「あなたの人生に投資は必要ですか?」GDP第3位なのに国民所得は19位まで日本が後退した原因を垣間見て絶望する話

日本人の投資教育が遅れている…今年1月に年頭の挨拶で語られた遠藤金融庁長官の危機感は「遠藤ペーパー」として日本の金融に携わる様々な人から皮肉られています。

https://newstopics.jp/url/5457326

遠藤ペーパー…林家ペーパーみたいですね(苦笑)

森前長官の時には「森レポート」として金融庁Webページに掲載されるものだったのに対して何とも扱いの雑なことでしょうか。年頭訓示ですから扱いがこれなだけでしょうか。

 

昭和の成功体験を引きずった日本人の投資意識と貧困率

日本人は投資に対して平成の30年間、ずっとある価値観に基づいて行ってきました。

“投資は危険である”

”投資はギャンブルと変わらない”

”下がるリスクがあるなら、減らない貯金の方が安全だ”

人によって表現の仕方は様々ですが、それは日本人の資産配分にも如実に表れています。

金融庁が公表している米英日の中央銀行による2015年末の個人金融資産の配分です。

日本人は資産の50%超を現預金に置いており、英米と比べて株式・投資信託や保険・年金にあまり資産を配分していないことが分かります。

この資産配分の結果、1995年〜2015年までの20年間で3カ国における個人金融資産は次のように変化しました。

英米では2.27倍、3.11倍に個人金融資産を増やしました。

ここで見落としてはいけないのが各国の直接投資(株式・投資信託)での投資が単に多いことが個人金融資産を増やしたという話ではない点です。

株式・投資信託での投資額が多いという意味では英国より日本の方が多いのです。

しかし英国は日本よりも少ない投資額で資産を増やした訳ではありません。青い枠線部分が間接投資を含む投資方法によってどれくらいの資産が投資されたかの実数を示しています。

米国45%、英国35%、日本18%…

直接投資分を差し引くと個人金融資産における間接投資の割合が出ますね。

米国16.4%、英国24.1%、日本3.9%

間接投資の差が個人金融資産の大きな成長に寄与していることが考えられます。

さて日本人がリスクを嫌がり、預貯金を好んだ結果はこのように金融資産に対して明らかな差を生み出しました。

多くの日本人が1995年に資産を増やす方法として捉えていた銀行預金は原則としては国債金利と連動します。しかし個人が買える国債は最長10年まで。ご存知の通り日本は1998年に銀行間のお金の貸し借りについて金利をかけない「ゼロ金利政策」を導入し、我々個人の預金金利を含む短期金利の低下を招きました。

預金ではお金が増えない…という事を実感するには十分だった出来事ですが日本人は長く染み付いた習慣、「預金は安全」から抜け出せませんでした。

しかし金利はみるみる下がり続けました。

何しろ本来であれば預金からまず移すべき長期債券で利率を約束して運用する貯蓄性保険に対しては「保険は要らない」という大きな誤解をして保険募集人を敬遠しました。リテラシーの低さが成せる技です。

 

またその次に資産を移転させる株式、証券市場はバブル崩壊間もなく、多くの日本人は投資をする勇気がありませんでした。

(結果的に日本株へ投資をしないことはある一面においては正解だった)

 

預金においていても資産は増えない(インフレによって購買力は低下する)

保険を活用するという発想がない

株式投資は下落が怖くて投資できない

まるで三竦み…多くの日本人は全く身動きが出来ずに20年が過ぎました。

結果がコレです。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_average_wage

各国の平均所得を比べると日本人はGDP世界第3位にも関わらず、一人当たりの所得では既に19位まで後退しています。

税金や社会保険料を差し引いた手取り所得(可処分所得)を薄緑色のグラフで表していますが、この中央値の半分を下回るラインが貧困ラインと呼ばれていて、これを下回るとその国の貧困層になります。

年収500万円の肩働き子供2人世帯(夫婦のどちらかだけが働いている世帯)を例に取ると子供手当て(児童手当)、社会保険料負担増、消費税増税によって年間25〜30万円の手取り所得が減っていることが分かります。

しかも私立大学の授業料は日本のGDP成長率に連動して値上がりしています。

 

結果、日本の相対貧困率は経済破綻した先進国ギリシアよりもひどく、チリやラトビアなどの国々に匹敵する水準まで到達しています。

 

片や資産形成によって個人金融資産が増えた欧米人は日本を始め世界の各地へ旅行を楽しむようになりました。

外国人旅行客、アジアの国々の方も多いですけど欧米の方も沢山見かけますよね。

これは資産に余裕が出来た事、自国と比べて物価が安いなどの複合的な結果によるものですが言い換えれば日本が貧しい国になりつつあるという事でもあります。

【急上昇!?】日本は世界の観光客数ランキングで何位なのか? 国連観光統計2017を読む。

金融庁がアンケートを取りました「あなたの人生に投資は必要ですか?」

遠藤ペーパーによる危機感からも読み取れるように日本の金融リテラシー(教養)は危機的状況にあります。

平成27年事務年度の金融レポート(58/127ページ)では「あなたの人生に投資は必要ですか?」というアンケートに日本人は次のように答えています。

https://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4.html

 

必要ない83% 必要17%

え、多くの人は必要ないと思っているの?なんで?

金融庁も単に高いお給料を税金でもらっていません。

何故、「投資は不要と思うのか」を調査しています。高学歴、仕事に対してのプライドはあるようです。

複数回答可という事ですが60%は「そもそも投資に興味がないから」

投資に興味が…ない…だと…

 

「投資は損をするリスクがあり、怖いものだと思うから」34%

日本人は”完璧”つまり”元本保証”を意識するあまり投資におけるリスクを完全に見誤っています。

 

「自分には投資の知識がなく、投資を資産形成に役立てられるとは思わないから」29%

知識がないなら身につければいいのではないでしょうか?

最初から出来ることしかやらなければ進歩しません。それは退化、後退と変わりません。

何故、学ぼうとしないのでしょうか?

理解するための努力はしているのでしょうか?

 

「投資はギャンブルのようなもので、資産形成のためのものではないから」21%

一体いつから、投資とギャンブルは一緒になってしまったのでしょうか。

これは日本の証券業界にも責任の一端がありますが、明らかな知識不足の模範解答です。

 

「将来のことは予測できず、今考えても仕方無いと思うから」13%

いやもう…ごめん、本当にごめんなさい。

時間を味方につけるって、知らないんですよね。

日本株だけしか見ていなければそう考えてしまいますよね。

勉強しようぜ…

 

「贅沢をせず、家族や周りの人に支えてもらえれば、それなりの老後生活が送れると思うから」13%

親や兄弟、子供や孫、社会が何でもいつまでも面倒を見てもらえると本当に思っているのでしょうか?

あの、そういうので日本の社会が逼迫しているのですが…ご存知でしょうか。

そういうのすごく迷惑なんですけど?

そのお陰で社会保険料や税金が増えているんですけど?

その一因もあって日本は貧困層が増えているんですけど?

 

「現在、預貯金だけでも十分な貯蓄があるから」8%

言ってみたい!

お金ならあるし?

そういうの気にせず暮らせるだけの資産があるって素敵!

仮に今、50歳で1億円の資産があるとして昨年と同じくらいの物価上昇が継続すると1円も使わなくてもおよそ30年で資産は半分になります。

物の値段って値上がりしますから。インフレって奴です。

人生100年時代、あと50年生きるとすればインフレ率=利回りで最低でも運用しないと資産は購買力としては年々目減りしていきます。

 

「このまま働き続ければ貯蓄は増えるし退職金ももらえるので、将来の備えとしては十分だから」5%

働き続けられれば…

退職金がもらえれば…

昭和の景気の良い時代なら兎も角、大手企業や公務員でさえ退職金や預貯金だけでは老後の生活に不足…と多くの方が考えているのですが、時代が変わっていることや人によって備えるべきリスクの種類が異なることを正しく認識されているでしょうか。

今までよほど恵まれた家族や親族、職場や業界で働いてきたんだなー…

 

急病、就業不能、リストラ、倒産…大手企業でさえどうなるかも分からない時代に正気でしょうか。

 

投資は必要だと思うけど、投資をしていない理由は?

 

残り17%は必要だと回答していますが、そのうち投資未経験者(1135名)の「投資をしていない理由」を聞きました。(金融庁グッジョブ!)

 

「まとまった資金がないから」73%

「投資とは金持ちがやるものだと思うから」22%

まとまったお金がないと資産形成って出来ないんですかね?

お金がないから資産形成するんじゃないのでしょうか?

もしかしてもしかして?資産運用と資産形成を混同していないでしょうか。

 

「取引を行う時間的ゆとりがないから」30%

これ、投資=デイトレードと混同していませんか?

こんなことやっているのは一部の投資家だけですよ?(笑)

っていうかロスカット、多いな…(¬_¬)

 

「投資の知識がないから」47%

「投資は損をしそうで怖いから」38%

「どのように有価証券を購入したら良いか分からないから」37%

「投資はギャンブルのようなものでイメージが良くない」19%

金融レポートから読み解けるのは、多くの日本人は金融リテラシーが低いとかそういう段階ではなく、完全に思考停止で学ぶことさえやめてしまっていることが分かります。

 

日本人がまずやるべきこと

働く我々にとって今本当に必要なのは、新しい税制優遇制度を設立することでもなければ、銀行や証券・保険業界を締め付けて顧客本位の〜(FD宣言)を上から押し付けるのではなく、足元の消費者教育に対してきちんと正しい金融教育を行うことではないでしょうか。

特に日本人は情報が無料であると大いなる誤解をしています。

投資に関して書籍も無数に出ていますが、2、3千円程度の本で資産を簡単に増やせるって本気で考えているとしたらマジでヤバいですよ。

金融庁自ら発信しているつみたてNISAや厚労省自らが発信しているiDeCoでさえ誤った情報を垂れ流しているくらいですから、個人としてはお金を払ってでもきちんと相談者を導けるFP/IFAを見つける事でしょうか。

そろそろ無料相談の時代は流石に終わりに近づいているのではないでしょうか?

結果を出す自信があるから有料なわけで、ライザップが無料だったら誰がやるんですか?

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