保険を解約・見直したい時に知っておきたい担当者へのホウレンソウ。担当者にとっても足枷の36ヶ月ルール

今年の春の保険料改訂で収入保障や定期保険が割安になったというお話を何度となくしています。

保険料の値下げだけでなく、保障内容の拡充なども行われ、ご自分の契約内容を新しく登場したプランなどに変更したいと比較・検討をしている方もいるかもしれません。

ところで保険を見直そうとした際に気をつけたいのが保険の担当者との関係性です。

FPや保険の契約担当者(保険募集人)は保険会社と業務提携をしており、そのために契約の締結や保険料収納状況などの手続き、保険金・給付金などのお手続き全般の保全業務を担っています。

しかし保険の見直しをしようとする際に次の点を無視して解約したりすると非常に契約者と保険担当者との関係性がこじれることがあるので注意が必要です。

今回は保険の見直しをする際に特に気をつけてほしいポイントを3点ご紹介します。

 

①カスタマーセンターへ契約者から直接の申出

②保険担当者への相談

③契約36ヶ月以内の見直し

 

カスタマーセンターへ契約者から直接の申出は最終手段

 

保険契約は契約者の権利ですが、その保険を媒介している保険担当者は顧客の契約締結だけでなく、既に書いたように収納や保険金・給付金を支払うお手続きまで契約者がその保険を理解して活用できるよう手伝う重要な役割があります。

しかし契約者から保険担当者や代理店を介さず、直接保険会社のカスタマーセンターへ解約等の連絡をする事は安易に行わず、十分に留意して欲しいと恐らく殆どの保険担当者が考えていると思います。

その理由はカスタマーセンターへ直接の連絡は「担当者には相談したくない」という意志と捉えられる為です。

 

カスタマーセンター経由で解約の申出があっても保険会社も保険担当者や代理店に解約の申出があったとはお知らせしません。

仮に知らせたとして、解約をしたいという意向の契約者が、担当者を介する事で解約をさせてもらえなかったとなれば契約者の権利が侵害されたことになります。

結論から言えば保険担当者に解約を止める権利はありません。

しかし、解約の申出の中には契約者の誤認や理解不足は多分にしてあります。(私の感覚では解約相談の半分は契約内容の理解不足で、経済的な理由での解約は1割あるかないか)

そのため契約担当者は契約内容を正しく理解してもらう、保険の見直しには同じ条件で再加入が困難であること、解約返戻金などが少ないか殆ど全くないなど様々なことを契約者に理解してもらう努力や工夫が必要です。ここには保険担当者でないと説明し切れないできない部分があります。

(同じ保険会社の商品を扱っている代理店だと比較して見直しのメリット・デメリットを説明できてしまいますが)

 

多くの保険代理店の場合、保険契約の担当者は契約者がカスタマーセンターへ解約の申出をされた事を知る術が基本的にありません。

解約されてしまった後で、解約されたという事を知ることになります。

しかし、それを知る時は大変担当者として残念な知り方となります。

保険代理店とは保険会社に代わって、契約の締結や保全業務を行う仕事で成り立っています。

多くの方にとって比較してイメージしやすいのは携帯電話ショップでの契約や機種変更と似ています。

 

携帯電話を新規で契約したり、機種変更をしたり、時には修理相談や使い方の相談をしたり、料金の見直しをしたり、未収納の料金の精算をしたり、携帯ショップは様々な業務をしています。

 

携帯電話は総務省の管轄で、保険商品などの金融商品は金融庁の管轄で、細かな点にこそ違いはありますがそのビジネスにおける基本はよく似ています。

代理店と担当者は新規契約を締結すると保険会社から報酬を受け取ります。

代理店によって異なりますが受け取った報酬の何割かは代理店である会社が受け取り、残りを担当者が業務報酬として受け取ります。

どんな業態でも基本的にそうですが、新規の契約を起こす事は大変な労力とコストがかかります。

そのため多くの会社は初年度と次年度以降で手数料に差を設けています。

ここまでは携帯電話と保険で共通する部分です。

例えば保険業界に多い5Lと呼ばれる報酬体系だと初年度に受取総額※の80%を受け取り、2〜5年目に残りの20%を毎月分割して受け取ります。報酬の受け取り方が初年度が多く、次年度以降少ないのでL字型に見えるのでこう呼ばれることが多いです。

 

※受取総額は保険会社や商品によって異なる。

初年度に一年間の保険料を超える報酬を受け取る事は金融庁の指導で2016年以降は是正勧告が出されていて、現在殆んどの保険会社が移行済。

 

さて、このように契約者から支払ってもらった保険料の大部分を初年度に代理店に払い出してしまうと保険会社は残った少ない保険料で当初の契約に対して保険を引受査定(診査)を行い、締結や証券発行を行いかつ保障しなくてはなりません。

携帯電話の場合、キャッシュバックや機種代0円などが少し前に問題とされて現在は自粛が進んでいますが、形のある携帯電話のような物であれば契約者の手元には機種があり、2年の割賦(分割払)というローンを組んでいるので未払金などがあれば携帯電話会社は解約請求を契約者に課せますが、形のない保険の場合、契約者が未払いであっても保険会社は提供してきた保険料相当を何処かから回収しなければなりません。(収支相当の原則)

 

解約の申出をした契約者には保険料を払わないという意志が確認されていますから保険会社からすればこの保険料相当をほぼ確実に回収可能な先は契約を取り次いだ保険代理店しかありません。

既に保険代理店に支払った報酬から戻入(れいにゅう)と呼ばれる簡易賠償請求を行い補填をします。

保険代理店は会社が受け取った報酬や募集人に支払った報酬を給与やその他の契約報酬から回収します。

保険担当者の報酬体系は最低賃金と事業所得が組み合わさった独特のもので、仮にまだ駆け出しの保険担当者の場合に早期解約をされるとこのマイナスは最低賃金からも容赦なく差し引かれます。(これら控除の仕方に金融庁は明確な指針を出していないために不幸な状況に陥っている保険担当者は少なくない)

保険代理店も保険担当者もこれを拒む事は出来ません。

何故なら保険会社とは業務締結をしており、その戻入についても払い戻す事を約束しているからです。約束を反故にすれば信用はたちまちに失われ、その保険会社だけでなく乗り合っている様々な保険会社の契約を最悪は解除されてしまいます。

また保険担当者(募集人)からすれば契約の解約を知らされず、いきなり給与から何ヶ月分もの報酬が一度に過去に遡って請求されることになります。

このため契約は契約者の権利ですが、契約担当者(保険募集人)を介さずカスタマーセンターへ一足飛びに解約の申出を入れる事は保険料の大小に関わらず一度担当者に相談をした上で行うのが保険担当者への気遣いというものです。

揉める原因の多くの場合、ホウ・レン・ソウがない時です。

 

特に契約をして間もない場合、保険担当者からすれば設計や提案、締結のための書類作成など様々なバックグラウンドでの業務をしています。

代理店であれば契約者とお会いしている時間の2倍から3倍は少なくとも分析や設計、提案のための準備に時間を割いているのが多いでしょう。

しかし契約から半年〜1年以内に解約をされると報酬のほぼ100%が戻入され、その方の契約に割いた時間を無報酬で行ったことになり、予告のない解約によって収支計画が狂い、解約を知るまで無償でその契約保全のための労力まで奪われるという悪循環に陥ります。

はっきり言って早期で解約をするなら契約を預からない方が何倍もマシです。

また時には訪問でご自宅や近くの喫茶店などで保険の相談をする場合もあるでしょう。

交通費、お茶代、場合によってはお土産代など全て保険担当者の自己負担となります。保険会社も代理店も支払ってくれません。

ではこの戻入はいつなくなり、保険募集人にとって解約や失効は重荷にならないのかといえば原則36ヶ月※です。

※保険会社によっては24ヶ月や60ヶ月など長短があります。

契約から何回の保険料が振替られているかを基準に経過月数によって戻入割合が各社設けられています。

こんな感じで。

 

12ヶ月まで100%

18ヶ月まで70%

24ヶ月まで50%

36ヶ月まで25%

 

では保険担当者は契約に至るまでのコストをいつまでかけて回収するかといえば、36〜60ヶ月です。5年間少しずつ報酬を受け取り回収しながらビジネスを担当者はしています。

 

何故なら保険契約の継続率は担当者によりますがおよそわたしのしる13ヶ月96%、25ヶ月92%、37ヶ月89%と徐々に有効な契約は減っていきますが、言い換えれば殆んどの契約は3年以上は続くし、続かない契約は契約者にとっても、保険会社にとっても、保険担当者にとっても誰も得しない契約だからです。

 

保険担当者への相談

保険の見直しをしようという場合、特に解約や減額※をされる場合は現在の契約担当者に相談をすることがもっとも揉めない方法の第一歩です。

※減額は保障額を減らす事です。一部解約と同じ扱いのため、戻入は減額部分に対して按分して発生する。

また担当者が保険代理店で働いているのであれば見直しは基本的にはまずその担当者にも相談をするのが良いでしょう。

同じ保険会社や代理店で働いている他の募集人ではなく、担当者に直接連絡をしましょう。

一方で担当者を介さず、他の代理店担当者に相談をするのがアリの場合もあります。

 

①現在の担当者に対して不満がある(満足していない)

②取り扱っている保険会社の種類などに不満がある

③これから懇意にしたい担当者がいる

 

FPの世界は実力主義です。

契約をしたとしても一生同じ人に担当をしてもらわなければいけないわけではありません。

時に長い付き合いになる担当者がおり、とても貴重ですが自分が相談をした担当者の説明が分かりづらいや、合わないと感じた場合には担当者を変える事も時には必要です。

また担当者も人間ですから、死ぬこともあれば病気や家族の事情でスケジュールが組めないこともあるでしょう。

そんな時には同じ代理店内で連携を取り、フォローをするのが一般的です。

前述のように契約者のために様々考え、提案して、契約手続きなどをしてあなたのいざという時に困ることがないように時間を割いて無報酬やペナルティが課せられるのは契約者にとっても本意ではないのではなはずです。

経済的な事情等で解約せざるを得ない場合などもせめて一報、相談をするのが社会人としての通念ではないでしょうか。

 

契約36ヶ月以後の見直し

 

契約者にとっても、保険会社にとっても、保険担当者にとっても三方良しなのが多くの保険会社で戻入のなくなる36ヶ月以後の見直しだと私は感じています。

この春のように新たな保険商品が次々と登場しており、新しいものを見るとつい飛びつきたくなる気持ちもわかります。

しかしそれを言ったら保険商品は次々と新しい商品が登場しています。

その都度、乗り換え乗り換えをしていては保険料もそうですが見直しを検討する時間も勿体ないと思います。

あまり長い期間、見直しをしないのは必要な保障内容にズレが生じるリスクもありますし、あまり頻繁に見直すのも時間と労力が大変です。

そういった意味でも保険担当者から連絡があった場合やご自身にライフプランの変化が起きた(結婚・出産・転職・退職)などの節目には契約者からも連絡を担当者にしてみてはいかがでしょうか。

 

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