米国債の長短金利が逆転、FOMC直後だが緊急利下げの可能性が浮上

3月20日のFOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が年内の利上げをゼロと発表しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42742180R20C19A3I00000/

しかし23日にはアメリカ10年国債と3ヶ月国債の金利が逆転してしまいました。

満期までの期間の長い債券利回りの方が金利は高くなるのが一般的ですが、これが逆転するという状況は2000年のITバブル崩壊、2007年の世界同時金融危機など近年では景気後退期の入口として意識されています。

尤も今回の逆転は3ヶ月国債との逆転。2年国債との逆転はまだとは言え、アメリカが牽引する世界経済が減速していく方向であることは投資をしている人の間で危機感を持って注視していく必要があります。

中央銀行が誘導できるのは短期金利(政策金利)

FRBなどの中央銀行は金融政策として中央銀行と民間銀行、民間銀行間の金利を上げ下げする事で世の中への資金供給量をコントロールするという役割があります。

この時の金利が政策金利、いわゆる「利上げ」や「利下げ」の金利です。

政策金利が利上げされると中央銀行-民間銀行間の金利も連動して利上げ方向へ向かいます。リーマンショック以降の低金利政策で市場への資金供給量を増やしてきたアメリカの中央銀行FRBは2015年以降、段階的な利上げによって米国短期国債の金利正常化を行ってきました。

長期金利(10年以上)の金利は市場が決めるため、アメリカ国債ならアメリカの将来の景気見通しが明るいと金利は高く、見通しが暗いと金利は低くなります。長期金利は機関投資家らの市場の見方(受給)を反映します。

リーマンショック後の利下げ”量的緩和”適温相場の終焉

過去の債券利回りは不景気の度に回復基調を緩くしてきましたので、今回は3%台〜4%までは行かないだろうと想定されていましたが、巷に溢れる景気後退”懸念”によって想定よりも早い段階での利上げ停止となりました。

この利上げ停止の発表を受けて、21日にはダウ工業平均は216ドルも上がったにもかかわらず、「世界経済の景気後退」が3月25日に再び報道されるとダウ工業平均は106ドルも下げました。(そして日経平均は600円以上の下落)

株価が下がれば、債券価格は上昇します。そのために債券利回りは下落します。日本の10年国債はマイナス0.6%をつけ、金融機関など一部の機関投資家のみが買える40年国債は0.6%となりました。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-22/PNBB6M6JIJUO01

40年国債は日本で発行されている国債の中で現在最も長いものですが、購入のためには金融機関であるだけでなくワンロット数千億円というだけでなく財務省などによる様々な制約を受けます。

主に購入をするのは保険会社や年金運用機構などです。年金や終身保険などの運用に好まれます。

http://fis.nri.co.jp/~/media/Files/publication/kinyu-itf/2008/02/itf_200802_3.pdf

世界の債券ものの中には50年国債、100年国債も

外国においては50年物以上の国債が英国やフランス・イタリア・スイス・中国・メキシコ・アルゼンチンなどで既に発行されています。メキシコやアルゼンチンなどでは100年債まで発行されています。

アルゼンチンは10年ごとに経済危機を迎えているので、返す気がないと思えますがメキシコは何とも言えませんね。(個人的に中南米ではブラジル以外の国の経済は外貨準備高が少ないために信用してはいけないと考えています。)

メキシコはアメリカ南部と隣接しており、移民や工場移転などで貿易上の重要な相手国です。大きく揉めない限りは比較的マシですが、今のところ全トランプ大統領の発言次第ではないでしょうか。

下落があるから株価は上昇する

株価の変動のことを”リスク”と呼びますが、誰も一言も”危険”とは呼んでいません。

リスクとは上昇するかもしれないし、下落するかもしれないし、何年後にいくらか決まっていないことを指します。

https://www.smbcnikko.co.jp/service/mailmagazine/1501/annai/0811/lecture.html

リスクが大きいとはこの上げ下げの幅(振れ幅)の大きさを意味しています。

ダウ工業平均と日経平均を比べてみると日本はバブル崩壊後、株価の回復が出来ず停滞感が30年近くもの間付いて回っています。

一方でアメリカのダウ工業平均はリーマンショックで大きな下落を経験しましたが5〜6年で元の水準を超えており、長期的にはアメリカのGDP成長と連動するように右肩上がりで成長し続けています。

下落はたしかにすぐに現金化をしようという人にとっては大きな問題ですが、長期で資産の成長を目指す人にとってはチャンスと言えます。

「ピンチはチャンス」

下落に慌てるのではなく、長期的な視点で経済と株価を見てどのように判断するかは投資家自身にかかっています。

 

FRBが何もしないで株式市場が下落一辺倒になることはない

ITバブル崩壊の時も、リーマンショックの時も、今後もアメリカの経済に大打撃となるような下落が起きた際にFRBがいつまでも静観することはありません。

中央銀行とはそれらを調整するために存在します。

日銀は下げるべき金利が90年代後半から既にゼロ金利政策を実施しており、それでも株価を回復させられなかったために事実上の打つ手なしになっています。

黒田バズーカとかイールドカーブコントロールとかそれらしいことを言っていますが瞬間蒸発して打ち止めです。

2023年まで任期を延長しましたが、これはもうダメかもしれませんね。

Related posts

  1. 日本人が誤解している投資の話、GDPと株価の関係

  2. 失われた30年、昭和から平成への構造転換について振り返る

  3. 投資を始めるなら証券取引所に見学に行こう!

  4. つみたてNISAのウソ。森金融庁前長官のその後とスルガ銀行融資問題

  5. 常識を疑え!マイホーム(住宅ローン)・不動産投資は売り手都合の作られた幻想

  6. 亥年の相場は”固まる”?2019年はNISA・つみたてNISAをあえて避けるべきと考える理由

  1. No comments yet.

  1. No trackbacks yet.