間違いだらけの子どもの教育資金の準備方法③

さて前回、前々回と子どもの教育資金の積立について無理なく積立が可能な額や期間を把握するキャッシュフロー分析と、その結果を元に準備手段として預貯金や債券、学資保険や個人年金などの保険を活用した方法のメリット・デメリットをご紹介してきました。

 

今回は投資信託や変額保険を活用した準備方法での比較をしてみます。

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投資信託の場合

当たり前ですが投資信託には死亡保障のような最低保証はありません。

そして販売手数料平均3.24%、信託報酬などのコストが原則として発生します。

新たに買うたびにコストが発生しますので、累積投資(積立投資)では毎月の投資額から

3.24%を差し引いた額を投資して行くことになります。

一括投資なら100万円の投資なら3.24万円マイナスで運用開始ということになります。

積立投資でも毎回の積立額から3.24%マイナスで積立られます。

そして運用されている総額に対して投資先の投資信託ごとに

年率0.1%〜7%前後の信託報酬が365分割で毎日差し引かれます。

 

このため長期で保有することで販売手数料などのコストを相殺していくというのが

投資信託の運用の基本的な考え方です。

 

よく証券投資を推進している人たちは

「保険は加入してすぐに保険や代理店の報酬にお金をごっそり持っていかれて、払込額よりも少ないお金しか運用できないから非効率」とまるで保険が資産運用として損で、証券はそうではないとも聴こえる言い方をしますが私から言わせれば証券を売るためのセールストークのようなもので、誤解を招く言い方だと考えています。

投資信託と競合する変額保険は最初にコストを前払いするからこそ、

長く運用する際の信託報酬などのコストが一定以下に安く抑えられています。

 

保障が必要であるかはその人によりますから、誰しも保障が不要であることを前提の物言いはプロの説明として不適切ではないでしょうか。

このコストについては住宅購入を例にすると分かりやすいでしょう。

現金一括で家を購入するのと、住宅ローンを組んで購入するのでは

どちらがコストの面でお得でしょうか?

答えは現金一括購入の場合ですよね。

一括であれば金利は発生しません。

 

証券の信託報酬は資産が増えると増えた総額から信託報酬を徴収します。

1万円の1%は100円ですが、100万円の1%は10,000円です。

1,000万円の1%は100,000円です。

これが資産運用によって増えて行く過程で運用期間中、

毎年差し引かれるというのはどんどん支払うコストが大きくなるという事です。

運用会社として増えたお金からもらうのが良いのか、前払いでもらう代わりにコストを長く運用するほど安くなるように抑えた方が良いのかの違いは考え方の違いですからどちらが正解という事はありません。

また投資信託の販売手数料3.24%ですが、保険の保障に割かれる割合も年齢によって前後しますが凡そ殆どの保険会社では3%ほどです。その他にも運用管理費など諸々で1%弱程の手数料が発生しているので保険の方がコスト高であることは違いありません。

(販売手数料にただ消えるくらいなら保障がついていた方が良いという考え方もありますし、選ぶ変額保険によってはリンク先のような事も判明しています)

『ユニット・リンク保険の世界株式プラス型と投資信託の同ファンドの運用実績を比べてみた』

しかし信託報酬などのコストはその分、大幅に抑えられているので長い運用になれば保険の方が優位ということになります。

よって「変額保険は運用コスト以外に保障のためのコストがかかるが、証券は最初に引かれるのは販売手数料や信託報酬などの少ないコストだけなので早い時期から保険よりも投資額の大部分を運用できる」という言い方は適切ですが、「保険は証券よりコストがかかる」という言い方はプロとしては誤解を招く不適切な言い回しだと考えています。

 

そして投資信託で教育資金を運用する最も大きな問題は日本の投資信託の中に18年超の運用を続けている投資信託がほとんどない。また18年でリターンをきちんと上げている投資信託が非常に少ないという現実をどう考えるべきでしょうか。

つみたてNISAの非課税期間20年とありますが、現在も募集をしている追加型投資信託の多くは2002年以後に設定されたものが殆どで、まだ18年の運用をしていないために投資信託で教育資金の運用をするという事は途中でファンドの乗り換えを何度かする想定が必要があることになります。

乗り換えのタイミングに適当な投資信託が見つかれば良いですが、見つからなければリスクを大きく取るか預金に移し替えて塩漬けかです。

つみたてNISAなどは買い付け時の販売手数料ゼロと運用益の非課税などの優遇面では預貯金に次いで高く、現金が必要な際にすぐに売却して現金化もできる点(流動性と呼ぶ)にも優れています。

しかし、投資信託のパフォーマンスはどんな資産配分をするかのアセットアロケーション次第です。

金融庁が選定したブレーキを装備していないジェットコースターのような商品が大部分しかないつみたてNISAが投資初心者に相応しいとはどうしても思えません。

非課税というエサに誘惑されてつみたてNISAに注目してしまいそうですが、NISAまたは特定口座で運用した方が商品選びからリスク分散にも向いています。

私の中ではジュニアNISAも悪くないけど、中途半端と感じています。

 

投資信託などを分析できるサイトであるモーニングスターで抽出した運用期間18年超、リターンが分類平均(同一カテゴリーと比べて平均)以上の個人が買える投資信託は約4,730本のうち91本(約2%以下)だけです。

4,730本も投資信託があるのに18年という長い期間の運用を続けている投資信託が、これだけ少ないという事は教育資金積立に選べる商品の数が殆どないということです。

そして投資開始時点よりもどれだけ資産を増やせたかはご覧の通りです。

縦軸は運用利回り(年複利換算)、

マイナス運用は0.00%として分類しましたました。

横軸は時間軸で設定来から何年運用をしているかを表しています。

今回は18年超の運用、分類平均よりもリターンが大きいことを条件に絞り込んでいます。

 

国内で個人が購入できる投資信託のうち、18年超の運用を平均以上のパフォーマンスで

行ってくれる投資信託はわずか1.68%です。

そしてパフォーマンスは平均3~4%前後です。

これは決して優れた数字ではないでしょう。

何しろ98%は18年そもそも運用できていないのですから損失確定か、運用が途切れてしまっています。

 

長期運用をする投資信託である事は商品選びの重要な要素の一つですが、運用結果と必ずしも結びつくとは限らないことも投資家は知らなければいけません。

18年超の運用をしていてもマイナス運用のファンドが5つありました。

運用成績以上の信託報酬を取っていることの現れでもあるでしょう。

 

ちなみにつみたてNISA対象の投資信託の中で私が買いたいと思った投資信託は133本中1本だけです。(というか既に特定口座やNISA口座で持っていたファンドでした)

商品選定は当然大切ですが、買い付け後のメンテナンスの方が大切です。

買っただけでノーリスクで増えてくれるなら投資で失敗する人などいませんし、

私たちIFAなど必要なく、ネット証券で投資した人みんなが利益を出しているはずです。

アドバイザーなしで、運用してうまく行く人は殆どいないのが現状と言えるでしょう。

投資信託数(比率)
18年未満の運用 4639(98.07%)
マイナス運用 5(0.1%)
1%台 7(0.14%)
2%台 13(0.27%)
3%台 15(0.31%)
4%台 15(0.31%)
5%台 10(0.21%)
6%台 7(0.14%)
7%台 4(0.08%)
8%台 2(0.04%)
9%台 2(0.04%)
10%台 6(0.12%)

 

変額保険の場合

私の投資経験15年の結論としてはNISAやつみたてNISA、iDeCoのそれぞれのイイトコ取りが変額保険です。

それぞれ良い点は当然ありますが、絶妙なバランスに変額保険はあります。

変額保険を販売している保険会社はソニー生命、プルデンシャル生命、アクサ生命のアクティブ運用か、あんしん生命のインデックス運用の基本的には4択になります。

しかしソニー生命、アクサ生命を除く保険会社は変額保険という商品の優位性をほぼ理解していません。担当者に聴いても適切な回答が返ってきた試しがありません。

あんしん生命は投資信託の傾向としてインデックス型を主体としていますが、あんしん生命の会社としての変額保険への力の入れ方から私は除外をしました。

当ブログへも「あんしん生命 マーケットリンク」というキーワードで沢山の方が記事をご覧になられているようですが、あんしん生命のWebページで運用レポートのリンク切れが先週1週間も放置されていた現状を考えると難しいのかなと思います。

また元々コストの低いインデックスファンドだけを選ぶのであれば投資信託で良いと思います。

コンセプトや採用したファンドは悪くなかったのですが、運用会社がこれでは…と正直感じています。

長い目で見れば預貯金よりはマシな運用をしてくれるでしょうけれど、投資信託より優れている点がマーケット・リンクでは残念ながら現時点では見出せません。

 

『好きではないが実は超絶優秀なあんしん生命のマーケット・リンクが化けるかもしれない件

一方のアクティブ運用の変額保険ですが、ソニー生命の変額保険を検討の場合には定額払済しか出来ない点を留意する必要があります。

払済とは保険料の支払いを停止する事ですが、定額払済は運用も停止します。

払済後はほぼ預貯金のように超低金利で運用され、

保障は払済後の保険金額に変更され続きます。

これでは折角の運用が台無しですから、必ず支払い切れる保険料を設定する必要があります。

 

またソニー生命には変額個人年金、変額保険(有期型)と変額保険(終身型)とタイプがいくつかあります。(運用益重視のA、保障重視のBも選べる)

終身型のみ株式などリスク性の高い商品は50%制限がかかる自主規制を設けています。

残りの半分は総合型や債券型、世界債券型、金融市場型から選ぶ必要があります。

終身型について私は自主規制があるお陰で安心して資産を預けることが出来ると考えています。

ファンドをどう組み合わせるとリスクとリターンがどう変わるのかは詳しい担当者しか説明し切れないでしょう。しかしココが変額保険が投資信託よりも学資積立や老後資金準備に強い点でもあります。

 

 

アクサ生命、プルデンシャル生命は変額払済(払込を停止しても運用を満期まで継続する)が可能です。※アクサ生命の場合は変額払済しか選べない。プルデンシャル生命は前述の定額払済と変額払済が選べる。

アクサ生命は外国株式プラス型(先進国株式へのアクティブ投資)、世界株式プラス型(先進国+新興国の全世界株式へのアクティブ投資)で6〜18%の高い利回りを現在叩き出しています。

また新興国株式やインデックスの日本株式型も選べて、現在はメンテナンスのしやすさからも群を抜いています。

プルデンシャル生命の変額保険(終身型)は米国株式のみに投資するアクティブ型です。変額保険では唯一のETFを取り入れており、かなり積極的な運用をします。そのため米国株式だけが運用としては好調で、その他のファンドは国内株式が手堅いだけで全体の運用としてはかなり停滞気味です。

しかもアメリカに投資が偏る傾向が高く、その分リスクも高くなり、その他のファンドがなかなか選択肢として冴えないので個人的には学資向けというよりは老後資金向けとしてもアクサ生命、ソニー生命と比べて見劣りします。

プルデンシャル生命だけが現時点で選べるJ-REITファンドもこの先数年後を考えるとそろそろ積極的にはお勧めしづらいのが本音です。今はまだいいのですが、2019年以降が怖いですね。

国債金利が上がったら不動産投資の収益率が悪化しますからここ1年前後のうちに手閉まいを検討されることをお勧めします。

 

Type 運用実績

(設定来 年換算複利)

あんしん生命 マーケットリンク Index 未知数

(2016年9月~)

アクサ生命 ユニットリンク Active 世界株式プラス型

(2018年2月~)未知数

Active 外国株式プラス型17%

(2009年2月~)7.34%

プルデンシャル

生命

変額保険(終身型) Active

ETF含

米国株式型

1999年11月~4.98%

ソニー生命 バリアブルライフ

変額保険

Active 世界株式型

(1999年5月~)11.7%

Active 世界コア株式型

(2002年8月~)6.14%

Active

ETF含

総合型

(1986年11月~)3.86%

 

運用利回りは設定来から2017/12末時点までのもの。

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