東京海上がマーケット・リンクを販売開始できた理由

以前にも東京海上系列の「あんしん生命」が2017年8月から変額保険の販売に参入したとご紹介しました。

今回はその背景について少しご紹介していきたいと思います。

2000年代、銀行窓販で次々に日本に参入した外資系保険会社

 

銀行が窓口で投資信託や保険商品を販売する代理店業に参入をした際に

次々に外資系生命保険会社が日本へ参入を始めました。

 

 

銀行窓販は段階的に緩和されていき、

住宅関連の団体信用生命保険(団信)の次に

解禁されたのが2002年の個人年金保険でした。

1998年12月に先行して解禁が始まった投資信託で販売に慣れていた銀行では

投資信託のような手数料の稼ぎやすい商品が歓迎されました。

バブル崩壊で将来への不安が迫っていた50代などのシニア世代に

人気となったのが『変額個人年金』と呼ばれる投資信託の仕組みを活用した資産運用の個人年金保険でした。

 

クレディ・スイス、ハートフォード、スカンディア、カーディフ、マスミーチュアル…

 

 

まるで雨の後のタケノコのように、積極的な運用を得意とする

外資系生命保険会社がこの時期に次々と日本に参入しました。

 

しかし日本の景気がなかなか上向かない中でクレディ・スイスは世界戦略としてそれまで進めてきた総合金融路線を転換。

日本国内のクレディ・グループのウインタートウル・スイス生命は2006年に

日仏資本の合弁会社アクサニチダン生命に約1兆円で売却され、

アクサフィナンシャル生命を経て2009年に現在のアクサ生命(フランス資本)へ統合されました。

 

これに続いてリーマン・ショックでの痛手を負った

スウェーデン資本のスカンディア生命は2014年に東京海上グループへ売却、

2015年にアメリカ資本のハートフォード生命はオリックス生命へ売却されました。

→ 日本で営業する生命保険会社の統廃合一覧

 

外資系企業は撤退するから心配という杞憂

 

資産運用や保障の提案をする際に「外資系企業はすぐに撤退をするから」という理由で、

旧来からの日本の企業を選ばれる方が一定数いらっしゃいます。

選ぶ基準は人それぞれですから企業の知名度や親しみやすさも大切な要素ではありますが、

目的を果たすことが出来なければ知名度の高い会社であろうと意味がないことは

多くの皆様が理解されるところでしょう。

通常の企業や証券などの業界であれぼ日本国内での採算が取れない場合に撤退してしまい

サービスが打ち切られたりしてしまうことは稀ですがあります。

会社によっては事業を他の企業に譲渡したり、その事業だけを売却して引き継いでもらうなどが行われます。

保険会社は破綻時を含めた、事業からの撤退などの際のセーフティーネットを業界で定めています。

生命保険は保障性の商品であれ、貯蓄性・投資・運用系の商品であれ

人生における代替することのできない金融サービスを提供しています。

このため生命保険会社は破綻時でも責任準備金(5年目以降の解約返戻金と近似値)の90%まで、

損害保険は積立金の80%までを業界全体で支える事に法律(保険業法)で決められています。

 

バブル崩壊時に日本の保険会社が次々に倒れた際に、

救済措置が不十分だったと議論され現在の大きなセーフティーネットは設けられました。

前述の銀行窓口で盛んに販売をしていた変額個人年金の提供会社たちもこの例に漏れず、

日本の保険会社などにその契約を引き継ぎました。

破綻というわけではありませんでしたので、契約はそのまま。

現在も契約は解約などの手続きをしていなければ運用を続けられています。

 

合併で相乗効果が生まれたアクサ生命

 

クレディ・スイスグループが運営をしていた変額保険はアクサ生命が引き続いて

『ユニット・リンク(有期型)』として同じ名称で販売をしています。

忘れてはならないのはクレディ・スイス時代からの契約と、

現在のアクサ生命が提供する契約では会社が変わったことによってファンド構成は切り離されました。

リーマン・ショックを経ての運用実績を持つクレディ・スイスの『ユニット・リンク』と、

リーマン・ショック後の運用実績で始まるアクサ生命の『ユニット・リンク』は

同じ名前ですが別物の商品と考えた方が良いでしょう。

 

【アクサ生命の運用レポートのページへ行くと現在のアクサ生命と

旧アクサフィナンシャル生命時代のページは別々になっている】

 

 

史上最大の株価下落となったリーマン・ショックを経ての運用実績は非常に高く、

現在もクレディ・スイス時代のユニット・リンクへの信頼は非常に大きくなっています。

【旧ユニット・リンクは1986年開始。

米国株式型ファンドは30年で年平均8%。30年で100万円の原資を10倍にしたことになる。】

 

そうした中でクレディ・スイスの商品性と、アクサグループの資産運用会社であるアライアンス・バーンスタインが

組み合わさったのが現在の『ユニット・リンク』です。

2009年にアクサ生命として営業を再開し、着実に運用実績を積み上げてきました。

アクティブ型を主体とする攻めの運用を得意とするアライアンス・バーンスタイン(AB社)によって

現在のユニット・リンク直近8年の運用実績は外国株式プラスファンドで平均12%、直近5年で17%となっています。

 

【現在のユニット・リンク保険の運用レポート。

外国株式プラスは好調で2009年の設定来で年平均12%の利回り

8年で原資100万円を168万円に増やしたことになる】

 

ユニット・リンクは変額払済が可能な国内で数少ない変額保険です。

変額払済とは保険料の支払いを途中で止めて、その後も満期まで運用を特別勘定で続けてくれる方法です。

日本国内では変額保険を扱っている会社の絶対数が少なすぎるという問題もあり、

この取扱ができるのはアクサ生命、プルデンシャル生命と今回新たに参入した東京海上日動あんしん生命だけです。

 

クレディ・スイスから引き継いだ運用ノウハウや商品力を武器に、

自前の運用会社との運用による相乗効果でアクサ生命は国内で随一の

資産形成を提案できる生命保険会社へと生まれ変わりました。

 

マイナス金利・予定利率史上最悪の2017年

 

あんしん生命が2017年8月に変額保険へ参入を始めたのは、

この春の予定利率の改訂に伴い貯蓄性保険の販売が壊滅的となったことに加えて、

吸収したスカンディア生命の変額保険の保全業務だけをやっているリソースを

再販によって活かしたいという狙いもあるでしょう。

東京海上グループは1985年頃からグループで既に資産運用会社、

東京海上アセットマネジメントを持ち、多様な投資信託の販売実績もあり、

確定拠出型年金での運用も堅調なパフォーマンスを発揮しています。

 

アクサ生命に見るアライアンス・バーンスタインのようなアクティブ型による積極運用は

あんしん生命のマーケット・リンクの商品コンセプトから大きく外れるので難しいかもしれませんが、

時流であるインデックス主体の低コスト運用ファンドとして長い目でお金を育てる手段に育ってくると嬉しいですね。

 

次の変額保険参入を狙っているのは…

 

アクサ生命のクレディ・スイス、東京海上のスカンディアという変額保険復活の流れを見ると

自ずと次に変額保険へ参入する可能性が高いのはアメリカ資本のハートフォード生命を吸収した

オリックス生命ではないでしょうか。

 

→ オリックスはハートフォード生命買収で合意、生保子会社と合併させ死亡保障分野強化へ

 

オリックス生命は主要商品の一角である円建終身保険が

2017年春の予定利率改訂でモロに影響を受けています。

 

具体的な時期は現時点では不明ですが東京海上が吸収後、

約3年で再販にこぎつけた事例を考えると早ければ来年あたりにでも

オリックス生命も変額保険へ参入してくるかもしれません。

オリックスグループにはオリックス・アセットマネジメントという資産運用会社が2000年頃からあり、

グループ会社にオリックス不動産投資法人があったり、

スカイツリーのおひざ元すみだ水族館の建設から運営に

オリックスが携わるなど不動産事業に強いという要素もあります。

~東京スカイツリータウン®にオープンする都市型水族館~

 

 

実現するかはまだ未知数ですが、国内REITファンドの変額保険は

2017年9月現在プルデンシャル生命が国内の複数ある不動産投資信託会社に

分散投資をしてるだけですので、競争参入は歓迎したいところです。

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