2017年8月、社会保障がまた変わりました。

こんにちは。2017年8月1日より社会保障がまた変わりました。

どちらも私たちの生活に身近な健康保険と老齢年金に関する変更ですので、

一つ一つ見ていきたいと思います。

 

Ⅰ:健康保険の高額療養費の自己負担上限が変わりました

 

今回の改正での対象者は70歳~75歳未満の高齢者です。

どのように変わったのでしょうか。

健康保険制度の基本的な仕組みから振り返っていきます。

 

1.健康保険組合と国民健康保険いずれかに区分される。

 

まず日本の健康保険制度は下記のように出生時から大きく2つに分類されます。

扶養者が会社員など給与所得者の場合には健康保険組合に、

個人事業主などの場合には国民健康保険に加入します。

健康保険組合に加入の場合は傷病手当金、産休・育休制度、付加給付など様々な補助があります。

※全ての組合にあるわけではない給付も存在します。

国民健康保険にはこれらの給付がなく、ケガや医療に関する保障のみが基本的には提供されています。

またお仕事を退職され、老後(75歳)を迎えると画像の下のように後期高齢者医療制度へ統合されます。

2.自己負担の上限が存在する高額療養費制度

働いている人の健康保険は基本的に自己負担3割ですが、

一か月あたりの自己負担には上限が設けられており『高額療養費』と呼ばれています。

所得に応じた区分で負担上限が異なります。

一般所得の場合、下記の計算式に当てはめた金額が上限となります。

 

80,100+(かかった医療費ー267,000)×1%

一か月あたり100万円の治療を受けた場合でも、自己負担額は87,430円となります。

 

 

 

3.高齢者になると自己負担は少なくて済む制度だったのですが・・・

高齢者医療に関しては75歳以上を後期高齢者と位置づけており、自己負担を1割としています。

同様に高額療養費制度も存在しています。

今回の改訂がされたのはその一つ手前の世代の自己負担です。

70歳以上75歳未満の方の医療費負担上限が次のように変わりました。

 

得に負担が増えたのが現役所得並みの方と一般所得者の方です。

現役所得並みの方は年金等の受給で月額28万円以上をもらっている方、

低所得者の区分が市区町村税の非課税世帯ですから、

一般的な年金受給者は『一般所得者』に分類されていて、改正後の自己負担が適用となります。

 

4.世界最高の健康保険制度ですが・・・

世界に誇る充実した日本の健康保険制度ですが、その実態は火の車です。

保険料として加入者から集めたお金の4割は高齢者の保険金給付として使用され、

残り6割で若い国民の今後の医療制度を支えていかなくてはなりません。

日経スタイル「大企業の健康保険料 4割は高齢者の医療費に」

 

1割で始まった自己負担も、現在3割負担。

団塊の世代が75歳以上を迎える2025年は国の財政支出のピークに差し掛かります。

それでも制度を維持するために国はどんな改正をするのでしょうか?

・高額療養費の自己負担を大きくする?

・4割負担、5割負担にする?

 

私は既にこの改正はされていると考えています。

2016年4月に患者申出療養がスタートしました。先行する先進医療を受けられない人でも、

また国内で未承認の抗がん剤や治療方法を患者が申出をすることで混合診療として受診可能にする制度です。

先進医療と同様にその技術料は全額自己負担です。

お金がない人は健康保険の中で受けられる治療に限られ、お金が払える人は自由診療(先進医療や患者申出療養)を受けられる。

医療格差がますます広がる時代がこれからの時代ではないでしょうか。

Ⅱ:年金は10年支払えばもらえるようになった!喜ぶべきことか?

 

またこの8月1日に改正されたもう一つの社会保障は年金受給要件である加入期間です。

これまで国民年金は加入期間25年以上を最低期間としていました。

しかし25年はあまりに長すぎるのではないかと議論され、今回の10年に短縮されました。

下記は20歳~60歳まで国民年金に加入し、保険料を満額納めた場合の例。

またこれまでの25年加入(保険料も満額納付)の例。

そして今回の10年だけ加入・納付の受取額の例です。

ご覧の通り、年金の受給権が発生するのが10年となったことで加入期間が足らなかったり、

後納が間に合わずに期間が25年を満たせなかった人への救済措置が今回の改正と言えます。

何しろこの10年だけ支払っても受け取れる金額はご覧の通りの額です。

 

年金の将来像を示す改正の意図は?

では今回の改正は何故、行われたのか?

それは今後の年金制度改革において重要な様々な仕組みの準備のためではないかと考えられます。

そのヒントとなるのが変更に伴って、

・国民年金の加入期間が65歳まで延長になっている点

・前年2016年10月から厚生年金加入対象者を週20時間以上のアルバイトなどへ拡大

・2017年1月からの個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象に専業主婦(主夫)を加える

・現役世代の定義である「生産年齢」を「新生産年齢」と改称、現役世代の定義を65歳ではなく70歳まで引き上げ

これらが行われている点です。

 

国の社会保障は多くの人の支えによって成り立っています。

言い換えれば国はたとえこの制度が破綻寸前であったとしても

「もう破綻します」とは口が裂けても言えない立場です。

言えばその党は選挙で落選し、国民からの非難にさらされることになるためです。

しかし気づいてほしいという暗なメッセージは細かに発信し続けています。

 

・自己負担を増やしますよ→若い世代はもっと厳しくなりますよ

・税制優遇を設けた年金制度を始めますよ→自分たちで何とか準備を始めてください

 

老後の準備を考える時に忘れてはならないこと

 

医療は高齢者になるほどに病気になるリスクが高くなり、また医療も使う頻度が急増します。

現状の医療制度を過信(高額療養費があるから等)するのではなく、

人口減少社会になることによってどのような変化が世の中でこれから起きるのか?

(変化が起きるのはこれからなので自分が想像していない、または想像できない事態さえ起こり得る)

医療だけではなく、年金や介護にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 

私たちは将来のことというとつい年金や資産を増やすことだけに思考と労力を費やしてしまいがちです。

正しい努力をするためにはその先にあるリスクの性質を見極めることが大切です。

そのためには相談するFPがどんなジャンルを得意としているのか、きちんと確認することが大切です。

 

医師に相談をしようと思った時に、お腹が痛いのに歯医者に相談をしに行ったらどうなりますか?

ガンと診断をされた時に日本ではがん治療の専門医である腫瘍内科に相談をせず、

多くは外科の医師に診察・手術を受けているのとまるでよく似ています。相談は専門家へ。

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