長期資産形成における金利の力

資産運用は次の掛け算でリターンをどれだけ大きく出来るか考えることができます。

 

金利×価格×時間

 

前述の金利に加えて「価格」と「時間」という要素を加えることが出来るのも外貨建保険の特徴です。

「価格」は株式投資の場合には株価、投資信託の場合には基準価格、

外貨建保険の場合には為替レート(1ドル=〇〇〇円)が入ります。

 

掛け算ですので、為替が1ドル=100円で払い続け110円の時に受け取ったとしたら

受け取れる解約返戻金(リターン)は10%増になります。

反対に1ドル=90円ならマイナス10%となります。

 

為替が今後円高・円安どちらの方向に進むのか。

短期的な動きは誰にも予測できませんが、長期的には為替の基本を理解していると

長期的にはどのように動くのか予測可能と考えられています。

 

社会の授業のようですが、人口が減っていき生産力(GDP)の減衰していく国と

人口が増え続け、世界の投資や技術革新の中心となっている国のどちらに勢いがあるかは

改めて説明するまでもない流れではないでしょうか。

 

また「時間」も投資における大切な要素です。

『ドルコスト平均法』という長期・分散投資の考え方をご存知でしょうか?

この考え方を理解していれば、為替が上下することに一喜一憂せずに

長期投資として少しでも長く投資をし続けることの方が利点が大きいことの利点を

外貨建保険も同様に得られます。

 

3.通貨分散

世の中には様々な投資方法があります。

しかしその多くは一種類の通貨、日本で暮らす我々は『円』で受け取るという出口でしか用意していません。

株式や投資信託でも折角、外国株式や外国債券などで運用しても受け取るのは『円』です。

さて受け取る時の通貨が『円』であるということは、果たして本当に安全なのでしょうか?

 

運用がたとえ素晴らしい結果を出したとしても、出口である受取方が『円』である以上は

『円』という通貨そのものに価値や信頼性があることが大前提となります。

円という通貨は信頼できる通貨でしょうか?

短期的には問題ないとして、少子高齢社会、無尽蔵に膨れ上がる社会保障費、未曽有の国債発行残高…

通貨とは受け皿です。

 

フライパンで焼いているホットケーキのお話をしましょう。

投資したお金がホットケーキだとして、受け皿がないとしたらそのホットケーキはどうなるのでしょうか?

いつまでもフライパンの上に置いていては焦げてしまったり、

火を弱くしてもいつまでもフライパンの上では硬くなってしまいます。

 

 

事実、ロシアでは旧ソ連が解体した直後にロシア通貨ルーブルは破綻をしています。

アルゼンチン(1989)や韓国(1997)、ギリシア(2015)でも破綻を経験しています。

 

日本も第二次世界大戦の終戦後に円を一度リセットしています。

戦時中に発行した国債を払えなかったために、それまでの紙幣は紙切れとなり、

新紙幣と交換するために当時の国民間では大変な混乱が起きました。

通貨を分散することは資産をただ増やすだけでなく、守る意味でも効果的です。

投資先を様々な資産(株式や債券など)に分散するように、通貨も分散をすることが大切です。

資産の受け皿である通貨に何を選ぶのかは極めて重要な選択であり、大切な資産防衛の手段です。

しかし日本では資産運用(増やす)と資産防衛(守る)についての考えが切り離されて考えられており、

十分なアドバイスをしてくれるFPもまた非常に少ないのが現状です。

 

為替変動リスクをどう考えるのか?

 

将来の為替を予測するのはプロでも難しいと言われていますので、

ピンポイントに為替がいくらになりそうかを考えることは無意味です。

 

今後のことは誰にもわかりませんので、投資・資産運用を行う際には

過去のデータ・実績から想像(想定)する必要があります。

 

・今までもこういう流れで来たので、この傾向は続くだろう。

・国の財政・社会構造などから円安傾向に動くだろう。

これらは外貨建保険をはじめとした外貨投資を行うのに十分な想定です。

そこで知っておきたいのが米ドルでも豪ドルでも為替レートはレンジ相場と呼ばれる、

一定幅の中でしか変動していないという過去データ(実績)です。

 

 

米ドル建なら75〜135円、

豪ドル建なら55〜105円。

 

株式投資やFXなどと同様にこのレンジ相場というのは群衆の心理によって作り出されたものです。

豪ドルのレート推移が最も分かりやすく、2000年代初頭にも55円台を二度ほど記録したことがあります。

リーマンショックによって世界的な金融不安が発生した2008年にも再び円高に進みました。

しかし面白いことに2000年代初頭につけた円高水準付近でほぼ止まり、反転しました。

 

一度あることは二度ある、二度あることは三度ある?

 

レンジ相場であることが理解できると、このレンジからはみ出ない限り

リスクとリターンは織り込めるものに変わります。

 

 

こんな人に外貨建保険は検討の余地がある。

 

過去のレート実績を元に検討する際、次のことを想定してみます。

これが3つとも許容できるのであれば、その方にとって外貨建保険は資産形成・運用手段としてアリと言えます。

 

□受取時は最大で円高になった時に解約返戻金が幾らくらいになるのか?(最も円高の時を想定)

□支払っている間は最大で円安になった時には払い切れるのか?(最も円安の時を想定)

□想定以上に振れ幅が大きくなった時に引き出して支払える原資(預貯金)がある。

(払込総額を平均値で換算した円資産があるか)

 

 

こんな人に外貨建保険は向かない

 

外貨建保険については殆どの場合、定量購入法という毎月少しずつドルベースの保険料を支払う方法です。

買う量が一定で、それに合わせて負担する保険料が変わる買い方です。

少し厳しい言い方をすれば預貯金のない方、収入が安定しない方、

貯蓄のできない方にはお勧めできない商品です。

 

何故なら為替変動によって払い切れなくなる可能性が高いためです。

・返戻率が良い

・円だけで持つのもリスク

これは外貨建保険に加入する方がその加入動機として良く挙げる理由です。

これは確かにその通りですが、

払い切れなくなることの方が起こり得る可能性の高いリスクです。

 

会社によっても細かな規定は異なりますが、保険契約は基本的に長期資産運用を前提としています。

そのため10年以内の解約は解約控除等のペナルティーが、

『低CV』のような特則を付けていない場合でも課せられていることがありますので

無理のない範囲の保険料を把握して契約することが推奨されます。

また「今まではレンジ相場で動いていたかもしれないが、
円高になる可能性が高い」という方も外貨建保険での資産運用はお勧めできません。

<代表的なこの商品>

ソニー生命 米国ドル建終身保険

ソニー生命 米国ドル建養老保険

ソニー生命 米国ドル建特殊養老保険

ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険

ジブラルタ生命 ドルRI(米国ドル建年金支払型特殊養老保険 確定年金)

ジブラルタ生命 どるフィン 生存給付金特則付米国ドル建終身保険

ジブラルタ生命 ドリーム・ゲート 生存給付金特則付米国ドル建終身保険

ジブラルタ生命 リタイアメントインカム・プラス(豪ドル建) 販売停止中

プルデンシャル生命 米国ドル建終身保険

プルデンシャル生命 ドルRI(米国ドル建年金支払型特殊養老保険 終身年金)

プルデンシャル生命 米国ドル建介護終身保険(介護年金型)

プルデンシャル生命 ユーロ建終身保険 販売停止中

マニュライフ生命 こだわり外貨建終身保険(米ドル/豪ドル)

メットライフ生命 ドルスマート(米ドル建利率変動型積立保険)

メットライフ生命 ISドル建養老保険

外貨建と低CVを組み合わせた商品も

また『外貨建保険』に前回紹介の『低CV』を組み合わせた商品も存在します。

こちらは払込期間満了後の返戻率に惑わされる事なく、預貯金を含めて余裕のある方や

公務員で途中での退職予定が基本的にない方などの方が無難でしょう。

 

<代表的な混合商品>

ジブラルタ生命 米国ドル建終身保険(低解約返戻金特則付)

ジブラルタ生命 米国ドル建介護保障付終身保険(低解約返戻金特則付)

 

これら『低CV』、『外貨建保険』それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。

あなたにとって合った資産形成の方法としてはどれが合っているでしょうか?

保険料 払済保険への変更 解約返戻金 保険金額
低CV ○固定 ○固定
外貨建保険 △(為替) ○(為替) ○(為替) △(為替)

 

外貨建保険にかかる為替コストや最低保証についての考え方については

また別な機会にご紹介していきたいと思います。

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  6. 資産形成には外貨建保険か変額保険か

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