イギリスで誕生した投資助言業IFAとは

マーガレット・サッチャー首相

証券会社で購入が出来る投資性の金融商品の販売方法は長らく

証券会社に所属する外務員を経由で売買する方法が主流でした。

バブル崩壊後の金融ビックバンによって様々な規制が緩和される際に勧められた手数料の自由化によって、

インターネット経由で売買が可能なインターネット証券が登場しました。

証券業界の収益源であった手数料は大きく下がり、収益の柱をその他のビジネスで支えることになりました。

 

金融商品仲介業者の解禁

それと同時に日本では1998年4月に安田生命、丸紅、セコムなど12社合同で

共同出資して作られた日本インベスターズ証券(現SBI証券)、

同年5月に米国チャールズ・シュワブ元社長によって設立されたアドバイザーテック証券(現日興コーディアル証券)、

1999年11月に設立されたLPL日本証券(現PWM証券)などによって日本における

『金融商品仲介業』を可能とする証券会社とそのサービスが誕生しました。

 

『金融商品仲介業者』とは証券取引における口座開設・取引等の媒介等を行うことが

認められる登録外務員制度(IFA)のことです。

日本ではそれまで証券会社に所属する外務員しかその会社で扱う商品の販売を行うことができませんでした。

しかし金融商品仲介業者が解禁されたことによって、

証券会社に所属しなくても商品を販売可能になるという仕組みです。

上の図は楽天証券のIFAの場合です。

一社専属のIFAもいれば、二社以上の複数社のIFAをしている場合もあります。

証券会社は現在、お互いの商品を取り扱っていることが多く複数社扱うことで

幅広いラインナップにすることも可能ですが、実態としてはあまり効果的ではないことが多いようです。

IFAとはどんな職業?

IFA(Independent Financial Advisor)とは独立系ファイナンシャルアドバイザーの略称です。

特定の金融機関に所属しない独立・中立の立場でお客様にとって

最適な資産形成のアドバイスを提供する金融商品取引に関するアドバイスの専門家と定義されています。

 

このような言葉を聴くと似た職業にファイナンシャルプランナー(FP)を想像する方がいます。

FPはライフプランニングを基礎として、貯蓄や保険などの

既存の完成した金融商品を組み合わせることで顧客のライフプランを実現する手伝いをすることを目的とする職業です。

IFAは株式や投資信託など投資的性格の強い金融商品(資産)を提案・管理・運用する

アドバイス(アセットマネジメント)を主としており、証券会社が扱う商品を仲介・媒介することで

成り立っている職業です。

類似している面もありますが、株式や投資信託などのいわば素材を組み合わせて

顧客に合った資産形成・資産運用のサポートをするというのが基本的な仕組みです。

IFA誕生と国営企業の民営化?

 

現在のIFAのひな型は1980年代のイギリスで誕生しました。

当時のイギリスは「英国病」と揶揄されるほど社会保障が国の財政を圧迫している時代でした。

“ゆりかごから墓場まで”とまで言われた充実した高福祉の社会保障は資本主義経済の成れの果てでした。

国民はより手厚い社会保障を求め、その一方で高い税負担を嫌い、

選挙でそこにメスを入れようとすれば落選する・・・(まるでどこかの国の選挙の様ですね)

そのために何十年にも渡って経済は鈍化し、財政は悪化の一途を辿っていました。

その改革の旗手となったのがイギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャーでした。

 

 

ロンドン大学(School of London)で提唱された新自由主義・新保守主義を政策として掲げ、

イギリスの国政への改革を進めました。

 

サッチャー首相(当時)が行った政策は多岐にわたりますが、

ここでは経済と金融に関する事例だけをご紹介したいと思います。

新自由主義の根底にある考え方は「個人の自由や市場原理の再評価」と

「政府による個人や市場への介入は最低限であるべき」というものでした。

それまで国が独占的に行ってきた経済の規制緩和、

水道、電気、ガス、通信、鉄道、航空の民営化を推進しました。

1986年にイギリスでは証券取引に関する大幅な金融改革が進められました。

「ビックバン」とサッチャー首相が呼んだその政策を下支えしたのが前述の公共機関の民営化とIFAでした。

 

次々と上場する元国営企業。

これらが上場するタイミングに合わせる様に証券取引における様々な規制を緩和していきました。

また国民の多くが投資についての助言を得られるようにファイナンシャルアドバイザーを解禁しました。

 

民営化によって以下のような効果があったと評価されています。

  1. 国営企業50社が民営化、96万人の従業員を民営企業へ移行
  2. 個人投資家が1979年の300万人から1000万人に増加
  3. 79年から96年までに国営企業の民有化によって600億ポンド(11兆4千億円)の利益

一般社団法人地球産業文化研究所「イギリスの金融制度改革と国営企業の 民営化について 」

イギリスでは主流の金融アドバイザーIFA

市場に個人投資家が増えたことによって経済や国の政策への関心も高まりました。

個人投資家が増えたことで、また経済の活性化が促されたこの成功体験によって

イギリスは金融立国としてのポジションを確立していきました。

この土台となったのがIFAによる投資助言でした。

 

英国では現在、生命保険や投資信託などの金融商品の相談先・契約先として、

半分以上のシェアを有しています。

IFAはイギリスでは銀行や証券会社、保険会社などの外交員やFPへの相談以上に、

身近で信頼されている販売経路となっています。

 

次回はIFAがアメリカにわたり、証券業界のリテール(個人向けの小口取引)へどのような影響を与えたのかをご紹介します。

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