伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチのマゼラン・ファンドにみるアクティブファンドの宿命

投資の神様とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏(88歳)は投資における様々な格言を残しています。

「10年間持ち続ける覚悟がないなら、10分足りとも株式投資をしようなどと考えるべきではない」

投資には忍耐が必要です。

昨今の初心者投資家は忍耐、覚悟が足らな過ぎます。

良いファンドマネージャー、素晴らしい運用実績を出し続けるファンドに投資さえすれば個人投資家は資産を増やせるのでしょうか?

その答えはNoだと私は歴史から学んでいます。

 

投資信託の運用や相談をしていてふと思うのは、世界で一番大きい預かり資産の投資信託とはどんなものか?です。

 

世界最大の投資信託、それは言い換えれば世界中の人が資産を預けている最も信頼されているファンドと言えます。

米国アクティブファンドの雄キャピタルのニューパースペクティブファンドでしょうか?

バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの運用するファンドでしょうか?

歴史的には伝説となったファンドが米国フィデリティ投信にはあります。

伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチが率いた「マゼランファンド」です。

同氏が1977〜1990年まで運用していた時期に年13年間、平均年率29%という意味不明なパフォーマンスを叩き出した伝説のアクティブ型ファンドです。同期間のS&P500は15.5%ですからまさに伝説とも呼べる実績です。

この間、預かり資産は2,000万ドルを140億ドル(約700倍)となっており現代の錬金術とでもいうべきこれは恐らく投資信託としては最大のパフォーマンスでしょう。

しかしピーター・リンチは働き盛りの46歳でファンドマネージャーを引退します。

以後、引き継いだファンドマネージャーによってマゼランファンドは脈々と運用が継続されています。

 

モリス・スミス(1990-1992年):12.7%
S&P500:9.2%

●ジェフリー・ビニック(1992-1996年):16.6%
S&P500:16.1%

●ロバート・スタンスキー(1996-2005年):6.9%
S&P500:8.1%

●ハリー・ラング(2005-2011年):-0.5%
S&P500:2.3%

●ジェフ・ファインゴールド(2011年-現在):15.3%
S&P500:15.1%
※ジェフさんの運用実績は2018年05月31日までのもの

ピーター・リンチの運用実績が異常とも言えるのですがチャールズ・エリス曰く「殆どのアクティブ型ファンドはインデックスに勝てない。但し、ピーター・リンチの運用するマゼランファンドやキャピタルの運用するファンドは例外だ」と言わしめた姿は今やと言った所です。

そしてウォーレン・バフェット氏が運用先の遺言として示しているように、S&P500の運用は驚異的です。

 

アクティブ型ファンドは何故、長期でインデックスに及ばないと言われているのか?

 

日本では少し前ならさわかみ投信のさわかみファンド、この10年であればコモンズ投信やひふみ投信(またはひふみプラス)、セゾン投信のファンドが代表的なアクティブ型ファンドと言えるでしょう。

いずれも人気のファンドですし、コモンズ投信、ひふみプラス、セゾン投信のファンドはつみたてNISA対象のアクティブ型ファンドです。

しかし人気のファンドというのは人気になるとパフォーマンスが発揮できない宿命とも呼べる現象が起こります。

テレビなどで取り上げられたことでその人気に火が付き、ガソリンまで巻いたような騒乱状態のひふみ投信(ひふみプラス)。今年などはかなり苦戦を強いられています。

さわかみ投信でも澤上篤人氏がファンドマネージャーを引退すると、運用こそ引き継がれているもののそのファンドがそれまでに培ってきたものは新たなファンドマネージャーの色に変わっていきます。

これは前述のマゼランファンドでも同様です。

ひふみ投信(ひふみプラス)も藤野英人というカリスマファンドマネージャーが健在で、手の届く規模であれば運用は順風満帆でしょう。しかし、人はいつか引退を迎えます。

マゼランファンドでも、さわかみファンドでも、ひふみ投信でも。

その時にパフォーマンスは徐々にインデックスに近づいていきます。

何故ならカリスマファンドマネージャーの手腕に期待して、多くの投資家が資産を預け、積立投資であれば資金は流入を続けるからです。

しかしファンドは規模が大きくなると次々に入ってくる資金を右から左に投資できる大型株への投資を増やさざるを得なくなります。

値動きは滑らかになり、個人投資家の期待するようなパフォーマンスはなかなか出ず、かと言って中小型株では扱いきれない大きな資金力となってしまいます。

 

「プールにクジラがいる」

ひふみ投信(ひふみプラス)を海外の機関投資家が指した皮肉ですが、ひふみ投信はこの事態を募集停止ではなく、海外に出るという戦略で乗り越えようとしました。

しかし想像以上に資金流入は多く、10%程度としている海外大型株への投資を進めても捌き切れない資金を抱え、何度かの下落ではTOPIXよりも大きく下げる結果に陥っています。

2000年当時、世界最大の預かり資産を誇っていたマゼランファンドでもそれは同様でした。

2000年には資産が1,100億ドルとなり、新規募集を停止。2008年に募集再開をしますが、2018年3月まで18年連続で資金流出が続いています。(それでも8年も募集停止をしてまだ繰り上げ償還されていないことに驚異を感じるが)

現在ではS&P500をベンチマークとするパッシブ型の「フィデリティ500インデックス・ファンド」(運用資産1,500億ドル)のようにマゼランファンドを上回る純資産総額を誇るファンドも登場しており、規模の大きくなり過ぎたファンドはその運用に行き詰まるのはジンクスというよりは宿命となりつつあります。

ではアクティブファンドの運用はインデックスファンドに負けるのか?と聴かれれば私はNoだと考えています。

 

そのためには次の5つの条件が揃う必要があります。

①ファンドマネージャー交代という宿命を乗り越える仕組み

②低コストの信託報酬のアクティブファンド

③10年超の積立投資を継続する仕組み

④スイッチングやリバランスによる運用メンテナンス

⑤運用益非課税と受取時の税制優遇

 

これを全て満たしている資産形成手段が国内にはただ一つだけあります。

変額保険と呼ばれる国内の運用益非課税、受取時の税制優遇を最初に実現した商品です。

変額保険なら何処の会社でも良いのかと言えば私は2社だけがこの条件をクリアしていると考えていますが、それは散々これまでも書いてきましたので割愛したいと思います。

次回はこのアクティブファンドの宿命を意外な形で乗り越えた長期運用ファンドをご紹介したいと思います。

 

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