全面解禁から10年、銀行窓販は新しい加入経路として定着したのか?

前回、第一次金融ビックバンによってどのような改革がされたのかを

森金融庁長官が続投する可能性が濃厚になったことと併せてご紹介しました。

 

第一次金融ビックバン(1996~2001年)で規制緩和などがされた上で、

実際に様々な会社や業界が営業を始めたのが1998年頃からです。

金融業界で最もその改革が進められた一つが銀行です。

今回は銀行窓販という新たなチャネル(販売経路)がどのような販売状況かを見ていきたいと思います。

 

銀行窓販って?

銀行はこれまで銀行業務(預金・融資)を中心に営業をしていましたが、

バブル崩壊後から証券会社や保険会社の代理店となり

店頭窓口などを中心に投資信託(1998年12月)や保険商品(2001年)の販売を始めました。

これらを「銀行窓販」と呼びますが、金融の新しい販売経路(チャネル)として約20年大きな躍進をしてきました。

 

 

どのような商品が銀行では売れているのか?

 

2001年に住宅購入時のローンに対する保険、団体信用生命保険(団信)が解禁されると段階的にその対象を広げていきました。

保険業界における販売シェアとして2010年は約7%を銀行窓販が占めています。

ニッセイ基礎研究所「本格始動後10年が経過したわが国の保険商品銀行窓販」

※このリンク先のレポートを書かれている松岡氏の研究は非常に分かりやすく、読みごたえがあるので

是非様々なレポートを読んでみてください。

際立って大きなシェアを占めているのが年金保険と呼ばれるジャンルです。

いわゆる投資性保険商品の一つで、所定の年齢から運用実績に応じた年金を分割形式で受け取れる金融商品です。

 

 

先行して解禁された投資信託での販売に慣れていたためでしょうか。

変額年金と呼ばれる運用実績に応じた年金額が受け取れる投資性の高い商品に至っては

保険業界全体における88%のシェアを獲得しています。

また定額年金と呼ばれるタイプでも23%と存在感を示しています。

更に2010年からは一時払(一括払)の保険商品シェアが急増しています。

これはそれまで大きなシェアを占めていた変額年金が2007年のリーマンショックで

元本割れをした人たちが安全性を求めて、定額保険である円建商品へ一斉シフトしたためと考えられています。

 

欧米諸国における銀行窓販の事情

 

このように規制緩和と新しい販売チャネルによって大きな変化をもたらした金融ビックバンですが、

日本より20年進んでいると言われている欧米では国によってその様子は少し異なります。

フランスの場合

保険の銀行窓販が最も普及・浸透している国は世界の生命保険元受収入保険料収入第四位のフランスです。

1970年代に銀行での保険加入が解禁され、保険の約6割が銀行窓販(バンカシュランス)で販売されていると言います。

保険は貯蓄性金融商品。保障性を求めないドライなフランス人

アメリカの場合

一方、世界の生命保険元受収入保険料第一位のアメリカでは

銀行窓販は変額年金で11%、定額年金で22%と日本よりも控えめです。

その背景にあるのは主要な販売チャネルが対面営業であるエージェント制度が根強いためです。

年換算新契約高ベースで訪問販売するエージェント(専属・独立)から加入する人のシェアが90%に迫る勢いです。

件数ベースでの比較でも66%と高いシェアを誇っています。

アメリカにおける独立エージェントは日本におけるファイナンシャルプランナー(FP)または保険代理店にあたります。

→ アメリカの生命保険市場調査

イギリスの場合

近代生命保険発祥の地、世界の生命保険元受収入保険料第3位のイギリスではまた状況が異なります。

商品によって各チャネルのシェアが異なるのは各国と同様ですが、

直販(保険会社所属の外交員)と銀行窓販は合算での統計となっていて詳細が判明していません。

ですがこの2つのチャネルを合わせたシェアは日本の銀行窓販で主要な年金商品であまり大きなシェアを持っていません。

一方で大きなシェアをどのジャンルでも持っているのはIFAという独自のチャネルです。

※日本でもIFAが第一次金融ビックバンで解禁されていますが、まだ殆ど定着していません。

→ イギリスに見る金融商品販売チャネル改革のダイナミズム

 

日本の銀行窓販が強みとする商品傾向は

 

これら各国の販売チャネルの特性を考えるとその国それぞれの事情が伺えます。

日本では2011年に銀行窓販における取引先構成員への販売規制も解除され、主要な制限は既に撤廃されています。

しかし2017年4月に行われた予定利率改訂によって貯蓄性商品(一時払含む)はほぼ壊滅状態となりました。

今後は最も身近な金融機関としての立場を活かして、FPや保険代理店に類似する

販売構成である平準払(定期払)へシフトしてくることになるでしょう。

またリーマンショックによる損失から変額年金へのアレルギーが抜けきれていませんが、

保険代理店では取り扱っていない変額年金専業の保険会社など差別化を測る傾向になるのではないでしょうか。

 

銀行窓販における課題

銀行では貯蓄性・投資性商品がこれからのスタンダードになるのはほぼ確定的でしょう。

その一方で銀行窓販解禁以来、銀行の店頭において販売しやすい商品を販売する傾向にあり、

平準払いや保障性商品の販売がなかなか伸びていないという窓販特有の課題があります。

保険が提供する保障性商品を提案するという当たり前のことが、銀行員にはなかなか難しいというのが実態です。

保険外交員を育成するのには時間とコストが莫大にかかります。

そのような背景に銀行窓販専業生命保険会社として独自色を出しているのが、

米国プルデンシャル・ファイナンシャル資本によって2008年に買収された大和生命を前身とする

PGF生命(プルデンシャル・ジブラルタ・フィナンシャル生命)です。

 

現在は日本におけるプルデンシャルグループのジブラルタ生命の子会社となり、三菱東京UFJ銀行を中心としたメガバンクへ同グループ会社出身のインシュアランスプランナー(IP) を出向させて生命保険の銀行窓口での教育・販売支援を行っているといった特色ある活動をしています。

IPはグループ会社での高度な金融教育と保険販売の経験者で構成されており、これら銀行窓販の課題である保障性商品の提案という面において銀行から関心の高いサービスを提供しています。

IPが今後活躍をしていくことによって、近い将来、日本の銀行窓販も貯蓄・年金に限らず、FPや保険代理店を脅かす大きな存在になるかもしれません。

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