日本人が誤解している投資の話、GDPと株価の関係

GDP(Gross “Domestic” Product)、”国内”総生産は国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額の事です。

“国内”のため、日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まれません。

一方かつて使われていたGNP(Gross “National” Product)は“国民”総生産のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んでいます。

 

さて、近年の投資では「株価の上昇しそうな企業を当てる」や「株価の上がりそうな国を当てる」という考え方は「投機」に分類され、日本で”投資”家と一括りにされている人のうちの大部分が行なっている売買もどうやら”投機”に分類されるそうです。

他方では「貯蓄から投資へ」と金融庁が2014年から旗を振るNISAは当初の5年が満了して約1,100万口座(稼働率47%前後)、2018年から始まったつみたてNISAは1年で約100万口座。厚労省が旗を振るiDeCoは2年で約110万口座の開設となり、順調な船出のようで制度としての欠点や課題も浮き彫りになりつつあります。

個人的には投資についてお役所の「俺は仕事しているぜ」感はどうでも良いので新しい制度を乱立させるよりも銀行預金に置いている資産に課税をして、証券税制に課税するのを廃止するか預金よりも課税を少なくするなどの強硬策でもしない限りは日本の「貯蓄から投資へ」はドラスティック(抜本的)には進まないと考えています。

預金に前年の所得の2倍よりも多い資産をおいていれば年率1%課税。これ、私的にはかなりポイントの高い考えなのですが金融庁の偉い方いかがでしょうか?

店舗を持つ銀行は殆ど潰れるけど、役割を果たしていない金融機関なんか要らないでしょ?

特に地方銀行とか。ネット系銀行とコンビニ銀行(ATM)があれば困らないというのも実情ではないでしょうか。

あなたがたのやっている方針をほんの10倍速でやるだけですから何も問題ありませんよね?

日本では戦中の貯蓄推奨令以来、貯金をすることが美徳とされて来ました。(実際には戦中の政府のプロパガンダに踊らされて資金を回収されたのですが)

英国ではあまりに国民の貯蓄率が低いためにISA(日本のNISAのモデルになった制度)では貯蓄をすることで税制優遇を受けられる仕組みがありました。

また日本でも景気の良かった時代には一般財形や財形年金など預金利息に対する非課税制度を推奨していました。

世間の人は馬鹿ではありませんので、折角の利息が一定額までとは言え非課税であるならと積極的に財形を活用しました。

現在では利息はほぼないので給与天引き積立預金としての役割くらいしか注目すべき点がありませんが。

取れるところから取ろうという発想からいち早く脱却して預金に課税し、持ち上げたい投資に関して非課税や税制優遇をすると言い始めれば、日本が30年間も重い腰を上げなかった資金の大移動が起こるでしょう。

それをやらないのは金融庁や国税庁が銀行という天下り先を提供してもらえなくなると困るからやらないだけです。

空気を読んでいるのです。そういうのもう要らないでしょう。何のための税制でしょうか。

税制とは国が国民の資金をどのような場所において欲しいのかの意図を示し、資産の再分配を行うための仕組みです。この国の税制に意図はあると言えるでしょうか。

取れるところから取ろうということだけに固執して、前提条件を見落とし自らの保身に走り、国が進むべき方向性を明確に強く示さないから日本は没落したのです。国の役人は等しく罪人扱いされた方が社会のためです。

そして投資をしなかった国民は自ら社会の経済という歯車であることを忘れ、我が身可愛さにせっせと貯金をしました。

日本企業は資金確保の手段を株式市場から十分に得られず、銀行などの旧態依然とした箇所から資金の融資を確保するに留まり、銀行は貸し倒れの少ない無難な企業や大手企業などにしか融資をせず、貸し剝がしや貸し渋りを行いました。

結果として経済は停滞し、社会は厳しさを増し、雇用は切り捨てられ、企業は内部留保を進めました。

バブルの頃を上回る過去最高益を数多くの企業が達成しながら多くの労働者がその恩恵を実感できないのは国民自ら投資をせず、経済の循環を止めてしまった経済の仕組みを理解していない官僚と国民自身の責任でもあり、同罪です。

https://www.sankeibiz.jp/smp/business/news/181106/bsg1811060500005-s1.htm

GDPの定義する「付加価値」とは

世界の経済の中心であるアメリカの企業、特にIT企業が生み出す付加価値は今日では利用していない人の方が少ないかもしれません。

朝、会社に行けばMicrosoftのOS/Windowsが搭載されたパソコンを起動させ、OFFICEのEXCELやWORDを活用して仕事をします。

会議となればPowerPointも登場しますね。

電話が鳴ればiPhone/Androidを取り出し、スケジュールの確認や調べ物にGoogleを利用します。会社によってはSalesForceで業務管理を行っているところも多いでしょうか。

会議で社長や部長などの偉い人が最近読んだ本の話をすればAmazonで早速本の注文をして、人によってはKindleで読んじゃう人もいるでしょうか。

昼休みになれば今日のランチをスマホで撮って、FacebookやInstagramにアップロードして「いいね」を集める。

夕方にはTwitterで何処かの飲食店でアルバイトをした人がバカやったのを自慢して一生を棒に振るのをほくそ笑んで、自宅に帰ればNetflixやHuluなどで動画を観ながらUber Eatsが運んできた夕食に舌鼓を打ち…まぁ、大なり小なり現代人の仕事と生活の中にアメリカ企業はかなり侵食しています。

ここに登場した企業が展開するサービスや商品をエンドユーザーが手にするために宅配便の配達員は汗水流して不在連絡票を握りしめ、通信回線を提供する業者は基地局やシステムを設置・メンテナンスして、ユーザーは使用料を支払います。

GDPとは国内で生産・流通・販売・消費という経済活動がされるとそこに生じる付加価値(原材料費や人件費など)が次々と加算されていきます。

生産をその国で行なっていなくても誰かが仕入れなければその商品を手にすることはできない訳ですから、生産と仕入れを置き換えれば、販売価格-仕入れ値でGDPへ加算される額が算出されます。

GDPは国内において経済活動が発生して生み出された「付加価値」の合計ですから言い換えるのであれば給与や買い物の代金なども全て合計されます。

携帯電話の料金も、食事も、全て支払額-原価(仕入れ値)を差し引いて合計されます。

GDPが高い国というのは経済活動の活発な国であるという事になりますし、GDPには個人・企業・政府が関わります。

支出という観点から

個人消費+民間投資(設備投資)+政府支出+純輸出=GDPになります。

GDPが成長している国で、給与が上がっていないとすれば企業が内部留保して労働者に還元をしていないか、政府が社会保障や税などでぼったくっていることになります。

つまりGDPの成長率とはその国の経済が順調に回っているかというバロメーターと呼べます。

知れば深まる!GDPの計算式とは?用語の覚え方のコツとは?

世界人口の増加とGDP成長

21世紀はアジアの時代と言われるように、中国やインドに限らずインドネシアやフィリピン、ベトナムなど20世紀に欧米諸国から独立をした国々も大きな経済成長を果たしています。

人口が増え続けていることも後押しとなり経済が活性化しており、つい5年前10年前に行ったことがあるアジアの小さな都市と思っていた街が既に大都市に変わっているというのも珍しい話ではありません。

中国は日本人が「アイツら自転車漕いで通勤してやがるwww」とか思っている間に日本を国家レベルでは追い越して行きました。

既に車通勤どころか混雑した電車に慣れた日本人でもゲロ吐きたくなるような超満員電車で通勤しています。人の数だけで充分酔えます。

もっとも中国は一人っ子政策という少子化を自ら引き起こす政策によって既に人口減少社会に突入しかけています。

人口は世界中でヨーロッパ・日本・韓国・中国を除いてほぼ全域で増えています。

世界の人口が増えるとそれだけ消費活動が活発になります。消費が増えると企業は商品やサービスを積極的に提供しようとしますので、その国で生み出されるGDPは増加していきます。

世界全体で見ると世界全体のGDPの増加に伴って、世界の株式は上昇をしています。

企業の株価の上昇もまたGDPに含まれる付加価値の一部です。

株価は短期的にはアップダウンがあるので、投資は長く継続しなければその恩恵を得られないのですが市場の幅広い企業に満遍なく長期で投資をする意味で経済の成長力への間接投資こそ資産形成における投資と呼べます。

GDPが成長するとその国の平均株価が上がる、逆もまた真なり

個別の企業へ投資をすることは余程の目利きが出来ない限りは投機と変わりありません。

例えばその国の経済が伸びていても、その中の一企業の価値が株式市場全体のうちどれ程の影響があるでしょうか。

たとえ国としてGDPが成長していても、株を買った一企業の企業価値が伸びるかは分かりません。しかしその国の上場企業の平均株価(米国ならS&P500など)は上昇します。

投資による資産形成や資産運用は「国当てゲーム」でも「企業当てゲーム」でもありません。

これらから言えることは「GDPが成長している市場全体に満遍なく投資をするコストの安いインデックスファンドを活用する」ことが一定の合理性を持つ背景にあります。

多くの方が考えている投機は時間をかけない代わりに大きく儲かるか大きく損をするかです。

GDPなどの経済成長に着目した資産形成には時間がかかります。可能であれば10年超は欲しいところです。しかし着目した国や地域の経済が成長すれば、投資対象の資産価値はそれに伴って果実を成します。

日本でインデックス投資が普及しない理由

日本では金融庁の森前長官が一生懸命旗を振って「つみたてNISA」という低コストの税制優遇制度をスタートさせました。

森前長官は「日本でもアメリカのようにインデックスファンドが株式市場を底上げしてくれる」という理想と理論と理屈を掲げていましたが、日本の経済の実態を鑑みれば例えそれが積立投資であろうと今後さらに厳しいものになると想像できないほど愚かではありません。

2017年4月の森前長官のアナウンスでは国内5,700本の個人が買える投資信託(公募投信)のうち半分近くが毎月分配型や信託期間の短いもの、高レバレッジなどの複雑で資産形成に向かない投資信託であると指摘しています。

残りの半分の大部分はアクティブ型投信で約2,700本。インデックス型投信はわずか380本ほどと指摘しています。(2018年末のインデックスファンドはおよそ500本)

日本では世界と逆行してインデックス型よりもアクティブ型が普及したのは何故でしょうか。

答えは日本の経済、GDP成長率が20年間で世界最下位だからです。

http://blog.esuteru.com/archives/9205834.html

 

別に発展途上国に経済成長で競う必要はありません。しかし他の先進国と比べても、圧倒的にまるで成長していません。

成長していない国の株式市場に投資をするということはその中でも選りすぐりの企業を絞り込んで投資をする”アクティブ型”での投資が市場平均を上回る一つの選択肢となります。

手数料などの課題が日本の投資環境にないわけではありませんが、それがあるから日本でインデックス型投信が普及しないのではなく、日本の株式市場がそもそも魅力的でない、ただそれだけです。日本株の特に良い点ですが…

何一つありません。日本人にとっては自国バイアスがかかっていて、知っている企業、馴染みのある企業というだけです。

資産を増やせるかどうかでは特に良いところがありません。

 

為替リスクがない?

それはドル円相場が円安方向へほぼ長期的に逆行している現在において自ら損をしに行くような発想です。

円高?短期的にはなることもあるでしょうけれど、ジワジワと円安方向に進んでいることと日本経済の衰退はリンクしています。

資産の全てを投資しろとは言っていません。

しかし円でいつでも使える資金は資産の50%これが上限でしょう。

日本人は投資を一つのジャンルとして捉えがちですが、投資は経済×金融×哲学×経営などの複合的要素を持っています。

思考停止して「どうしてこうなった」と嘆いているばかりではいつまでも経済は停滞し続けるだけです。

投資リターンとはリスクを背負って、挑戦した人にだけ与えられるものです。

投資をしない人は世界の経済がこれ以上成長しないという側に立つ事に等しい行為です。そして投資をしない日本人は30年、先進国で最も貧しい国に衰退したのです。

まだ衰退を続けますか?

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