収入保障と就業不能保障が一体となったプランの選び方

現在、働く世代の保障の中で各社が最も激しく競っている分野が収入保障保険です。

近年、タバコを吸わない方の増加に伴って非喫煙検査を実施することで保険料を割り引いたり、健康診断結果の提出で保険料が割安になる特則が増えていますが、その殆どは収入保障保険で採用されています。

 

収入保障に特則で加える保障の拡張領域「就業不能保障」

 

この競争の激しい収入保障保険のジャンルで新しいオプションが登場しています。

「就業不能保障」と「特定疾病保障」です。特定疾病については次回に案内するとして、今回は就業不能保障についてご紹介していきます。

就業不能保障は保険会社ごとに定義が異なりますが、社会保障である公的介護保険、障害年金、障害手帳などの認定基準と連動するタイプが主流です。

主要な保険会社と主な支払要件としては次のようになります。

認定までの時間目安 1から2ヶ月 1〜4ヶ月 基本1年6ヶ月
公的介護 障害手帳 障害年金 会社所定
ソニー生命

生活保障特則14付家族収入保険

要介護2 3級 介護判定
あいおい生命

新総合収入保障Ⅱ型

要介護2 障害年金1級※ 併合判定(障害)
あいおい生命

新総合収入保障Ⅲ型

要介護2 障害年金1級+特定疾病による障害年金2級※ 併合判定(障害)
ひまわり生命

じぶんと家族のお守り

障害年金1級+障害年金2級※
プルデンシャル生命

就労不能障害保険

障害年金1級+2級+3級
アフラック

給与サポート保険

障害年金1級+2級 60日以上の就業不能状態※
日本生命

もしもの時の生活費

障害年金1級+2級 60日以上の就業不能状態
チューリッヒ 60日以上の就業不能状態

※精神疾患を除く

プルデンシャル生命の障害年金3級は30%のみ給付。

精神疾患は最長3年間だけの給付。

 

国内で唯一、代理店営業をしていないプルデンシャル生命は単独の保障のように同社のパンフレットやWebページにも掲載されていますが、同社で死亡保障の契約があるか、または同時加入しなければ契約が出来ない特約のような位置付けになっています。(分かりにくく、顧客視点ではないので直して欲しいと暗に言っているのをお察しください)

 

単純に就業不能保障だけに加入したい場合は現時点ではアフラックか日本生命のプランに限定されます。

私は死亡保障のない保険は保険(第一分野)ではないと考えています。

アフラック、日本生命もその点を恐らくは同じく考えているようで2社の就業不能保障は介護医療保険料控除(第三分野)に位置づけされています。

長生きの時代になったとは言え「人はいつか必ず亡くなる」というのは変わらない事実です。

就業不能保障だけのプランの場合、保険金を受け取らずに亡くなれば保険料は掛け捨てになってしまいます。

0~65歳未満のうちに亡くなるリスクは男性の場合約11%、女性は約6%です。

もしもの時を「万が一」と呼びますが、もしもは男性の場合にはおよそ10分の1くらいの確率で訪れます。

自分が受け取れないお金を、遺された家族が困らないように備える。

これは生命保険の本質であり、自分も自分以外の家族も受け取らない場合には多くの加入者同士が助け合う仕組みとして他の家族を助けるために使われる保険の相互扶助の考え方からすると保険には死亡保障があるべきだと私は考えています。(天涯孤独で、親も兄弟も親族もいない方を除く)

 

認定スピードの違いが認定基準のハードルの高さと連動

最も認定までの期間が短いものは自治体が認定をする公的介護保険ですが、介護サービスを1割の自己負担で受けられるといったもので、年金の給付は原則ありません。

また公的介護保険は40歳以上の方に限定されてるため若い方は会社所定の介護状態の基準の広さを確認する必要があります。

ソニー生命とあいおい生命だと、あいおい生命の会社所定の介護状態が「常時介護」となっていない分だけ優しいようです。

 

加えて公的介護保険は40〜64歳は特定の16疾病で介護が必要な方に限定しています。

事故や怪我が原因だと公的介護保険の認定が受けられませんので注意が必要です。(65歳以上は介護の原因を問わない)

身体障害手帳は自治体の福祉課が発行する年齢制限のない社会保障です。

こちらも原則として現金の給付はなく税金の減免、光熱費や電車やバスの利用が割引になるなどが特徴です。

障害手帳は1級〜7級まであり、6級からは手帳が発行されます。

 

障害年金は国民年金、厚生年金に加入している方が対象の保障で、障害等級に応じて1級・2級、3級(3級は厚生年金のみ)に分類され年金の給付があります。

認定まで基本的には1年6ヶ月を基本的に要し、認定難易度は前述の公的介護、障害手帳と比べて難しい傾向にあります。

認定期間が例外的に繰り上げされるケースもあります。心臓にペースメーカーを取り付けたり、人工肛門を造設した場合にはその日からとしてくれます。

事故など直接の原因となった最初の診察を受けた日を初診日として、その属する月の前々月末に加入していた年金が国民年金、厚生年金、共済年金のいずれかであるかで適用される保障額が異なります。

またこの属する月の前々月から更に遡り一年以内に未納や滞納などがあると障害年金は適用されませんので、転職などがある方は注意が必要です。

障害年金は認定までのハードルが高い一方で国が年金を支払うという事はそれだけ大変な状況とも言えます。

 

認定者数から見るリスクの大きさ

認定者数で比べてみると公的介護保険 第2号被保険者(40〜64歳まで)の要介護認定者数は同世代の死亡者数とほぼ近い数字の方が該当しており、無視できない規模です。

障害手帳交付者数は全年齢が対象ですが、全年齢における死亡数よりも約4倍の認定者がいます。障害手帳1〜3級までが過半数を超えていて、1日の認定者数にすると毎日約800名が障害手帳の交付を受けている計算になります。

年金の給付が受けられる障害年金は20歳以上の年金受給前の方を原則として対象としています。

こちらは40〜64歳までの死亡数との比較となり単純な比較は出来ませんが約10倍の規模となります。

 

いずれのジャンルも「働けないもしもの時」の備えとして2014年頃から民間の保険での加入者数を急激に増やしています。

2014年は日本の生命保険業界で様々な規制から解放され、新しいジャンルの商品開発が解禁された年でした。

 

死亡という万人にいつか必ず訪れる事象だけでなく、社会保障では補うことの出来ない補完的役割を課せられた生命保険の商品開発はこの年を境にこれまでとは全く別な段階に入ったと言えます。

 

就業不能ではどの保障を優先して考えるべきか?

 

保険に加入する人のリスクは様々です。

しかし私は次のように考えています。

 

①40歳以上なら公的介護保険を軸に検討。

②精神疾患に対する保障の必要性はあるか

③家族・親族に特定の病気になる人はいないか

 

①40歳以上なら公的介護保険を軸に検討

公的介護保険の第2号被保険者が保障されている特定16疾病をどうお考えでしょうか?

これらの病気になる人の数は世の中のほんの一握りでしょうか?

65歳未満の認定者数が同世代の死亡数とほぼ同じというのはかなり多いと考えられないでしょうか。

また国が第2号被保険者に事故などによる怪我ではなく、これらの病気に起因する介護の人へ介護サービスを提供するとした理由を考えると、この特定16疾病はこの世代にとって介護サービスの救済が必要な状態と言えるのではないでしょうか。

 

この第2号被保険者の要介護認定者の内訳を見ていくと意外なことがわかりました。

 

近年、死因の第3位から4位になった脳血管疾患が介護の原因となっています。

死なない、代わりに一命を取り留め介護が必要な状態になっているというのは皮肉ですね。

 

脳血管疾患は脳梗塞、くも膜下出血、脳卒中など様々ありますが、様々な神経などを司る脳へのダメージがあるため早期治療、早期発見などがその後の生活にも大きな影響を与えます。

手足の麻痺、言語障害などの後遺症と付き合う人も多く、またそれらは介護の必要性とも重なります。

 

加齢に加えて生活習慣によって脆くなった血管は切れやすく、詰まりやすく、自覚症状が出た時にはかなり進行していることも珍しくありません。

また歳を重ねた方だけかというイメージの脳血管疾患ですが、俳優・歌手で活躍されている星野源さんは30歳でくも膜下出血を二度しています。

発見が早く、今も元気にお仕事をされていますが一度やった人は二度、三度と再発することもある病気ですから十分に注意が必要です。

 

ちなみに収入保障保険に就業不能保障を付加したプランの場合、契約した際の保障期間を超えて保障されることはありません。

人生における介護への備えを長期で検討するなら民間の介護保険で終身介護年金に備えることも検討した方が良いでしょう。(もしくは積極的な資産形成をするかですが、投資経験がない人にはなかなかハードルが高いかもしれません)

 

②精神疾患の保障の必要性

精神疾患に対する備えの必要性は実は当人が一番よく分かっているのではないかというお話です。

働く年齢までに人は一様ではないですが様々な経験をします。

自分が精神的に強い人間か、メンタルが弱い人間か。

打たれ強いか、弱いか。

また真面目や完璧主義などの方も注意が必要です。

職業などでもそのリスクの高さはある程度想定できます。

教師や公務員などの方や安定志向の方は精神疾患にかかりやすい傾向にあります。

公務員は失業する心配が基本的にないため、雇用保険(失業保険)に加入していません。

すると大病をした際に何も受け取れないという状態になります。(勤続年数などによって退職金などは出ますが)

またこの精神疾患に関する保障の必要性については不思議な傾向があります。

「いらない」「大丈夫」と即答出来る人がいます。

即答出来る人は多分精神疾患にまずかからないと思います。

うーん、なるかもしれないな。

分からないな…こういう人は危険です。

なる可能性が高いと思った方が良いでしょう。

 

③家族や親族に特定の病気の人はいるか?

 

親族や家族は食習慣、味付けの濃さなども似る傾向にあり、それが病気にも繋がることがあります。

病気で初診を受ける際に問診票に記入をしますが、親族に特定の病気になった人がいないかを聞かれるのは医学的にその因果関係が認められているためです。

もし親族や家族に特定16疾病に該当する方は特に注意が必要です。

 

その他の方が優先すべきは障害手帳

障害手帳と障害年金の主な原因となった病気はかなり似ています。

まず障害手帳の主な原因は次のような病気です。

障害年金の場合はここに精神疾患やその他の病気が加わります。(緑色の背景色の部分)

認定数の多さ、認定までの期間の短さ(緊急性の高さ)を考えると私は障害年金よりも障害手帳の方が圧倒的に優先順位が高いと考えています。

 

しかし近年は「公的保障と連動」という表現が医療保険の手術給付金の支払要件で浸透してきた事からか、公的保障と連動でも全く別物の障害手帳と障害年金で一括りに言い回されているように感じます。

就業不能保障は働く世代の収入保障と保障期間でも、保障額でも連動性が高く、これからの時代は保障の中心に添えたい内容です。

 

「公的保障と連動」と言われたから大丈夫ではなく、「それは障害手帳認定ですか?障害年金ですか?」と確認する程度に検討する側もそのハードルの高さの違いを理解するべきだと思います。

 

 

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