ニッセイが精神疾患による長期入院もカバーする就業不能保険を発売開始

10月に入って各社新商品の発売を開始しています。

たとえばCMなどでおなじみのアフラックの就業不能保険『給与サポート』の競合として

日本生命からいよいよ就業不能保険が登場しました。

 

就業不能保険の基本的な給付要件

入院は短期化しているという一方で、病気やケガの状態によっては

仕事への復帰が2か月以上かかっている方が約4人に1人いるとされています。

 

 

下記は給与所得者の場合ですが、休業前の収入を100%とすると

休業から4日目からは健康保険組合から傷病手当金が支払われます。

最長1年6か月まで標準月額報酬の2/3が支払われます。

 

大変ありがたい制度ですが、病気やケガの療養から回復出来ない場合に

収入は減少するという事態を迎えてしまいます。

アフラックにしても、今回の日本生命にしても

「医師から60日以上の就業不能状態」(入院を含む)と診断書を書いてもらった場合に

①短期就業不能給付金

②長期就業不能給付金

2種類の保険金が被保険者の生活資金として支払われます。

①と②はセットのため、片方だけの加入はできません。

 

※二社とも妊娠・出産を伴う就業不能は支払い対象としていません。

またご自身で薬物接種などの乱用をした場合はお支払いの対象とならない場合があります。

 

 

【日本生命の就業不能保険のイメージ】

①短期就業不能給付金は就業不能から60日経過した際に、61日目から申請が可能。

※つまり60日間は給付されない

契約時に設定した月額給付を1~6回目まで生存を条件に受け取ります。

7回目~17回目までは改めて診断書を提出して、就業不能状態であることを証明する必要があります。

給付申請のたびに診断書が必要です。

診断書は医療点数500点ですので、5,000円の自己負担となります。

 

②長期就業不能給付金は18回目から申請します。

17回目までの給付を受け取った際に、まだ仕事へ復帰できないと医師の診断書で証明した場合には

18回目~就業復帰するまで長期就業不能給付金を受け取れます。

ここでも給付申請のたびに医師から就業不能を証明する診断書を提出する必要があります。

 

1年6か月超におよび就業不能の場合、その状態によっては国民年金・厚生年金から

障害年金の給付を受け取ることができます。

しかし障害年金の給付は原則一回限りの申請となっており、審査のために必要な要件をクリアするためには

専門の社会保険労務士などの手伝い必要となる場合も少くなくありません。

 

上の画像は年収300万円の方の例ですが、障害基礎年金・障害厚生年金と併せて約10万円の年金を受け取れるのですが、

元々の収入と比べた場合に凡そ11万円が減少する計算になります。

就業不能保険の考え方

長期の休業によって起こる就業不能リスクによる収入減少に対する補填を目的としています。

2社の就業不能保険はこの短期(1年6か月以内)と長期(1年6か月超)の大きく2パターンで給付金を受け取れます。

受け取った給付金は本人の生活や療養のための資金のため非課税扱いとなります。

※医療費控除からは差し引かれます。

 

健康保険組合と障害年金という社会保障と給付金の支払いのタイミングを連動させているという点は

これまでの医療保険(入院保険)から大きく進化した点です。

 

 

アフラックと日本生命それぞれの就業不能保険はどう違う?

日本生命は精神疾患による入院をサポート

 

ここまでの基本的な考え方はアフラック、日本生命共に

まるでそっくり(まるパクリ)な商品性ですが、後発の日本生命はアレンジをしてきています。

 

一つはアフラックが給付要件としていないうつ病などの精神疾患による入院を、

日本生命は給付対象としている点です。

※あくまで入院を給付要件としています。精神疾患による自宅療養は給付の対象となりません。

また支払回数も17回を上限としています。

 

生命保険文化センターによる統計では

3大疾病で最も入院が長期におよぶ脳血管疾患でも平均90日の入院ですが、

統合失調症による入院は近年増えている60日型、120日型の給付期間をはるかに超える

546日の入院が平均的です。

 

最大17回の精神疾患による長期入院は、17回×30日=510日相当となりますので、

かなり実情に即した給付期間と言えます。

 

 

 

精神疾患による給付を対象としていることは

日本生命の就業不能保険を検討するうえで大きなポイントです。

 

付帯サービス、引受職業でも差別化を測る2社

 

商品での違いは日本生命が精神疾患による入院を給付対象にしている点ですが、

その他の違いも日本生命は設けています。

一つはアフラックが加入を引き受けていない『専業主婦(夫)』の方も、

日本生命は加入対象としました。

専業主婦(夫)は収入を家計に生み出さないとはいえ、

実際に長期の入院や療養が必要になった際にその療養に支出が増えてしまいます。

幼い子どものいる家庭では育児や家事など主婦(夫)の占める役割は大きいことを考えると

専業主婦(夫)も加入対象というのは非常にうれしいポイントです。

 

また日本生命は女性の体の悩み相談を受ける窓口を設けています。

コールセンターで対応するのも女性のオペレーターということで、

異性には相談しづらいという方も安心ではないでしょうか。

 

 

一方のアフラックは精神疾患、専業主婦をサポートしていません。

ではアフラックの優位性はどこにあるのかといえば精神疾患になる前に、

臨床心理士による電話または面談による相談ができる点。

 

また障害年金の申請は原則一発勝負のため、障害年金に強い社会保険労務士による

相談サービスをアフラックは導入しています。

 

上の比較表は41歳の女性の例です。

二社で保険料は殆ど変わりませんし、女性の相談ダイヤルがある点などを考慮しても

この場合は日本生命の就業不能保険の方が向いているかもしれません。

 

就業不能保険の欠点は?

 

これまで先行する様々な保険会社が提供してきた就業不能を定義する保険と、

アフラック・日本生命が提供する「就業不能保険」の決定的な違いは死亡保障の有無です。

 

たとえば三井住友海上あいおい生命や東京海上日動あんしん生命などが提供している就業不能保障は

従来の収入保障保険の保障範囲を所定の就業不能状態(障害年金や所定の疾患による就業不能)に拡大したものでした。

そのため就業不能で保険金を受け取り、その後亡くなった場合には遺族が残りの保険期間満了まで保険金を受け取れました。

 

アフラック・日本生命の考える就業不能保険は「死亡保障なし」です。

この点は非常に廉価な保険料から加入ができる一方で、亡くなっても保険金は1円も出ない意味で

家計の収入を確保するためには別途死亡保障の契約の検討が必要です。

このため保険料は介護医療保険料控除の対象となっています。

 

また先に挙げたあいおい生命やあんしん生命は保険料払込免除や

保険金の支払いが確定するとその後、診断書の提出が不要となりますが

アフラック・日本生命は就業不能となっても保険料を払い続ける必要があります。

そして申請に診断書の提出が必要な頻度が多い点は気がかりです。

保障金額次第ですが保険料と診断書5,000円分を上乗せで加入をするのか。

貯金からそこを捻出するのか。入ってきたお金の一部をそのために充てるのか。

そうした特徴の商品であることは理解しておく必要があります。

 

保障の内容としては精神疾患を保障する待望の保険ですが、

独身や子どものまだいない共働き夫婦など向けの商品という傾向が強いように感じられます。

 

また今回は給与所得者を前提としましたが、この保険が最も必要性の高い方は個人事業主だと考えます。

個人事業主は社会保障が非常に薄く、前述の傷病手当も障害厚生年金もありません。

具体的にはフリーランスで働く方、たとえば美容師や派遣でお仕事をされている方などで厚生年金に加入していない方、

国民年金保険料を自分で支払っている若い方などです。

こういった方々はいざという時の備えを殆ど自分たちで行う必要があります。

これらの場合にはこの保険はまさに待ち望んだ保険ではないでしょうか。

 

加入年齢と保障期間に注意

 

アフラック・日本生命は両社とも加入年齢の上限を55歳としています。

また保険期間を60歳・65歳から選べるようになっています。

保険ですので加齢によって保険料は高くなっていきます。

基本的には40歳超の方は公的介護保険制度への加入が義務となりますので、

就業不能保障も大切ですが、将来にわたって介護リスクへの備えと併せて検討をする必要があります。

特に女性は長生きのため介護が必要となった場合の介護期間は10年超となるケースも珍しくありません。

 

保険はあくまでいざという時の備えですので、絶対に加入をしなくてはならないものではありません。

しかしうつ病などの精神疾患による離職者の多い職業の方はご自身の生活は自分で守るという意味において、

検討されてみてもよいのではないでしょうか。

 

関連記事

  1. 「行くぜ、人生」挑戦する人を応援するFWD富士生命が収入保障を8月より改訂!

  2. 屋根からの雪で隣の家のガレージを壊してしまった…知っておきたい損害保険の請求事例

  3. 180日ルールに手をつけ始めた医療保険は本当にダメな商品なのか?

  4. 健康保険における自由診療とは何か

  5. こんな治療でも給付金が受け取れる?保障範囲が変わった2007年以降

  6. 保険料の支払方法によっては保険料控除証明書が届かない

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA