Apple米国企業初の1兆ドルへ一番乗り!Google、Amazonの猛追は続く

2011年にジョブズ氏を失い、跡を継いだティム・クック氏はイノベーションこそ起こさなかったもののアップル社の企業価値を最大化することに腐心しました。

ジョブズ氏の復帰から21年でたどり着いた米国企業初の時価総額1兆ドル。

Google、Amazonなどアップルを猛追する勢いのある企業もまだまだ成長途上の中にあるといいながらも次の一手が見えないアップル社の魔法は今後も続くのでしょうか。

日経新聞は同社がライバル企業との競争にいかに勝ったか、株価の推移を掲載していました。

 

WindowsというOS市場シェア96%という独占で、他のOSは駆逐される寸前まで追い詰められていました。

ジョブズ氏の復帰時、会社のキャッシュはあと3ヶ月保たないというほど減っており、ジョブズ氏は最大のライバルであったMicrosoftとの業務提携(WebブラウザIneternetExploreの採用、OFFICEのMac解禁)と資金援助を得て急場を凌ぎました。

ジョブズ氏の復帰を象徴するiMacの発売やiPod、iTunesなどハードとソフトの融合はその後のアップル社の原動力として機能していきます。

2011年にジョブズ氏が亡くなると世界中が彼の死を悲しみました。

一企業の創業者というにはあまりに大きな存在は、死後、この世界をどう見ているのでしょうか。

 

IBM、Compaqを渡り歩きPC普及の実務に長けたティム・クック

ジョブズ氏はアップル社へ復帰をすると同時に自分の仕事のサポートをしてくれる重要な人物をアップル社へ引き込んでいます。

現在のCEOティム・クック氏です。

IBMのパーソナルコンピューター事業北米ディレクターやCompaqのバイスプレジデント(副社長)を務めた彼はアップル社へ復帰したジョブズ氏から何度も誘われて、転職の気などなくコンピュータ業界の礎を築いたジョブズ氏に会ってみたいという気持ちだけで会って、話を聞くや彼の今後のコンピュータ業界への想いに惹かれて1998年にアップル社へ移ったとされています。

部品調達と在庫管理の能力に長けていたティム・クック氏はアップル社復活の屋台骨を支えます。2000年代、iPod nanoで採用されたフラッシュメモリを他社に先駆けて調達するためにメーカーへ現金先払いで工場の生産量を確保し、他社がフラッシュメモリ型の音楽プレイヤーを作ろうとすると大容量のフラッシュメモリが確保できないという締め出しをする事でコストを抑え、かつ競合に作らせない、Appleの付加価値を高めることに成功します。

アップル社はメーカーでありながら在庫管理が徹底しており、iPhoneは在庫が少なくなってくる事で新モデルの発表時期が間近であることを世の中に知らしめたり、新型iPhoneが発売開始初期は品薄になる現象などは旧型モデルの在庫処分と新型モデルを入れ替える際に生じるものでしたが、結果として多くのアップルファンを熱狂させ、報道のたびにアップル社の新商品が宣伝される効果をもたらしました。

2000年代、健康不安のため療養で度々休養をとる事が増えていたジョブズ氏が不在時には暫定CEOとして経営の舵を取り、iPhoneの流通でもその手腕を発揮します。

ジョブズ氏が2011年に健康上の理由でCEOを去る際に、後任として正式にティム・クック氏を後継者として引き継ぎました。

ジョブズ氏の辞任が報道された日、4日(米国時間)の時間外取引では、同社株価は7.39%下落し、時価総額は240億ドル(約1兆8400億円)が、25日の通常取引では、Apple社株の下落は1.5%という落ち着いた動きを見せ、株主たちが同社の継続性を信頼しているとしています。

 

米国企業として初の時価総額1兆ドル企業となった日、ティム・クック氏はアップルの社員へ次のようなメールを送っています。

 

 

チームへ

本日、Appleは一つの重要な節目を越えました。207.39ドルで取引を終え、現在、Appleの時価総額は1兆ドルを超えています。この達成について、誇るべきことはたくさんありますが、これは最も重要な成功の尺度ではありません。財務利益は単純に、Appleのイノベーション、プロダクトとお客さまを第一優先すること、そして私たちの価値観に忠実であり続けていることによる成果です。

あなた、そして私たちのチームが、Appleを素敵なものにしています。そして、私たちを成功に導いたのは、あなたによる努力、貢献、情熱なのです。あなたが行なっていることに、とても謙虚な気持ちになっています。一緒に働けるのは、最高の名誉です。遅くまでの勤務や出張のほかにも、卓越したものでなければ満足しない、妥協のなさに、心の底から感謝します。

また、この機会に、お客さま、サプライヤー、ビジネスパートナー、Appleのデベロッパ・コミュニティ、同僚、そして私たちより前にこの素晴らしい会社で働いていた人たちにも感謝しましょう。

スティーブは、人間の発想力は最大のチャレンジでさえ解決できる、という信念に基づいてAppleを創立しました。「自分が世界を変える」と思っているほどクレイジーな人こそが、本当に世界を変えていけるとも信じていました。Appleのミッションは、今日の世界で今まで以上に重要になってきています。私たちのプロダクトは、驚きや歓喜の瞬間を作るだけではなく、世界中の人々がお互いの人生を豊かにする力を与えているのです。

いつも、このような瞬間にスティーブがしていたように、私たちはAppleの明るい将来と、共に取り組む素晴らしい仕事に期待していきましょう。

ティム

 

イノベーションを生み出さないアップル社の価値

新商品や新しいサービスが発表されるたびに多くのファンはジョブズ氏がいた頃のイノベーションをいまでも期待せずに入られません。

 

ジョブズ氏はプレゼンテーションで新しいラインナップや主要な発表を終えた後で「One more thing…(そうそう、もう一つ言い忘れていた)」と呟き(スライドを用意している時点で準備済み)、聴衆にサプライズを提供するニクい演出をするのが得意でした。

ティム・クック氏がバトンを受け継いでからもこの「One more thing…」は引き継がれているのですがかつてのようなサプライズな発表は今のところ殆どありません。

ジョブズ以来久しぶりのone more thing…の後で発表されたのはApple Watch

新商品の製品性能なども事前にリークされている噂でほぼ出切っており、新商品発表会後には「予想通り」と落胆をして株価が下がることももはや風物詩となりつつあります。

しかしiPhoneのカラーバリエーション展開や機種のモデルチェンジなどどんどん大衆化していくアップル社のプロダクトにも関わらずアップルの株価は上がり続けました。

経営者がその企業の時価総額をどれくらい上げられたかは、経営者の手腕を図る目安として最も代表的な数値と言えます。

ARMI(Average Monthly Revenue Increase)は一月あたりの株価収益の増加率を表しています。

横軸が在任期間で、縦軸が企業価値を上げた平均値です。

ティム・クック氏はジョブズ氏からCEOを引き継いでからの7年間で世界中のどの経営者よりもアップル社の企業価値を圧倒的に、群を抜いて高めたと言えます。

 

クック氏は77カ月の就任期間で、平均して月間16億ドル(約1,760億円)を稼ぎ出しています。これはテクノロジー企業に限っても、Alphabet(Google)のCEOを27カ月務めるスンダル・ピチャイ氏の5億4,600万ドル(約600億円)、Amazonで281カ月務めるジェフ・ベゾス氏の4億8,400万ドル(約532億円)をはるかに上回る高数値です。

ちなみにスティーブ・ジョブズ氏は、AppleのCEOとして15年間君臨した中で、ARMIは6億2,500万ドル(約687億円)でした。

これは先述したテクノロジー企業のCEOと比較しても、非常に優秀なパフォーマンスだと言えるでしょう。事実、ジェフ・ベゾス氏は23年以上Amazonを率いていますが、右肩上がりの成長を続ける中でもARMIは4億8,400万ドルです。

イノベーター理論という考え方があり、イノベーションを生み出すのはイノベーターと呼ばれるごくごく少数の人たちです。

しかしそれに続くアーリーアダプターや、アーリーマジョリティはイノベーターよりも圧倒的に人数の規模が大きくなります。

 

日本では創業者を持ち上げて褒め称える風潮がありますが、創業者がいなくなって会社が傾くことはよくあります。

創業者には経営者としての才覚があったが、跡を継いだ人にはそのカリスマ性や取引先などと折衝、経営判断などの能力がなかったり、会社として経営者に依存してしまっている状態から抜け出せない事が多いためです。

非常に稀ですが“中興の祖”と呼ばれる経営者がいます。このアーリーマジョリティやレイトマジョリティを味方につけるのが得意な人たちです。

マジョリティとは「多数派」という意味です。アップル社のようにiPhoneなどは沢山の人に使ってもらえれるほど売上や利益率は向上するビジネスではジョブズ氏からクック氏へのリレーはまさにアップル社の企業価値を最大化する事業承継でもありました。

 

iPhoneのAndoroid化。依存度が高く今後の伸びは…

現在のアップル社は高級スマートフォンというジャンルで競合するSamsungや中国系のファーウェイなどと市場シェアを奪い合っています。

スマートフォンのOSで見ればAndoroidとiOS、つまりGoogle対Appleとなりアップル社は同じアメリカ企業でかつ規模もアップル社を猛追しているインターネット界の巨人を相手にしています。

イノベーションではなく、スペックアップによるマイナーチェンジを一年に一度ほど行いながらもこれまではアーリーマジョリティを取り込むことに成功してきましたが、iPhoneがAndoroid化しており技術的なブレイクスルーは今やSamsungやLG、ファーウェイなどの中韓国企業発だったりすることも目立ってきました。

1兆ドルはゴールではないと言いますが、現在のアップル社がグラフの天辺のように現在がピークと考えるアナリストも少なくありません。

噂ではジョブズ氏の最後のアイディアとされているApple Car(自動運転技術を搭載した自動車)を研究開発中と言われていますが、先行するテスラなど既に製品化をしている企業もあり、Apple得意の先行者優位な展開は期待できそうにないというのが現状です。

 

続くGoogle,Microsoft,Amazonはまだ成長途上

Googleは親会社Alphabetが8,560億ドル、Microsoftは8,300億ドル、Amazonが8,795億ドルと混迷を極める二番手争いですがこのままの成長ペースで行けば2018年内にAmazonが1兆ドルに到達し、早ければ年内にアップル社も追い越すかもしれないとされています。

その他、Facebookを組み合わせるとアメリカIT企業五社だけでS&P500の15%を占めており、今後脅威となりそうなベンチャー企業を大手が先んじて買収してしまう事でイノベーションが起きづらい市場になってしまう懸念も心配され始めています。

 

シリコンバレーの成長がどこまで続くか

アメリカの今後を占うのがシリコンバレーの様子です。

 

愛知県ほどの広さの中に世界中のIT新興企業が集中しており、約300万人の住民、120万人の労働者がいるとされています。

全米で見ても4割の雇用者が500名以下の中小企業で働いているのに対して、シリコンバレーでは約7割の雇用者が500名以下の中小企業で働いており、所得も高く、起業率も他の地域を圧倒しています。

ここから次のイノベーションを起こす企業が生まれるのか、それとも…世界の関心はアメリカに集中しています。

 

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