保険選びが変わった2017年改訂後~変額保険に注目

日銀のマイナス金利政策に始まった超低金利の影響を受けて

生命保険各社は保険に適用する標準予定利率の見直しを2017年4月に行いました。

現代の生命保険が始まってから140年ほどの歴史上最低と呼ばれる今回のその水準に、

個人保険における貯蓄性保険は氷河期を迎えたと言えます。

 

そこで保険会社各社が取り組んでいるのが以下のような対応です。
1.保障性を充実させた商品への改訂
2.外貨建保険への切り替え
3.変額保険への切り替え

前々回の『保障性を充実させた商品への改訂』、

前回の『外貨建保険への切り替え』に引き続き

今回は『変額保険への切り替え』についてです。

 

変額保険の歴史と背景

1980年代、現代生命保険の隆盛を極めたアメリカではユニバーサル保険がもてはやされていました。

ユニバーサル保険とは日本では殆ど販売されたことの少ないタイプの保険で、

契約後にも告知や診査がなくライフスタイルの変化に合わせて保障内容を柔軟に変更ができるタイプの保険です。

 

2000年代にメットライフ生命で一時期発売をされていましたが、現在は販売停止。

2017年現在、マニュライフ生命の直販とアクサ生命によってのみ提供されているようです。

ManuFlex(貯蓄・死亡・医療保障型)

ManuMed(貯蓄・医療・ガン・介護保障型)

契約者にとってユニバーサル型の保険は使い勝手の良い商品ですが、

契約を預かる保険会社にとってはあまり良い商品ではありません。

振り分けるお金がコロコロ、貯蓄・運用から保障に変えられてしまうため

長期の資産運用が非常にしづらい商品だからです。

また時代の変化、顧客の変化に応じて必ずしも求められている良い保障が提供されるかといえば

基本的な保障こそ提供されますが、その時代のスタンダードなものかやや遅れた保障内容のものでしか

契約できないことがあり保障としても貯蓄としても中途半端になりがちです。

挙句、アメリカで販売されていたユニバーサル保険は保険料まで自由に変更出来たものですから、

保険会社はその入ってくる保険料を安定的に確保できず、経営状態が非常に厳しくなったとさえ言われています。

一時的な数字では個人保険のうち、3~4割をユニバーサル保険が占めたこともあったようです。

 

また隣接する金融業界である証券業界・投資銀行の間では投資信託が過去50年右肩成長を遂げ、

資産形成の勢いは保険ではなく証券に分があると支持されつつありました。

※日本で現在販売されている投資信託とは名前こそ同じですが、ほぼ別の金融商品と解釈ください。

ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、JPモルガン、ブラックストーン、

リーマンブラザーズ、メルリンチ、バンク・オブ・アメリカ

現在でも有名な、また非常に規模の大きい金融機関が成長を続けていました。

 

「証券に流れてしまう状況を何とかしたい」

 

そう考えたアメリカの生命保険会社は証券の持つ資産運用機能と、

ユニバーサル型ではない通常の生命保険の持つ保障機能の両方を併せ持つ新しい商品開発をしました。

そこで誕生したのが変額保険と呼ばれる保険商品です。

 

基本的な仕組み

契約者は契約時に定めた保険料を毎月または毎年支払っていきます。

支払われた保険料を次のように分けて管理・運用します。

 

残ったお金を特別勘定として保険会社ではなく、契約者が指定したファンド(投資信託)へ入れます。

各ファンドは受け取ったお金をそれぞれの運用方針によって運用していきます。

運用結果が良ければ解約返戻金は大きく増え、運用がうまく行かないような場合には解約返戻金は大きく減ることになります。

保険会社が販売窓口となって契約できる投資信託の仕組みと呼べます。

 

一方で変額保険には証券会社で契約をする投資信託と大きく異なる点があります。

・保障付き商品であること(保険であること)

・終身年金受取、確定年金受取などが柔軟に設計できる

・信託報酬などのコストが桁違いに安い

・厳選されたファンド設定

保障付きという特徴

たとえば投資信託の場合、契約者が途中で亡くなったとしても保障が出てきません。

資産を運用して大きくしようとしていたとして、

亡くなってしまったらその時までの運用のお金だけしか遺せません。

保険で資産形成をしようとする場合、

契約と同時に保険料の何十倍・何百倍といった大きな保障が発生します。

基本保険金額が最低保証されていることは、変額保険の大きな特徴と言えます。

資産をこれから大きく育てようという人にとって、契約と同時に生まれる保障は大きな魅力です。

年金受取の利便性

また年金受取をしようとする場合、証券会社のホームページをご覧になってみてください。

自分が運用した資産をどのようにして受け取るのか、年金受取をしたい場合の手続き方法が

どれくらいの証券会社で明記されているでしょうか。

様々な投資信託に運用しているお金をそれぞれご自分でその都度、部分解約していく必要があります。

投資信託のように一日一回しか売買ができないもの、売却後3~5営業日かかって特定口座にお金が入金され、

自分の口座に振り込む手続きをする作業をそのたびにすることを想像できるでしょうか。

これを資産を取り崩しながら80歳、90歳になってもしていくのですからなかなかの労力です。

 

保険会社へ受取方の指定は年金受取開始時に受取方法を選択して提出すれば、

保険会社がその内容に従って年金を支払ってくれます。

この大きな手間の省略は保険で資産形成をする受取時のメリットと言えます。

 

また終身年金のような、その被保険者が存命である間ずっと受け取り続けられる年金形式が選べることは

生命保険会社だけができる特徴といえます。

被保険者の生死を判定し、契約内容を実行するのは生命保険会社の専売特許です。

その他にも〇年保証付き確定年金などのように分割して年金を受け取る場合にも、

自分が受け取り切れなかった分を遺族に引き継いで支払う保証付きの受取方があります。

保証を提供するのもまた保険会社の得意とするところです。

 

運用コストの圧倒的な差

変額保険は投資信託と基本的に同様の仕組みを活用していることが、

お分かりいただけたでしょうか。

その一方で変額保険と証券会社経由で購入できる投資信託との決定的な差は

次のような点にもあります。

 

証券会社で投資信託を毎月定額で購入しようとした場合、何年間という契約期間については

特別交わすことがありません。

証券業界で投資を行うことは短期売買が目的だったためです。

しかし長期投資の場合、これは大変な損です。

保険契約は契約時に契約期間と保険料などにについても条件面を交わします。

たとえば保険料払込期間を20年と設定し契約をすると、20年支払うことを契約者は同意したことになります。

携帯電話の契約がほぼ暗黙の了解のように2年縛りになっているように、

保険契約は払込期間や保障期間に定めを設けています。

これがあることによって保険会社は短期の契約解約時には解約控除を差し引くことが可能です。

解約返戻金を低く抑えるなどの設定も保険会社からすれば可能です。

こうすることによって保険会社にとってだけでなく、ファンドを提携する運用会社にとっても

取りっぱぐれの少ない長期流入資金を確保することが実現しますので、

投資信託にかかる様々な費用、主に信託報酬については非常にコストが安いという特徴があります。

 

厳選されたファンド設定

更に変額保険の場合には、どのようなファンドを自社商品で組み合わせられるようにするかを厳選しています。

何百種類もの投資信託を扱っている証券会社は顧客がどの商品を組み合わせをするのも自由です。

一方で保険会社はそんな手間とコストをかけることができませんので、

自社の変額保険と組み合わせるファンドを予めかなり厳選しています。

多くの保険会社の変額保険は次のようなファンドから選べます。

・国内株式

・国内債券

・外国株式

・外国債券

・元本確保型(短期金融市場)

・総合型(バランスファンド)

 

ここにそれぞれ独自のファンドを加える場合や、

バランスファンドに積極運用バランス型(株式60%、債券40%)、安定成長バランス型(債券60%・株40%)など

株式比率と債券比率で運用の積極性や安定性を選べるオマカセコースもあったりする会社も存在します。

 

保険会社の立場で考えるとここにもし運用成績の上がらないファンドを入れてしまうと、

「あの保険会社の変額保険はダメだ」と言われてしまいます。

株価や債券価格などの乱高下など様々なリスクについては契約者に帰属する責任ですが、

ファンドがそもそもダメだというのは保険会社にとって『資産運用に強い』と銘打っている変額保険では致命的です。

 

そのため出来るだけ運用結果の良いファンド、運用成績が今後期待できるファンドを採用するということを行っています。

投資家の立場で考えても国内の5400種類ある投資信託から自分の運用に合ったファンドを選ぶことは大変です。

しかし10本弱の厳選ファンドの中から選び、自分の資産状況を一つの契約会社で管理でき、

運用コストが低く抑えられ、受け取り方の利便性が高く、契約期間中の保障や保証が付いている。

これって投資に不慣れな日本人の長期資産形成にものすごくマッチするのではないでしょうか。

 

変額保険を取り扱っている保険会社と商品

 

変額保険はまた別な機会にご紹介しますが、バブル期に日本の従来の保険会社と銀行によって

無茶苦茶な販売をされた過去があります。

そのため国内の大手保険会社ではあまり取り扱われていないというのが実情です。

外資系生命保険会社が中心となって販売されています。

またその構成されているファンドにも各社特徴があります。

 

2017年8月2日、損保系生命保険会社「東京海上日動あんしん生命」が変額保険に参入しました。

運用実績こそ始まったばかりですが、新しい選択肢として他にはない独自ファンドを引っ提げての参入ですので

注目したいと思います。

 

生命保険会社 商品名 期間 払方 ファンド 独自ファンド 特徴
アクサ生命

予定利率3%

ユニットリンク保険(有期型)

予定利率3%

85歳 月払 ①積極運用バランス型(株60%債券40%)

②安定成長バランス型(株40%債券60%)

③国内株式

④外国株式プラス

⑤外国債券

⑥金融市場型

 

主な運用はアクサグループ、アライアンスバーンシュタインが主体

⑦新興国ファンド(中国インド等)

運用はステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ

⑧オーストラリア債権ファンド

 

【2018年2月より追加】

⑨世界株式(インデックス型)

運用はキャピタル・インターナショナル

 

⑩日本株式(アクティブ型)

運用はブラックロック

2009年2月~運用開始

特別条件付引受○

クレジットカード払○

 

変額払済

払済保険への変更後も

特別勘定で運用を継続する

10年以内解約控除アリ

 

アクティブ/インデックス型

 

外国株式プラス運用実績◎◎

積極運用/安定成長バランス型も堅調◎

 

★2018年の新ファンド追加で

更に魅力アップに期待!

あんしん生命

予定利率2.75%

マーケットリンク

新変額保険

(有期型)

予定利率2.75%

85歳 月払 インデックス型

①バランス40型(株40%債券60%)

②バランス60型

(株60%債券40%)

③国内株式型

④外国株式型

⑤外国債券型

⑥マネー型

 

運用は関連会社、東京海上日動アセットマネジメント

アクティブ型ファンド

⑦新興国株式型

(日興アセットマネジメント)

⑧海外REIT

(野村アセットマネジメント)

2017年9月~運用開始

変額払済

払済保険への変更後も

特別勘定で運用を継続する

10年以内解約控除アリ

 

インデックス型中心

 

運用コスト少なめをアピールだが実際のところは?

 

海外REITはオンリーワン、運用成績が楽しみ

ソニー生命

予定利率3.5%

変額保険

終身型

(オプションA/B)

終身 月払

半年払

年払

 

①総合型

②株式型(国内)

③債券型(国内)

④世界債券型

⑤日本成長株式型(アクティブ型)

⑥世界コア株式型(30%アクティブ型、70%パッシブ運用)

 

⑦短期金融市場型

運用はソニー生命が組入銘柄の選定

 

 

 

 

⑧世界株式型(アクティブ型)

 

運用はモルガンスタンレー・インベストメント・マネジメントが運用助言。

1986年11月~運用開始

 

世界株式型 運用実績◎◎◎

 

アクティブ/インデックス型

 

定額払済

払済保険への変更後は一般勘定での運用へ移行

 

予定利率を上回る運用資産部分のみの中途解約が可能

 

払込満了後は特別勘定で運用しながら年金受取が可能。

 

3大疾病保険料払込

免除特約付加○

 

※世界株式・国内株式・国内成長株式、世界コア株式は繰入比率最大 合計50%まで

変額保険

有期型

(オプションA/B)

85歳 上記と同じ

 

※繰入比率の制限なし

※変額「個人年金」と名称がついていますが他の商品と同様に一般生命保険料控除対象。

 

変額個人年金のみ追加投資が可能(10万円以上~)

変額保険

定期型

法人保険のみ

99歳
変額個人年金保険※ 70歳
プルデンシャル生命

予定利率3.5%

変額保険

(終身型)

予定利率3%

終身 月払

半年払

年払

一時払

①総合型(外国株式はMUAM全世界株式インデックスファンド)

②株式型

③債権型

④米国株式型(SPDR S&P500ETFインデックス型)

⑤米国債券型

 

主な運用は関連会社、プルデンシャルインベストマネジメント

⑥国内REIT型 1988年9月~運用開始

 

定額払済/変額払済 選択可

特別条件引受○

 

国内REIT型が運用堅調

 

変額保険の考え方は「確定拠出年金」の運用方法と非常によく似ています。

その一方で確定拠出年金のデメリットである運用コストや年金受取コスト、特別法人税の恐怖、

中途引出しが出来ないリスク、悩ましい商品選定における厳選ファンドなどのいくつもの利点もあります。

自分に合った資産形成の手段として積極的に活用したい内容といえるのではないでしょうか。

 

 

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