つみたてNISAが投資家から非難される様々なデメリット

2018年はいよいよ日本の投資・資産運用業界にとっては正念場を迎える『つみたてNISA』の開幕です。

2014年に始まった少額投資非課税制度『NISA』(以後、一般NISA)は

順調に口座開設数を1,101万9,033口座に増やしてきました。

(2017年9月末時点 金融庁NISA・ジュニアNISA口座の利用状況)

 

一人一口座のみの開設ですから赤ちゃんからお年寄りまでで

総人口のおよそ10%近くの方が口座を開設したことになります。

(稼働率40%台なので実際にNISA口座で投資している人はその半分以下)

この中には未成年の方向けのジュニアNISAも含むのですが、

開設者数の大多数を占めているのが成人以上の方。

過半数は60歳以上の方と言うのですから

日本の投資環境ほど若者に厳しい先進国はないでしょう。

 

このNISAは既に2023年から始まる5年間で廃止になることが決定しています。

それと入れ替わる制度として金融庁の旗振りの元で始まるのが

2018年1月スタートの『つみたてNISA』です。(募集開始は10月下旬から)

 

つみたてNISAは何故、投資家の間でも不人気なのか

国(金融庁)の旗振りで始まる肝入りの制度ですから、多くの投資初心者が期待する

気持ちはよくわかりますが、既に世界の投資は投資信託による積立投資からシフトしています。

しかし日本ではまだというか、やっと投資信託による積立投資が

本格的に個人に普及する日が来ました。

 

世界初のインデックス型投資信託の運用会社設立、

そしてその運用実績の集大成としてアセットアロケーションという理論が浸透して既にアメリカでは四半世紀。

アメリカでは投資(確定拠出年金や変額保険を含む)で資産形成をするのは

日本人が銀行で貯金をするのに近いほどの感覚で当たり前となっています。

その一方でアメリカには『つみたてNISA』のような投資手法を限定する優遇制度はありません。

何故でしょうか。

それは利益を上げられる人のメリットである非課税よりも投資家全体が忌避する致命的なリスクが伴うからです。

 

つみたてNISAはやってはいけない制限をつけてしまった

 

つみたてNISAは一般NISAの5年よりもはるかに長い

20年という長期の非課税期間を設けています。

これを歓迎する声がありますが、

当初のつみたてNISAは現行のNISAからの移行案として非課税期間10年の予定でした。

金融庁がねじ込んで20年にしたということはあちこちで言われており、

金融庁の手腕を評価する声がありますが、

私から言わせて貰えば完全に蛇足でした。

 

短くても良いからもっと先に見直すべき課題をNISAから引きづり、加えて改悪しているのです。

 

株式投資とドルコスト平均法の組み合わせは制度上ほぼ無理

欧米にこんな馬鹿馬鹿しい制度はないのですが、日本の株式投資には「単元」という制度があります。

たとえぼNTTドコモの株を買おうとすると1株2,685円(2017年12月25日時点)です。

ところが2,685円を握りしめて証券会社にいくら相談しても売ってはくれません。

なぜなら単元に満たないからです。

 

単元とは、1,000株または100株まとめて買える人以外は株式を買えない日本独自の制度です。

なぜこんな制度が未だにあるのかといえば、株式投資をすると会社の株主となり議決権や

株主総会へ参加できる権利が与えられます。

もし1株だけ自社の株を保有する投資家が「配当が少ない」などと意見を出そうものなら

それについて株主総会では全員で話し合わなければいけません。(話し合うかどうかも議決する)

はっきり言って面倒くさいのです。

だから「まとめて株式を1,000株くらい買えない人は投資をするな」というのが単元です。

ネット証券などの普及によってミニ株やプチ株などの100分の1程度から株式投資できる制度がありますが、

利用できる証券会社はごく一部に限られています。

 

アメリカでは議決権に制限のある株式などが市場で売買されています。

世界一の投資家と言われているウォーレン・バフェット氏の経営する

バークシャー・ハサウェイの株式はまさにこのタイプです。

バークシャー・ハサウェイの株式はA株、B株の2種類が発行されています。

この2種類の違いは議決権ありのA株、議決権が1万分の1のB株(株価は1,500分の1)です。

日本では株式を購入するには単元と否応無しに議決権がセットになってくるケースが殆どですが

投資の目的に合わせてA株、B株と選べるのは資金の流れを重視する金融先進国ならではと言えるでしょう。

→ バークシャーハサウェイについて 

 

単元という制度上によって一回の買い付けが20万や200万円になります。

ドルコスト平均法のように少しずつ購入という投資方法を何ヶ月にも渡ってするために

一体いくらの資金が必要なんでしょうか?

これを制度にするのは無意味で、一部の富裕層優遇にしかなりません。

おそらく年間1,000万円の枠でも無理でしょう。

こんな額を多くの個人投資家は投入できません。

 

またこれはある企業の1日の株価の値動きです。

いつどのタイミングで誰が買う指示を出すのでしょうか?

高い価格で購入した責任は誰が取るのでしょうか?

株価は日々どころか秒刻みで価格が変動します。

 

投資信託だからこそできるドルコスト平均法

 

投資信託における株価である基準価格は1万口あたりの価格です。

投資信託は必ず基準価格1万円から募集が始まります。

基準価格1万円(1万口)なので1口あたりの価格は1円です。

 

→ 投資信託の虎「売買単位・1万口とは?

 

投資信託に単元のような制度はありません。

1口1円の投資信託を買えない人がいるでしょうか?

投資信託は1口から購入できます。

これを毎日繰り返し購入するのです。

そして投資信託のデメリットでもある一日一回しか売買できないという特徴は、

積立(累積)投資ではメリットになります。

 

一日中どのタイミングでも基準価格が一定なので、買い付け(注文)にタイミングを要しません。

 

ドルコスト平均法の利点である積立投資は、投資信託のデメリットを補い、

メリットに変える相性の良い組み合わせです!(まるで相思相愛のカップルのよう!)

 

それなのに邪魔をする金融庁の思惑

 

相性バッチリ、向かうところ怖いもの無し(?)のはずのドルコスト平均法と

投資信託という組み合わせが、金融庁(父親)によってつけられた門限(20年)によって一転します。

ドルコスト平均法くん「俺ら、ずっと一緒にいような!」

投資信託さん「私もずっと一緒にいたい!

でも、ごめんなさい、パパ(金融庁)が20時(年)には帰って来なさいって…(涙)」

もうこういう縛りは大体、よくない方向に行くと相場は決まっています(投資だけに。)

 

つみたてNISAの商品選定の条件に投資信託の運用期間は「20年以上または無期限」というのがあります。

何故、長期運用の投資信託が良いのでしょうか?

それは投資にはリスクが付き物だからの一言に尽きます。

 

価格のブレ幅は投資には不可欠(それが偉い人には分からんのですよ)

投資に不慣れな人が敬遠がちな価格のブレは投資で資産を増やす上ではなくてはならないものです。

ブランコを高くまで漕ぐのに、揺れを大きくしなければブランコは大きく揺れてくれません。

この揺れが価格のブレであり、ブレがあるからこそ価格は変動するのです。

 

また自転車を漕ぐ際にも同じことが言えます。

もしペダルをゆっくり、ゆっくり漕いだとしたらどうなるでしょうか?

自走する前に転んでしまいます。

自転車は自走するためにはある程度の速さで漕ぐ必要があります。

あまりに漕ぐスピードが速すぎるとカーブなどで曲がりきれず、

遅すぎると自転車で走ることができません。

また坂道の上りと下りではスピード感が異なります。

株式相場などが成長している上り調子の時の上昇率と、

飽和状態での株価の値崩れは決して同じではありません。

金融庁は何故、20年という期間での非課税を推し進めたのでしょうか?

一つには非課税という投資初心者にとって耳障りの良い制度を設けることで、

貯蓄しかこれまで投資をしたことのなかった方の資金を投資に向かわせようという思惑が透けて見えます。

 

投資を活性化するためには確かに大多数が貯金をしている資金を、

投資に回して欲しいのですが長らく根付いた「貯蓄」という感覚は一朝一夕には変わりません。

先にスタートして既に一定の認知度のある一般NISAにのっかり、

非課税という税制優遇で投資リテラシーのない人を集め、

積立投資による長期資産形成で売却をさせず、

国(日銀)に変わる株価下支えの原資にする、これが金融庁の思惑ではないでしょうか。

この根拠となるのがつみたてNISA売却時または20年満了時、また配当受け取り時の金融庁の方針です。

是非、制度概要を詳しくご覧下さい。

金融庁は投資家の資産を増やそうなどと微塵も考えていないことがスケスケです。

 

 

長期投資の利点を完全に抹殺してしまう期間絞り

 

20年超または無期限の投資信託というのはそのファンドが運用される期間のことですが、

投資信託が長期投資に向いているかは手数料の問題と長期でこそリターンを得やすい構造だからに他なりません。

 

特に一般の投資信託の場合には購入時に販売手数料がかかり、

運用期間中はずっと信託報酬や運用管理手数料がかかります。

販売手数料は買い付けた時にしかかかりませんので、長く投資信託を保有するほど販売手数料の負担は

一年あたり軽減して行くと考えることができます。

信託報酬はかかり続けますが、一度に取り戻すのではなく、

少しずつ時間をかけて投資原資に回復して、資産を増やしていくのが投資信託の基本的な考え方です。

人気の投資信託によっては4〜5年ほどで基準価格が4倍にもなるものもありますがそういったものは稀です。

 

投資信託が長期の資産形成に向いているというのは事実ですが、これを台無しにしてしまうのが20年という制約です。

 

金融危機というのはおよそ10年に一度、世界の何処かで起きています。

1990年代の日本のバブル崩壊、2000年のITバブル崩壊、2007年のリーマンショック、2014年のギリシア破綻…

つみたてNISAの期間20年とは何度かの世界同時株安に見舞われる可能性が極めて高いことを忘れてはいけません。

 

持ち続ける事で株価はやがて回復するという事を楽観的に考えている方がいますが、

だからこそ期間20年で縛られてはいけないのです。

 

受け取り間際になって株安となっていたとしたら

つみたてNISAから受け取れる投資家の資金はどうなるのでしょうか?

 

リーマンショックから震源地アメリカは5年で元の株価を回復しました。

もし今後、リーマンショック以上の世界同時株安が発生したとするなら

どの時点でも積立投資だから安全とは言えません。

 

スイッチングやリバランスさえさせてくれない怖さ

 

投資の世界ではどれだけ自分の投資している資産価値が運用中に増えても本当の意味での価値はありません。

利益確定(利確)をするまでその資産は実際には投資家の手にする事のできない資産だからです。

 

つみたてNISAではどんなに資産形成がうまくいっても、それを途中で利益確定できません。

つみたてNISAの利益確定とはすなわち売却。つまりそのつみたてNISA枠の終了を意味しています。

リバランスやスイッチングによるメンテナンスさえする事さえ許していません。

する時はそのつみたてNISA枠を終了する時です。

自分で複利・再投資と言いながらその配当を新たな拠出枠としてカウントするって

本当に個人投資家の資産形成を支援する気があると言えるのでしょうか?

 

資金の利益確定、例えば外国株式の積極的な運用から

債券などのリスクを抑えた運用への切り替えなどは全て売却として扱われます。

 

iDeCoの方が100倍マシ!長期運用なら変額保険の方が1000倍マシ!

 

よくつみたてNISAとiDeCoを比べて迷われている方がいますが二つは目的がそもそも異なる制度です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)はリバランスやメンテナンスが可能な所得控除付きの税制優遇政策です。

最大のデメリットは「60歳まで資金が引き出せない」点です。

つみたてNISAは運用益非課税で、中途売却が可能ですがメンテナンスが出来ない放置型投資です。

私はどちらも自己責任ですから、どちらにも一長一短があると思いますが、

デメリットを正しく理解してやるならどちらでも良いと思います。

 

その一方で長期の資産形成として多くの方にとって様々な受け取り方、積立方法のメリットを

提供してくれるのが変額保険だと考えています。

中途引出や運用実績、リバランスやスイッチングなどのメンテナンスに優れており

iDeCoの仕組みを使った積立型の資産形成商品(全額所得控除ではない一般生命保険料控除)です。

10年未満の資産形成でこそNISA・つみたてNISAに分がありますが、

10年超であれば有利なのは変額保険となることが多いでしょう。

あなたが投資をしようという目的に合わせて、商品も制度もアドバイザーも選ぶ必要があります。

証券の営業マンに相談しますか?

保険の営業マンやFPに相談しますか?

私なら両方相談も提案もできます。

FPもIFAも両方の資格がある立場だからこそ、本当の資産形成・運用方法をご提案できると考えています。

関連記事

  1. 決算対策の法人保険にご用心!名義変更プランが今年から危険に!

  2. インデックス投資というけど何に投資をしているか理解していますか?

  3. 朝日火災海上から楽天損保へ社名変更。楽天グループの梅雨明けはやってくるのか?

  4. 騰落率に惑わされるな!確定拠出年金のファンドは利回りで比較しよう!

  5. どれが一番受け取れる?似ているようで違う入院一時金給付

  6. 間違いだらけの子どもの教育資金の準備方法②

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA