アクティブvsインデックス 強みを発揮する相場の違いとアクティブシェア

つみたてNISAやiDeCo、変額保険など私たちの資産形成手段として投資信託はこの数年で投資初心者にとっても身近な金融商品になりつつあります。

投資を長らくしてきた方にとっては今更な感じがあるかもしれませんが投資手法の違いによる差は運用成果にも多分に影響を与えます。

アメリカでは第二次世界大戦から帰還した方々が家庭を築いて生まれたベビーブーマー 世代は1980年代に入ると30歳前後を迎えており、投資を通じての資産形成を活発に始めました。

しかし彼らが60代の引退の時期を迎えた際にはITバブルの崩壊(2000年頃)、そこからの回復の途上で受けたリーマンショックによる株価の大きな下落は彼らのリタイア時期に少なくない影響を及ぼしたと考える方も少なくありません。

 

こうしたことを考えるとつみたてNISAのような長期での資産形成は確かに時間を味方にする事ができる反面、受け取り間際になって起きた株価の下落相場では資金の防衛面で大きなリスクを含んでいることは誰の目にも明らかです。

 

つみたてNISAはリーマンショックの反省を活かしていない制度

ドルコスト平均法による下落時に量を買い込めるという理論は価格が一定水準までの回復が必須条件です。

運用期間が無期限であれば、その水準まで戻るまで待つという事も出来ますが20年かつロールオーバー不可というのは、積立投資におけるリスク分散を台無しにしかねないほど怖い点です。

iDeCoや変額保険が優れているのは受取時期が近づいた際にリスクを下げることができるスイッチングなどのメンテナンスをしても課税が口座から引き出されるまでされない点です。

制度にはメリットだけでなくデメリットが当然にあるものですから、1つの制度で補いきれないデメリットは複数の制度や商品に分散して組み合わせることで補完が可能です。

つみたてNISAは受け取り間際になっての下落時にリスク回避が出来ず損失が確定しやすいという怖さを含んでいます。つまりリーマンショックのような事が起きたらお手上げという反省を全く活かしていない制度です。

また金融庁がロールオーバー不可と明言している以上は不可のまま2038年末まで走りきるべきです。

途中から不可としたものを可能にするとこれが理由でやらなかった人に対して不利益を働いたことになります。

NISAのロールオーバー枠の拡大とは根本的に意味が違います。

金融庁には制度設計の責任があり、我々投資家には投資の自己責任があります。

 

インデックス型に投資しておけば良いというのは過去に限定した話

またアクティブ型とインデックス型のように投資手法によるパフォーマンスの違いがどのような相場において効果的であるかの検証が十分に周知されることがないまま「インデックス型の方が有利」と結論だけを持ってアクティブ型を一括りにする声に私は疑問を覚えます。

投資信託はそれぞれの商品ごとにその性質も運用方針も異なり、アクティブ型とインデックス型、どちらも大きなカテゴリーの違いであってそれを一括りに語ることはステレオタイプなものの言い方のように感じるからです。

そもそも「アクティブ型はインデックス型に長期運用では勝てない」という言葉にはいくつかの条件が付きます。

このことを声高に語り始めた多くの人は前述のITバブルやリーマンショックで損失を出した人たちです。

それ以前からこの言葉は投資の格言のように言われてきましたが、下落相場でずっと何もせずに指をくわえていただけでリターンが増えると考える方がどうかしています。

人は欲深い生き物です。上昇相場で自分が投資しているインデックス型よりも高いパフォーマンスを出している投資信託があればそれを尻目に放っておける人は少ないものです。

下落相場ではリバランスに絶好の機会ですが、多くの人は尻込みして資産を動かすことをしません。

上昇相場ではアクティブ型、下落相場ではインデックス型がパフォーマンスを発揮しやすいですが運用のアクセルとブレーキを踏み間違えてはいけません。

下落は量を購入できるチャンス、値動きの大きなアクティブ型は乱高下でこそ真価を発揮します。

 

日本の投資信託がダメな点は挙げればキリがありませんが、1つには投資信託を「インデックス型」と「アクティブ型」という色分けで無理に区分しようという点にも一因はあるのではないでしょうか。

アクティブ型と言っても実質インデックス型のような指標をベンチマークとして運用する手数料の高い不思議なもの(ぼったくりファンド)もあれば、インデックス型投資信託なのに指数を上回るパフォーマンスを何故か発揮している運用をするファンドも存在します(ダメックスファンド)。

どちらもアクティブ型やインデックス型の定義からすればニセモノということになりますが、こうしたファンドは決して珍しくないというのが日本の投資信託の現状であり、運用会社の創意工夫に一定の制限を設ける、またはそれを忖度させる意図が何処かしらの官公省庁や業界団体から大きな影響を及ぼしていることは想像に難くありません。

その最たるものがバランスファンドにおける国内債券の組み入れです。

超低金利の現在、日本の国債は入れても何のパフォーマンスを発揮しません。それどころか今後の株価の上昇や金利の上昇局面において損失を生みます。

本来、株式と対になって相関性の低い「株式と債券は逆に動く」からは有り得ないことですが、近年の株価の下落時に債券も一緒に下落することが少なく有りません。

株式よりも下落幅は小さいとはいえ、戻り幅も小さいため下落した分を吸収しきれていない点で債券投資は非常に不利な運用を強いられています。

しかしバランスファンドには何故か何処の証券会社のバランスファンドでも国内債券を一定割合組み入れるという事態になっています。

ファンドマネージャーという運用の専門家がその事を知らないはずもなく、自動的にリバランスをしてくれるという銘で高い信託報酬を徴収しているにもかかわらず、実際にはファンドマネージャーは何もしていないというファンドの実に多いのが日本の投資信託の現状です。

では投資初心者はどのようにして投資をしたら良いのかと言えば、自分で学び自分でファンドを組み合わせながらリスクとリターンを調整する事が最大の防衛策となります。

アクティブ・ウェイトの高い投資信託はインデックスを下落時でも上回っている

 

よく知られている学術的研究の一つ(注) は、1990年から2009年までの期間について、運用戦略のベンチマークに対するアクティブ・ウェイトの度合いを、そのベンチマークに対する相対パフォーマンスと比較したものだ。全体として見れば、アクティブ運用は年間0.4%程度アンダーパフォームした(手数料控除後ベース)。

しかし、詳細に分析すると、アクティブ度でみた上位20%の運用戦略はかなり良好なパフォーマンスを達成した。トラッキング・エラーが低いにもかかわらずアクティブ・ウェイトの高い「ダイバーシファイド・ストックピッカー(分散度の高いアクティブ運用)」とでも呼ぶべき戦略は、パフォーマンスがベンチマークに対し年率1.26%上回った。優れた手法で銘柄選択を行う運用こそが超過収益の可能性を最も高めるというのが結論だと言える。

 

“アクティブ・ウェイト”と呼ばれるアクティブ型の投資効率を測る指標があります。

 

AB社レポート「アクティブ運用はなぜ失敗したか…そして失敗しなかったか」

いわゆるどれくらい市場のベンチマーク(TOPIXやS&P500など)などと比べて積極的に運用をしているかを示すものですが、殆どの投資信託は「アクティブ型」という表記はしても「アクティブ・ウェイトが何%」とは言いません。

個人が算出するにはまだまだハードルの高い計算方法となっています。

しかしこれらは市場全体が下落しているシーンでもさほど下落をしなかったり、上値が重いシーンでも基準価格を上昇させていきます。

国内でこのような投資信託の数が本当に少ないのは極めてもったいないと感じています。

『アクティブ型の「真偽」を判別 新指標で投信選び QUICK資産運用研究所 高瀬浩 2018/1/3』

 

インデックス(パッシブ)型への傾倒は市場の健全性を歪める

国内ではインデックスに傾倒している傾向にあり、これまで投資をしたことがない方まで投資を始めています。

投資に参加される方が多いのは大歓迎ですし、市場に多くの資金が流入によって経済が活性化するのはアメリカの投資環境を観ても大変喜ばしいことです。

その一方で投資の世界には次のような話があります。

国中の多くの人が株式投資に夢中になっていた1929年のある日、投資家の一人の男性が株式市場に関する経済新聞を読みながら街角で靴磨きの少年に靴を磨いてもらっていると、少年はその投資家に質問をした。

「どの株を買えば儲かりますか?」

その投資家は靴磨きの少年のような投資の素人さえ株式投資を始めようとしていることに驚き、保有していた株式をすぐに売却をした。

その後、株式市場は暴落を続け、後にこの下落が世界恐慌と呼ばれることになった。

投資家はこの時の機転によって資産の大部分を失わずに済んだ。

投資の素人が参加を始める時にはその相場は末期であるという格言ですが、今は正にそんな時期が近づいているのではないかとさえ思えます。

AB社レポート「パッシブ運用はなぜ万能薬ではないのか」

 

絶対収益追求型投資信託という考え方

 

投資信託にはアクティブ型やインデックス型のような区分けの仕方よりも、投資額に対する「絶対収益追求型」という考え方と、何かの指標との連動性を目指す「相対指標連動型」があります。

アクティブ型投資信託の理想形は「絶対収益追求型」ですし、インデックス型投資信託の理想形は「相対指標連動型」です。

 

昨年からアクティブ・ウェイトの高い投資信託は次々と販売を停止しました。

それは株価の好調に加えて市場から資金が集まりすぎたために、機動性や市場にお金が集まりすぎて株価の値動きが健全でなくなる危険性があったためです。

投資信託としての方針を大きく見直し、新しい運用に切り替えた人気ファンドの「ひふみプラス」はこれによってアクティブ・ウェイトを94%から半年で89%まで落としました。

89%でもまだ国内トップクラスのアクティブ・ウェイトですが数値が低下すればするほど市場の価格との連動性が高まりアクティブ型としての魅力は低下していきます。

資金が集まらなくて解散をする投資信託は良くありますが、人気が出たためにこのような状態となる投資信託は非常に珍しく今後の動向に注目が集まっています。

 

アクティブに「真偽」あり 見極めが重要(藤野英人)レオス・キャピタルワークス社長兼最高投資責任者2017/8/22

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA