数字で振り返る東日本大震災と保険の役割(損害保険)

昨日はあの東日本大震災から早いもので丸6年、昨日の生命保険と大震災に続き、

損害保険(地震保険) についても振り返ってみたいと思います。

我が国における地震保険は1964年6月16日、新潟県の粟島南方沖40kmを震源として発生した

新潟地震(M7.5)による甚大な被害から当時の大蔵大臣田中角栄によって検討され、1966年から開始されました。

死者26名と、地震の規模からすれば奇跡的な少なさだったのですが、

建物の全半壊8,600棟、

津波と液状化による浸水被害1万5,298棟と被害の規模は甚大なものでした。

以下は保険業法の改正に関する決議の内容です。

【保険業法の一部を改正する法律案に対する付帯決議】

わが国のような地震国において,地震に伴う火災損害について保険金支払 ができないのは保険制度上の問題である。差し当たり,今回の地震災害に対 しては損保各社よりなんらかの措置を講ぜしめるよう指導を行い,さらに実 施している原子力保険の制度も勘案し,速やかに地震保険等の制度の確立を 根本的に検討し,天災国というべきわが国の損害保険制度の一層の整備充実 を図るべきである。

地震保険は明治時代、欧米からやって来た保険という概念には当初はない考え方だったため、

また保険会社も国もそこまでの財源がなかったためなかなか開発をすることのできなかった補償領域です。

何しろ地震がいつ起こるか、それがどれくらいの規模のものになるかは誰にもわからないのですから

それによるリスクの大きさを数値化することは大変な事です。

そこで国と損害保険会社が一緒に支えることになったのです。

(このように相互にリスクを負担し分散する仕組みを再保険と呼びます)

※世界の地震保険では1900年代初頭からカリフォルニア州で地震保険が発売されたとされています。

1878年、ドイツのマイエット教授が国営地震保険制度創設を提唱。

わが国では1890年に「保険は民営」として修正、商法に民間保険として規定するも

地震リスク対して民間のみでは保険化が困難なため1899年の商法大改正時に、

民間保険から地震保険は削除され国内では実現しませんでした。

地震保険はその性質上、国内の何処の保険会社で加入しても同じ補償が提供されることになっています。

また火災保険に付帯(セット)でなければ加入できない事も十分に留意する必要があります。

補償額の上限は火災保険の最大50%までです。

建物は5000万円、家財は1000万円を上限としています。

また全ての保険会社が地震保険を取り扱っているわけではないことも

認識の必要があります。

※色塗り部分は弊社取扱の損害保険会社。

損保ジャパン日本興亜 東京海上日動火災保険
富士火災海上 あいおいニッセイ同和損保
三井住友海上火災保険 明治安田損害保険※法人保険のみ
朝日火災海上保険 共栄火災海上保険
ジェイアイ傷害火災保険 セコム損害保険
セゾン自動車火災保険 大同火災保険
日新火災

世界における日本の面積は0.3%ですが、世界で起きる地震の20は日本近辺で発生していると言われ、

日本で暮らす以上は地震は避けて通ることのできない災害となっています。

しかし地震保険の普及率は未だ48%と、約半数以上の世帯では未加入となっています。

地震保険の特徴としては火災保険との補償領域が異なる点が挙げられます。

地震が原因で発生した火災、津波などは火災保険では補償されない

・地震保険には「建物」と「家財」2種類があり、両方必要であれば両方に加入する必要がある

・地震保険では「全損(保険金100%)「大半損(保険金50%)「小半損」(保険金30%)一部損(保険金5%)の4区分で保険金支払いが査定される。

・地震保険では自動車・美術品・貴金属は補償対象外

・地震保険は損害保険と同様2社で契約をしても片方から保険金が支払われると、片方からは支払われない。

※2012年以降、自動車保険に「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」を付加することで

地震による自動車の全損時に上限50万円が支払われる補償を加えることが可能になりました。

地震が原因で起きた火災も火災だと思われるかもしれませんが、

地震が起きなければ起きなかった火災という考え方なので、

地震が原因で起きた火災は火災保険ではなく地震保険の対象となります。

損害保険は保険金支払事由に該当する起因を始点として考えるリスク対策です。

そのため上記のような補償領域の違いが生じることがあります。

地震保険についてまだまだ多くの誤解が日本には存在します。

地震などめったに来ない

地震が起きなければ保険会社の儲けになる

火災保険と違って全額が出ない

保険料が高い

大地震が来たら保険会社も経営が危うくなって支払われないのではないか?

損害査定トラブルが多い

果たして本当に地震保険は役に立たないのでしょうか?

実は地震保険はこれまで大きく注目されたことがありませんでした。

田中角栄による陣頭指揮のもと、1966年に始まった我が国の地震保険制度。

それが注目されたのは今回の東日本大震災からです。

阪神淡路大震災の時の地震保険支払額783億円、

東日本大震災では1兆2241億円の保険金が支払われました。

文字通り桁違いの支払いがされました。

これは政府、および保険会社やその募集人(外交員)が阪神淡路大震災以降に宣伝や

啓蒙活動をしてきたことによる地震保険の普及・浸透の成果でもあります。

そしてこれまで大きな支払いがなかったために1966年の地震保険創設以来貯めることが出来た

政府と損害保険会社の資金合計2兆4千億円から支払われたことになります。

地震保険で補償されている保険金額は1地震あたり円。(創設期3000億円から順次拡大中)

この貯めた資金や損害保険会社では賄いきれない不足分に関しては政府が一般会計から借り入れを行い、

資金の融通を行うことになっています。

また保険金を支払ったために貯めた資金は確かに減っていますが、

再び大きな被害が出るまで積立てられていきます。

上限7兆円は東日本大震災のおよそ5倍規模の地震が起きる範囲までは支払い可能ということになります。

大地震が来たら保険金が支払われない」という

心配は無用の仕組みであること、

保険は『一人はみんなのため、みんなは一人のため』の相互扶助の精神で成り立っていることを

多くの方に理解していただき、地震に対する備えを日ごろから各自が忘れずに行ってほしいと思います。

東日本大震災では生命保険だけでなく、損害保険も被災者の方の大きな支えとなりました。

支払われた保険金をATMで確認して、泣き崩れた契約者の方もいたといいます。

地震や津波によって大切な家族、想い出の町や家を失うという絶望の中でも、人は生きていかなくてはなりません。

目に見えない多くの人の支えの上に成り立つ保険という仕組み。

未来のお互いのために、防災準備と合わせて保険についても考えてみるきっかけにしてください。

「防災の日生まれ」のFPより

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