保険選びが変わった2017年改訂~定額・変額・低CVのメリットとデメリット

マイナス金利に始まった史上最低の標準予定利率の改訂によって注目の『外貨建保険』と『変額保険』。

またここに数年前から増えていた『低解約返戻金特則付』(以下『低CV』)と合わせて、

それぞれのメリット・デメリットを比べていきたいと思います。

今回は保険の仕組みの基本的な考え方のおさらいと『低CV』についてです。

 

1.貯蓄性保険とは

保険という金融商品はその仕組みとして

  1. 貯蓄性商品
  2. 保障性商品

大きくこの2つに分類されます。

 

その名の通り、『保障性』商品は保障内容の充実に重きをおいている商品です。

一般的な『保険』についてのイメージはコレを示す場合が殆どです。

保障100 貯蓄0みたいなタイプを「掛け捨て」なんて呼ぶこともあります。

一方で保険には『貯蓄性』を重視して、お金ご貯まったり増えたりする効果を持つ保険が存在します。

保障10 貯蓄90みたいな保障より貯蓄性を重視しているタイプです。

生命保険会社は国内だけで41社もあり、各社の保障に対する考え方は様々です。
保障50 貯蓄50というタイプもあったりします。

 

2.日本人が大好き、貯蓄性保険

保障を提供する役割のものが保険というイメージをお持ちの方が多いのですが、日本人は貯蓄性の保険が大好きです。

何故ならそこには「掛け捨ては勿体無い」という価値観をお持ちの方が少なくないためです。

保障性を重視すれば貯蓄性が下がり、貯蓄性を重視すれば保障性は下がる。

コレは保障性と貯蓄性という二面性を持つ保険の永遠のテーマの一つです。

 

3.定額保険と変額保険

 

ここからが少し本格的な話に入ってきますが、この貯蓄性商品には更に2つの種類があります。

  1. 定額保険
  2. 変額保険

 

定額保険とは、保障額が一定額の保険のことです。

例えば一般的な終身保険は契約時でも、払込満了時でも、100歳時点でも

常に保障額が一定額のままです。

国内で販売されている殆どの保険は定額保険です。

保障額が逓減や逓増していくような商品も契約時に定めているわけですから広義の意味で定額です。

外貨建保険もドル建(ベース)では定額です。

保険料を基準に考えると変動しますが保険は保険金を基準に考えますから、

保障額が契約時に固定されていると考えると定額保険に分類されます。

 

定額保険とは異なり、保険金「額」が契約時には定まっておらず、

運用成績によって「変」動する保険を『変額保険』と呼びます。

定額保険と変額保険、目的や役割に応じてその 使い分けが重要です。

図にするとこのような形です。

保障性のシンプルさに比べると、

目的や用途資産形成の考え方によって多様な種類が存在します。

 

定額保険はこんな場合(人)に向いている

 

定額保険の役割は直線的な未来への備えとしてとても効果的です。

つまり何年後にはこうなっている。

何年後にはこれくらいの生活をしている。

何歳の時には定年退職をして、老後の生活にこれくらいのお金が必要。

経済が成長し、社会保障が充実し、およそ多くの人の生き方が定型的である場合に

定額保険はそのライフプランの準備手段としてとても効果を発揮します。

変額保険は不確かな未来の経済成長への備え

 

変額保険はそうではない変則的な未来への備えとして効果的です。

変則的とは、これまでの時代とは異なる市場の変化がある場合です。

例えば貯金さえしておけば利息だけで資産を大きく増やせた時代は定額保険で十分でしょう。

しかし経済成長が加速し、インフレーションが続くと貯金とその利息だけでは

物価の上昇に対応しきれなくなることがあります。

この際に生じる差を解消するのが変額保険です。

インフレーションとは経済における物価上昇の事ですから、

世の中の物価に呼応する指標を基準に運用を行う変額保険は、

インフレーションに強い金融商品と呼べます。

4.『低CV』とは何か

 

では今回のメインテーマである『低CV』(払込期間中低解約返戻金特則または低解約返戻金型)とは何でしょうか?

『低CV』の終身保険(または長期定期保険)の特徴は、

払込期間中の解約返戻金を通常の70%ほどに抑えている点にあります。

解約返戻金は契約締結・販売コスト、保全費用などの諸経費を差し引いた保険金として

支払うための積立金(責任準備金)とほぼ同額になるように設計されています。

ほぼというのは契約から5〜7年経過後は多くの契約では同額となりますが、

それ未満の場合にはマイナスとなっている部分があるためです。

 

解約返戻金はコストを差し引いた後の積立金ですから、元々の払込よりも少ない状態となります。

ここに低CVは更に中途解約時のペナルティーを課すことで

払込期間中の解約や減額・払済への変更をすると契約者が損をする仕組みになっています。

 

その一方で当初の契約通り、払込期間まできちんと支払うことができると

返戻率(払込保険料総額戻ってくるお金の割合)が跳ね上がるメリットもあります。

低CVは保障付き、中途解約時のペナルティー付きの超長期定期預金と考えることができます。

2013年以降あたりから、標準予定利率の低下を受けて『低CV』を付加する保険会社が増えてきました。

何しろ通常の70%に抑えるという事は、払込中の解約返戻金が30%減です。

最後まで払いきれる人が圧倒的に少ない

保険契約は有効な契約が時間が経つほど少なくなっていきます。

仮に各社の公表している13ヶ月目継続率は良い会社でも97%前後。

生命保険業界全体で95%くらいです。これは1年以内の解約率5%という指標になります。

仮に解約率が毎年一定だとすれば2年継続率90%…と、継続できない人の累計は年々増えていきます。

実際、長い契約期間中には家族や自身の働き方や状況が大きく変化していくのが一般的です。

この解約率のままだとすれば払込期間20年でほぼゼロ%、

20年超の払込期間の保険を払い切れる人は殆どいない事になります。

 

もちろんこれは机上の数字です。

きちんとしたFPによってコンサルティングやキャッシュフロー表による資金計画を行い、

無駄遣いをせず、計画通りのライフプランを進めていくことが出来れば払い切ることは理論上は可能です。

しかし見方を変えると低CVタイプはこの事(払いきれる人が少ないこと)を逆手に取り、

早期で解約した人から多く集めたお金を払込満了まで払えた人と保険会社・代理店で分配する仕組みとも言えます。

中には払込期間中の解約返戻金が全くないもの(払込満了すると解約返戻金が突然立ち上がる)などより

ペナルティーの大きい商品もあります。

近年の低金利によって取扱会社が増え、また加入者も増えています。

しかし果たしてどれくらいの人が最後まで払いきれるのでしょうか。

個人的には非常に不安を感じている商品の一つです。

 

→ 解約返戻金抑制型…払込期間中の解約返戻金がないタイプの意味。

→ 無解約返戻金型…解約返戻金がそもそも全く戻ってこないタイプと意味。

返戻率が跳ね上がる払込満了後

実際に次のような商品があるわけではありませんが、説明用として紹介します。

30歳男性 保険金額:500万円 払込期間:10年 保障期間:終身

 

年齢 31歳 35歳 40歳 45歳 50歳 55歳 60歳
返戻率 0% 30% 70% 110% 120% 130% 140%

 

会社や商品によって払込満了と同時に立ち上がる場合、

払込満了の13か月後にCVが立ち上がる場合など様々ですので、

契約時に確認をしておくことをお勧めします。

 

終身保険の場合、経過年数が経つほどに返戻率は増えていきます。

学資保険がわりとして10年ないしは15年の払込に設定しておき、

110%前後になった解約返戻金を使うという使い方も可能ですが、

子育てには不足の事態も起こり得ますので、

すべての家庭の教育資金準備の方法としては適さないこともあります。

選ぶ際には慎重な判断が必要です。

 

 

5.低CVプランを選ぶのに向いている人は?

 

既にご紹介のように払込期間を長くすると払い切れなくなる可能性も高まります。

それでは困りますので、保障額の大きさよりも確実に払い切れる保険料に合わせて

プランを考えることが良いのではないでしょうか。

 

保険料を少なくすれば保険金額も少なくなります。

『低CV』が使い勝手として合っている方は

・可処分所得がある程度あり、コンスタントに貯蓄が出来る方

・公務員など収入の安定が見込める方

・その他に収入保障などの保障を持っている子育て中の両親いずれか

・児童手当など確実に積立られる可能性のある資金を充てる(なので10年、長くても15年)

 

いざという時に備えるオプション

また最近の流れとして払込期間中に三大疾病に罹患した場合、

会社所定の状態となれば保険料の支払いが免除される

「三大疾病保険料払込免除特約」を付加している商品も存在します。

 

払込期間中のリスクに備えつつ、保険料が免除になるのは非常に助かります。

特約保険料が発生しますので返戻率は少し低下しますが、

毎月の収入から保険料を支払うという場合には特に付加することをお勧めしています。

 

三大疾病払込免除特約にも払込が免除になる場合、

払込免除と同時に解約返戻金(CV)が立ち上がる場合など会社によって取扱が異なりますので、

ご自身が持たれている保障内容で三大疾病に対する備えが十分でない場合には

CVが立ち上がるタイプを選ばれると、治療費として利用することもでき一石二鳥です。

※CVを使用するには解約または減額、契約者貸付を利用するなどの方法があります。

 

 

表にすると『低CV』の特徴はこんな感じではないでしょう。

保険料 払済保険への変更 解約返戻金 増加 保険金額
低CV 固定 固定

6.失敗しないためのプラン選びの方法

 

無理なく支払える保険料を見極めるためにはライフプラン表とキャッシュフロー表を

組み合わせて分析する必要があります。

きちんと分析し、活用すれば積立期間、運用期間、積立金額などが

適切に把握でき、とても役に立ちます。

私が行う際には有料のサービスで行なっていますが、

払い切れず大きな損失を出すよりもはるかに安上がりですので、是非ご検討ください。

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