米国10年債券が節目の3%台を回復、為替リスクにH有か無しか

先日、アメリカの10年国債が節目とされている3%台を回復しました。

実に2014年1月以来のことです。

長期債券はその国の「経済の体温計」と呼ばれ、アメリカの経済が中長期的に期待できるという1つの目安になります。

債券利回りが上昇すると株価はブレーキがかかり減速するという教科書通りの値動きが数日に渡り続きました。

また為替は短期的には円高、中長期では円安に振れるとこれまた教科書通りの値動きでした。

米国株式市場は再び反発して株価の堅調さを取り戻し、活性化を目指します。

このような時に気になるのが為替の動きです。

堅調な米国株式に投資をしていて株価上昇の恩恵を受けても、為替が円高に触れたことで相殺されてしまう事があります。

これを回避する方法として投資信託などでは「為替ヘッジ有」を選ぶことで円高による損失を限定することが可能です。

 

為替ヘッジにはコストがかかる

例えば日本から米国株式に投資をする場合、為替ヘッジのコストは日米の短期金利(1年以内)の差がコストとなります。

Bloombergによると現在の米国12ヶ月債券の金利は、

「2.19%」です。

対する日本は次のようになっています。

日本国債12ヶ月ではもはや金利がつかず、今日借りて明日返す金利しか開示されたいません…

便宜上この数値で計算をしますが。

ということは0.10-2.19%=-2.09%

 

2.09%コストが発生します。

言い換えれば運用リターンを2.09%失うことになります。

なかなか無視できない高コストといえるのではないでしょうか。

 

どれくらいの運用期間とリターンを目指すかにもよりますが1年以内などの短期運用や利益確定の段階に入っている人以外は為替ヘッジは不要というのが私の基本スタンスです。

 

為替ヘッジが有効なのはこんな時

前述のように利益確定の時期が近づいている人などを除けば為替ヘッジは重荷でしかありません。

しかし為替ヘッジが有利に働くシーンもあります。

例えば日本円が再び円高となり、1ドル70円台〜80円台を中長期で目指す場合です。

長い投資期間において為替は循環しますので絶対にないとは言い切れませんが、今のところはほぼないと言えます。

為替は両国の需給関係と連動します。円高とはある通貨に対して価値が高いという事ですからドルよりも円の方が価値を持つ背景が必要です。

アメリカが戦争で本土を狙われ壊滅するような危機的状況に陥ったり、アメリカよりも日本の債券金利が高い状況になるなどです。

日本人としては少し残念ですが、日本の経済が活性化して日本の将来に対して前向きになると円の価値は高くなります。

今のグダグダ政治劇場(脚本:安倍晋三)をやっている限りは日本の経済が活性化する事はありえません。

円高になるとしてもそれは瞬間的なもので、恐らく100円を切ることさえ当面はないでしょう。

 

ほぼ起こりえない事態ですが為替ヘッジが有利に働く際にこんなシチュエーションがあります。

日本の債券利回りが5%、アメリカ債券利回り3%の場合は2%の差が生じますので為替ヘッジ有にしていると円高へのリスクを抑止できるのに加えて2%金利差を黙っていてもリターンとして受け取れます。

まぁ、有り得ないですけど。

 

(債券利回りを上げると借金の利払いが増えて政府と日銀の進めているプライマリーバランスが崩れて財政健全化が遠のくので)

しかも債券利回り5%ということは銀行預金などのノーリスクでもきちんと利息が付いてくれるようになりますが、そんな状況であえて外貨に両替して資産運用をしようという需要はどれほどあるのでしょうか。

 

為替ヘッジ付き保険商品が登場しない理由は無駄だから。

この為替ヘッジという金利差を利用した仕組みを理解すると元本確保型の金融商品である貯蓄性の高い保険商品に為替ヘッジ付き商品が登場しない理由が想像できます。

日本の金利が低すぎて、為替ヘッジだけで利回りの大部分を殺してしまうためです。

リターンが得られないなら既にその投資商品は価値がないわけですから需要がないということになります。

 

金利差がなければ出来ない理由でユーロ建保険商品は絶賛販売停止中

かつてユーロ圏の金利が正常だった2000年代には外貨建保険の種類には現在の米ドル・豪ドルではなく、米ドル・ユーロでした。

しかしユーロ圏のマイナス金利発動以降は販売停止が相次ぎました。

その後、PIGS問題(ポルトガル・イタリア・ギリシア・スペインの経済危機)が取り沙汰され、イギリスのEU離脱など今もその火は燻っており最悪の場合にはEU解体さえあり得なくはない状況です。こんな中では金融機関はユーロ建商品の組成に前向きにはなれません。

 

一方でユーロ建終身保険などを契約をしていた方にとっては予定利率2%以上を約束してくれ、為替が1ユーロ=127円と円安になっているのだから始めたタイミングや払込期間にもよりますが全般的に悪くない契約だったと言えるでしょう。

 

為替ヘッジ、それは使い所を間違えなければ確かに役立つ武器になりますが長期投資を考えるならそれに無駄なコストをかけるよりも我々は気を配る必要のある事が多々あるのではないでしょうか。

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