決算対策の法人保険にご用心!名義変更プランが今年から危険に!

久しぶりに企業の法人保険(契約者が法人、役員や従業員が被保険者となる契約形態の保険のこと)について書きたいと思います。

3月が官公庁などの年度末ということに合わせて、企業でも3月末を決算としていることがあります。

1年を通しての会社の業績が見えてくる3月初旬、「なんとか節税したい」「利益を出来るだけ残したい」という経営者からの相談を受けて税理士や会計士と連携をしてあの手この手で対策を模索しています。

私の知っているある経営者は創業期に初めて黒字となることが分かった時、家具やら家電やらをしこたま買い込んでいました。

結果、経費は作れたのですが残念ながら家具やら家電やらは換金性に乏しいのでただ豪快な無駄使いをしただけで企業にお金は残せませんでした。

法人保険を活用すると会社に資金を残せることを多くの経営者は知りません。

またその仕組みを単年単年の決算対策だけで考えようとすると法人保険はあまり魅力的ではなくなって見えてしまいます。

保険は個人で加入しようと、法人で加入しようと保険料を払い続けなければその効果を維持できません。

少なくても5〜10年、出来ればもっと長く長期で考えることが基本です。

名義変更プランのルールが変わった平成30年1月1日

 

これまで国税庁が把握したくても出来ない事をいいことに、まかり通っていた方法があります。

企業が経費として支払った保険を解約返戻金相当額で個人が買い取り、契約者の名義変更を行いうことで個人の契約にした上で解約すると解約返戻金を得られる通称「名義変更プラン」です。

通常の保険であれば返戻金があるとは言え、個人で買い取ることにあまりメリットはありません。

しかし低解約返戻金型と呼ばれる特則を付加しておくことで払込時には解約返戻金を抑制し、買い取り時には低い価額で買い取り、買い取り後に低解約期間が終わると解約返戻金が3割以上立ち上がる仕組みを利用する事で法人のお金を個人のお財布に移転させるという仕組みです。

旧ING生命(現NN生命)が発売開始した「逓増定期保険」がその代表的な例で、マニュライフ生命などの外資系生保がこぞって販売をしました。

企業のお金を個人へ移転させる仕組みですからそんな方法をいつまでも国税庁が放置するはずがありません。

平成30年1月1日から保険の名義変更がされた際には支払調書が発行されるのですが、誰が保険料を負担したのかの履歴が記載されることになりました。

これによって明らかに企業が支払ったものを個人へ移転させた場合にはお金の動きが追跡できる事になり税務署が税務調査しやすくなったと言えます。

ここに近い将来行われるであろう金融機関へのマイナンバー提出義務が加わるともはや逃げ道が塞がれることになります。

保険契約の名義変更は保険商品の保全機能の一つです。

しかしそれに伴って生じる税金の課せられ方はそれとは別な国のルールです。

国税庁vs保険会社 攻防の歴史

こういったルールはイタチごっこで、古くは長期平準定期保険の全損時代という今では考えられない時代から近年のがん保険全損、養老保険の逆ハーフタックスなど挙げればキリがないほどです。(いずれも現在は取り扱えないまたは否認されている)

国税庁が禁止をすると、次の手が生み出され、それも感じらると更に次の手が生まれる。

保険商品が税制と密接に結びついた金融商品である以上はなくならない問題がここにはあります。

名義変更プランが一斉を風靡したのはがん保険全損の前後でしょうか。

危険危険と指摘されながら既に数年が経ち、このまま逃げ切ってしまう方も少なくないでしょう。

国税庁の立場で言えば過去への遡求は他の通達との矛盾なども考慮しなければならず、やりたくても容易には出来ない実情があります。

しかし支払調書に保険料負担者の記録がされることは法人から個人への資金移動への大きな防衛策として働くことになります。

法人向け定期保険が続々と登場

 

有期払込終身保険などには105歳ルールと呼ばれるものがあります。

このため全額を損金として計上することは難しく、法人向けの保険商品で貯蓄性の高いものは現在では定期保険が主流となっています。

初のドル建定期保険もこの春には登場

アメリカ資本で国内では再生保険会社(破綻した保険会社を買収して再建させる役割をしている保険会社)の担い手であるジブラルタ生命では新たに米国ドル建定期保険を発売します。

個人保険でも近年人気の外貨建て保険ですが、これまでは貯蓄性を好む傾向から養老保険や終身保険が発売されていました。

ここに損金算入できる外貨建保険では初の定期保険が登場となります。

将来、海外進出を目指す企業などが決算対策として税引き前利益から経費として保険料を捻出出来、外貨の両替コストも安いので非常に有利な積立が可能です。

 

特定保障付き定期保険

FWD富士生命やNN生命などが発売するのは所定の障害状態や特定の疾病に罹患した場合に保険金を支払うタイプの定期保険です。

従来の死亡保障や高度障害などよりも保障範囲を広げた分だけ保険料が割高ですが、割高な部分を返戻金に振り替えており実質的には沢山経費化するための商品という面もあります。

保障内容としては…支払い要件が厳しめで決算対策としての性質が強めと考えられます。

 

資産形成機能を重視する変額保険(定期型)

ソニー生命が発売を再開したのは変額保険の定期型です。

変額保険は投資信託の仕組みを利用して運用を行う資産形成機能に優れた商品です。

これまでもソニー生命では変額保険を有期型・終身型と販売してきました。またアクサ生命でも有期型を販売してきました。

有期型は1/2損金となり、1/2は資産計上となるため企業の福利厚生としても活用され退職金積立などの準備方法として人気ですが損金算入としての効果は半減します。

そこで販売再開されたのが定期型です。いわゆる定期保険なので全額損金として計上し、投資信託の運用益も得られるというアクロバットな商品です。

退職金積立としても損金算入できる仕組みと言い、個人的には非常に魅力的な商品です。

定期型は既に変額個人年金や変額保険(有期型)でも運用実績がある「世界株式型」を繰り入れ比率100%運用ができ、課税の繰り延べと資産形成、複利運用という最強のコラボレーションが可能です。

「世界株式型」の運用実績は1989年からの18年で設定来年複利換算で11%超を未だに達成し続けているモンスターファンドです。

 

傷害保障重点期間付長期定期保険

昨年、日本生命が発売開始をして業界が騒然となった商品で、日本生命のペットネームから「プラチナフェニックス」とか「プラチナ系」と呼ばれている長い名前のこのプランは法人保険の革命児かもしれません。

保険を二つの期間に区切り、前半を第一保険期間。後半を第二保険期間としています。

第一保険期間は損害保険の傷害保険としての機能を有し、事故や災害などでの死亡でしか保険金が支払われない(返戻金などはある)というもはや生命保険ではない点が特徴です。

第二保険期間に入ると長期定期保険として死亡保障が発生します。

この商品は企業決算対策としての性質が強く、傷害保険として全額損金算入ができる点が肝です。

何故なら通常の生命保険は加入してすぐには払込保険料と解約返戻金の差額がとても大きく発生しており、返戻金が払込額で実質返戻率で100%を上回るのは早くても10年近くかかります。(低解約などの工夫をしても)

しかし傷害保険が前半にあることで前半部分は非常に高い返戻率を確保しており、年齢によっては5年前後で実質返戻率が100%となってしまうこともあります。

つまり決算対策として課税の繰り延べが今までよりも有利になる商品という特徴があります。

 

企業にとって資金繰りや内部留保は非常に大切な長期の経営戦略です。

法人契約の保険はそういったニーズに応えてくれる大変優れた機能を持っていると言えますがしかし如何せん、10年は長い…と感じている経営者が多かったようです。

第一・第二保険期間を設けたことによって生まれたもう一つの効果は保険加入の際に問われる健康状態によって加入できない点を、傷害保険では殆ど問わない事です。

全くの無診査とは行きませんが、過去に大きな病気をしていても現時点での健康状態が安定していると加入ができるほど告知も簡便なものが多い傾向にあります。

日本生命では2017年4〜12ヶ月で40,000件を超える契約件数があったとされていて、第一生命、東京海上日動あんしん生命、朝日生命、アクサ生命からも類似商品が次々発売が開始されており第一保険期間の長さや返戻率のピークが異なるなどを差別化のポイントとしています。

もはや保険商品ではないプラチナ系は税務上大丈夫なのか?

何しろ最初に認可を取ったのが国内最大手の保険会社である日本生命です。ここに販売の許可を与えた金融庁の意向を考えると税務上は適法と考えることができる後ろ盾があると考えるのが自然でしょう。

事実、第一保険期間は損害保険商品ですから全額損金算入を否認する理由はありません。

金融商品は出口対策がなければただの浪費です。

税理士や会計士だけでなく、保険税務に詳しい保険募集人と連携して出口まできちんと備えてこそです。

3月末まであと半月ほど。きちんと対策を考えて、新年度を迎えたいものですね。

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