親孝行のつもりが親の税負担増!大学生のアルバイト

大学生の子どもを持つ親にとって、子育て期間中で最も家計の苦しい時期とされている大学4年間。

日本では18歳になれば選挙権もあり、成人とお酒やタバコ、年金加入を除けばほぼ大人扱いされます。

学費を出してくれる親(家計)の負担にならないようにアルバイトに精を出す学生も少なくありません。

ところで大学生が沢山アルバイトをして稼いだ場合、養っている親の税負担にどれくらいの影響があるのでしょうか?

 

手取り所得が増える国の配慮「扶養控除」

 

その年の1月1日から12月31日時点で対象の扶養家族が何歳か、同居か別居かによって扶養控除には3段階4つの扶養控除があります。

 

区分 控除額
16歳以上 38万円
19〜23歳 63万円
70歳以上 同居 48万円
別居 58万円

 

日本では中学卒業までは義務教育のため、16歳というのは多くの家庭で子どもが高校生の年齢です。

義務教育ではなく、任意で進学することになるので家計が学費の負担を実質的にするのは高校生になってからです。(習い事や塾・予備校などはあくまでも家庭ごとに子どものことを考えて自主的にやっている事になる。まあ、事実そうなんですが)

そのため養っている子が16歳からは手取り所得が増えるように「控除対象扶養親族」となり、38万円の控除が加わります。

 

また日本では学年を飛び越しての進学が原則としてありませんので、大学生と定義する場合には19歳〜23歳が圧倒的に一般化しています。

(金太郎飴のような年齢に合わせた進学を前提とした税制も様々な点で問題だと思うのですが)

この年齢の家族を「特定扶養親族」として前述の控除の代わりに63万円の控除が得られます。

 

控除が大きいことは税負担の軽減に影響する

 

多くの働いている人がサラリーマンという前提でお話しするとして、サラリーマンの給与は年収600万円だとしてもまるまる600万円に所得税が課せられる訳ではありません。

年収というのは会社が給与所得者に支払った総額であり、サラリーマンの場合には「給与所得控除」、全ての働く人に「所得控除」を差し引くことが認められています。

サラリーマンの場合には両方を差し引く事ができ、かつ一定の所得以下の配偶者がいる場合には配偶者控除(または特定配偶者控除)、一定の年齢以下の子どもがいる場合には扶養控除を更に差し引く事が可能です。

 

①給与所得控除を計算してみる

会社から年末年始に配られた源泉徴収票を元に年収が600万円だったとして、まずは給与所得を計算してみます。

600万円×20%+54万円=174万円

年収から174万円は給与所得控除として差し引く事が可能ですので、600万円-174万円=426万円が給与所得となります。

所得税法別表第5で即算できますが。

 

 

②誰でも使える所得控除も差し引く

 

基礎控除と呼び、誰でも差し引ける魔法のような控除があります。

給与所得控除に加えて、差し引けます。

38万円

 

426万円-38万円=388万円

 

③その他の控除を差し引く

ここから配偶者控除や扶養控除、特定扶養控除を更に差し引きます。

ここで差し引く事ができる控除には年末調整の際に皆さんが提出している3つの生命保険料控除、地震保険料控除、寄付控除など実に様々ありますが人によってバラバラなので計算をしやすくするために割愛します。

 

配偶者が所得ゼロの専業主婦の場合、配偶者控除38万円。

アルバイトをしていない19歳の子ども一人の場合は更に63万円。

これらを差し引いくと課税所得が求められます。

388万-38万-63万=287万円(課税所得)

 

課税所得を上記の所得税の計算式に当てはめて計算すると支払う所得税が求められます。

 

287万円×10%-97,500=189,500

この他、住民税が約10%課せられています。(所得割などを加味せず)

 

学生の子どもが年103万円以上稼いだ場合

アルバイトでも自分で家庭教師などの契約を直接結んだ場合は収入から必要経費を差し引けますが、多くは会社を経由しての給与所得となることが多いでしょう。

学生であっても前述の給与所得控除、基礎控除は当てはまります。

アルバイト代が103万円の場合、給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合計も103万円となり、所得税がかからないとなります。

いわゆる「103万円の壁」という奴ですね。

さて、子どもが頑張ってアルバイトで年103万円を超えると子どもは所得税を支払う必要があるだけでなく(給与所得は給与天引きなので還付を受けるためには確定申告が必要)、親の扶養から原則として外れる事になります。

 

2016年10月からは厚生年金の加入対象者が拡大しているため、従業員数や週勤時間によっては厚生年金加入の対象にもなり得ます。

これらの負担増も問題ですが、家計にとっては親の特定扶養者控除がなくなります。

②で求めた388万円から配偶者控除38万円だけを差し引きます。

388万円-38万円=350万円

課税所得が350万円なので、所得税速算表に当てはめて計算をすると

350万円×20%-427,500=272,500円

189,500-272,500=83,000円の負担増となります。

 

結構な負担になりますね(´⊙ω⊙`)

ちなみに学生の方で103万円を超えても少しだけのオーバーなら103万円以内に収める手段としては

子ども自身が契約者となり生命保険料控除やiDeCoの所得控除を利用するなどがあります。

但し、気をつけたいのがiDeCoは国民年金の学生免除特例を利用している場合には利用できません。(年金納付がiDeCo加入の必須条件のため。)

免除申請を解除して、納付すれば支払った年間の保険料総額を控除に利用でき課税所得を減らせます。

 

生命保険料控除は年間保険料によってはそのまま控除とはならないので103万円を超える手前から調整をする事をお勧めします。

子どもを小さい頃から入れておいた保険料の安い医療保険などがある場合には契約者名義を本人に変えるのも1つの方法です。(保険会社の考える保険契約者は保険料負担者。こちらで控除証明書は発行されるが、生計を一にする誰の口座から保険料が振替されたかまでは現行の控除証明書には明記されない。税制上は契約者名義ではなく、実質的保険料負担者が控除証明書を利用できるとしている)

 

学生の本分は勉強?アルバイトは社会勉強?

 

学生の本分は確かに勉強ですが、大学へ何のために進学しているのか。

その目的によっても一様ではないと考えています。

勉強や研究をしたくて進学をしている人もいれば、就職のため、やりたい事を見つけるため、サークル活動などのために進学している人もいるでしょう。

専門学生や短大、理系などの学生はガッツリ年103万円を超えるほどのアルバイトをする時間がないケースも珍しくないありません。

何しろ1月1日から12月31日までの1年間で103万円です。

私は私立文系でしたが、1年の頃は朝9時開始の1限目から18時開始の講義なども曜日によってあり、あまりアルバイトは出来ませんでした。

1〜2年の時に必修単位をきちんと(?)取得しておかないがために就活が始まる3年になっても単位を落としそうで就活になかなか動かなかった同級生も中には何人かいました。

夏休みや冬休み、春休みなど大学の休みは学部によってはそれぞれ2ヶ月〜2ヶ月半もあり1年の半分くらいは休みです。

講義のある時の課題や学習、研究だけでなくこれらの時間を普段の講義を受けていない時間と如何に組み合わせて過ごすかが大学生活で何を学ぶかの最も重要な部分だと私は思います。

アルバイトも恋愛も、友人や先輩・後輩や教授らとの関係構築も全てが財産になります。

就活の時に「自分の大学生活は何だったのか…」とならないように、自分の進学の目的を果たせるように勉強もアルバイトもうまくコントロールして欲しいと思います。

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