世界最大の時価総額企業からNTTは何故転落したのか?

新年号が発表され、平成という30年以上も続いた昭和の後の時代の先の時代が始まります。

あちこちで平成について振り返る特集が組まれていますが、私たちがやはり抑えておかなければならないのが平成30年間の世界と日本の変化だと考えています。

週刊ダイヤモンドがまとめた平成元年(1989)と平成30年7月の世界の時価総額ランキングの比較です。

平成元年は世界の時価総額上位10位内に日本企業が7社もランクインされており、50位内まで範囲を広げても32社は日本企業でした。

しかし30年後の平成30年7月時点において上位10位内に日本企業は見られず、50位内まで範囲を広げたとしても35位に日本最大企業トヨタ自動車がランクインするに留まっています。

巷で大手企業と呼ばれる企業でさえ、ランクインしておらず日本の大手企業の国際競争力が大きく逆転した事を物語っています。

平成元年のランクイン企業を見ると日本は銀行や証券・保険会社が15社と多くランクインしていたことが分かります。

平成30年では11社が金融業界でランクインしており、その殆どは米国と中国の企業です。米中が大きく躍進したと考えることもできる一方で、日本企業は何故一度は世界一の経済大国にまで上り詰めたのに、衰退してそして縮小していったのでしょうか?

当時世界最大の時価総額企業NTTの沿革

1868年(明治元年)、日本で電信事業が閣議決定され日本における通信事業が始まりました。翌年には東京-横浜間での電信サービス(電報をイメージすると想像しやすい)がスタートしました。

1876年(明治9年)、アメリカでグラハム・ベルによって電話機の発明がされると工部省は翌年には機械を輸入・解体して、国産の電話機開発に着手しました。

1890年(明治23年)に逓信省が東京-横浜間の電話による交換機通話を実現して、電信・電話は同省管轄の事業となりました。

逓信省は現在で言えば総務省に交通、郵便、電信・電話など幅広い分野を統括していました。

後にJRとなる国鉄や、日本郵便となる郵政事業、そして総務省が現在では管轄をしている放送(ラジオや後のNHK)と電話や電報などの通信(今で言えばインターネット)までカバーしていたとなりますから大変な組織です。

また米国で発明されたばかりの電話機を購入して解体、国産で作ろうという発想が種子島銃から続く日本の物作りの系譜を連想させますね。

約260年に渡る長い鎖国の時代、大きく開いた欧米諸国との近代化の差を早く埋めたいという機運が高まっていた事は想像に難くありません。

 

大平洋戦争敗戦、日本企業の取った復活計画

敗戦後GHQ統治下において基本的な仕組みは戦前と変わらずに戦後体制はスタートしました。通信のジャンルで大きく変わったのは郵政事業と電気通信事業へ分割された事を契機に1952年、郵政省の外郭団体、特殊法人としてNTTの前身となる日本電信電話公社が誕生した事でした。

当時の日本とアメリカの国力差は絶大で、近代化していく欧米の高額な通信機器の輸入をとてもではないが出来なかった日本は、明治時代にも一度通った道である国内での開発・基礎研究に邁進します。

http://www.ntt.co.jp/RD/organization/chronicle/index.html

 

ここで培った技術や基礎研究が高度経済成長期に日本の電子機器製造の大きな足がかりになっていきます。

例えばNTTに電話交換機などを提供した企業の中には今日のNECなどの復興・高度成長期に日本の情報産業を牽引した名門企業があります。

NTT純正や推奨の通信機器や電話機の中には今でもNEC製のものが少なくありませんね。

日本人の再現能力と仕組みを追及する勤勉さは京セラやソニーなどの戦後に誕生して飛躍的成長を遂げた姿とも重なります。

電電公社は郵便局(郵便貯金やかんぽ)という巨大なスポンサーによる支援を得て、世界でも革新的と呼ばれる通信技術を確立していきます。

1970-1980年代、民営化前後のNTT

1972年にジュネーブで開かれたCCITT(現ITU-T、国際電気通信連合)を契機にそれまでの電話は電話線、通信は通信線というアナログの概念から一本の線で電話も通信も担うデジタル通信の基本構想が発表されると日本でも電話回線のアナログからデジタルへの移行が進められました。

1977年に基本構想が発表されたISDN(日本ではINS)は1985年にドイツのシーメンス(ドイツ語発音でジーメンス)と古河電気工業による合弁会社として誕生した富士通(FU=古河電、JI=ジーメンスによる”通”信機器開発メーカー)によって実用試験が行われ、世界的にデジタル通信網が普及していきます。

後にインターネット黎明期と呼ばれる前の時代ですね。パソコン通信などが一部の人に注目されていた時代です。

http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h05/html/h05a01010100.html

総務省はこの時代、GNPが低下している中で大きな伸びを示している情報通信サービスの伸びに大きな期待をしていました。

以前は通信を行うと電話回線を占有してしまい通話ができませんでしたが、ISDNによって通信と通話の同時接続を実現しました。

また会社などの電話回線では同じ電話番号で通話中でも、他の回線からの着信を受けられるようになるなど利便性の向上に大きく寄与しました。

1985年(昭和60年)4月、日本電電公社からNTT東西へ分割民営化されます。(同時期に国鉄もJRへ民営化された)

1987年に上場。売り出し価格119万円は、わずか2カ月後に318万円の株価を付けて当調達資金2.3兆円。絶好調の日本企業の中においても突出した好調さを世界にアピールしました。(1987当時の営業利益は9,145億円)

全国に張り巡らされた電話回線網からの安定した固定収入と通話料による順調な収益。

この資金を元手にNTTグループは来たる情報化社会へのインフラ整備に本格的に乗り出します。

http://www.ntt.co.jp/about/pdf/10years_05.pdf

1990年代、インターネット普及期とNTTドコモの誕生

莫大な予算をかけて普及を目指していたデジタル通信網INS回線が全国に行き渡る前に世界ではブロードバンドと呼ばれる高速常時接続回線へ移行してしまい、NTTもまた既存の電話回線を流用して利用できるADSLへ大きく舵を切ることになりました。

当時はパソコンソフトの卸業を中心にしていた新興企業であったソフトバンクのYahoo!BBはNTTがADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line:非対称デジタル加入者線、上り下りの速度がアンバランス)普及に消極的だった機に乗じて街頭パラソル部隊でモデム配布による予約・囲い込み戦略を仕掛けられてNTTグループは後手に回ることになりました。

ADSLの次を見据えて光インターネット回線(FTTH)の敷設を急ピッチに2000年代初頭に行い、日本は世界で最も光インターネットの回線が普及した先進国となります。

 

少し時間軸が遡りますが、NTTは元国営であったために受ける規制”NTT法”(日本電信電話株式会社等に関する法律)によって新しい事業への進出に制限を受けていました。そこで子会社を設立してNTT法を回避、それまでNTT内で行ってきたポケットベルや自動車電話などの移動通信事業を移管することに動き出します。

1991年に前身となる「エヌ・ティ・ティ・移動通信企画株式会社」を設立。1992年に「エヌ・ティ・ティ移動通信網株式会社」と社名を変更しました。

ブランド名を「NTT DoCoMo」と名付けました。(会社名が株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモとなったのは2000年に入ってから)

NTT法という規制を受けないドコモはPHSや携帯電話の積極的な開発とエリア拡大によって急拡大をしていきます。

他方、NTT本体は固定電話から携帯電話への契約数の流出でその経営が危ぶまれるようになっていきます。

固定電話は当時、加入権と呼ばれる施設設置負担金を預かり金として電話回線を開通させることになっていましたが、携帯電話の普及によって加入権を持たなくても回線を開通させることが出来るように変更が求められ、高額だった電話加入権は無形資産から減価償却される資産へと変質しました。

それでもNTTは崩れゆく足元を固めるためにインターネット回線の普及を推し進め、パソコンの普及と並行して家電量販店などでの同時加入割引などを行い固定電話から減っていく収入を、インターネット回線の利用料として取り込む事に一応の成功を収めます。

世界初だったiモード成功に浮かれて海外進出するも輸出失敗

キャッチコピーは「話すケータイから、使うケータイへ」

1999年にサービスが開始された世界初のIP接続の携帯電話サービスiモード。

2.5世代と後に呼ばれるこのサービスの開発によってドコモはコンテンツビジネスという新しい収益の柱を手に入れつつありました。

 

ところがこのコンテンツサービスをまるごと海外でも展開しようと思いアメリカ、フランスの企業と提携をしようとしましたがうまくいきませんでした。

通信会社がサービスの主体を提供して、

それに対応する機種をメーカーが製造・販売をするというビジネスモデルは日本以外で展開されていませんでした。

あまりにも高機能な日本の携帯電話は高額で、通信会社が顧客を囲い込み、転出も少ない日本のビジネス環境だからこそ端末の普及があり、iモードの普及があったのでした。

海外ではナンバーポータビリティは当然で、通信会社は回線を提供するに留まり、高価な携帯端末を安く手に入れることのできない人々の方が大多数でした。

 

アメリカ、フランスへのiモード輸出の失敗によって「元国営企業の殿様商売では海外進出などうまくいくはずがない」と揶揄されました。

元国営企業だからうまく行かなかった面もあったと思いますが、文化的違いを理解していなかったことの方が大きな痛手だったと思います。

 

その後、NTT本体もクラウドサービス(米国ではセールスフォース・ドットコムがシェアを占めてしまった)の展開などで海外進出を目指しますが悉く失敗しています。

更にドコモを追い詰めたのが早過ぎたインターネット対応機種のリリースによって中途半端になってしまった

第3世代通信サービスへの移行でした。

FOMAと名付けられた通信サービスは

他社が展開するcdma系統のように前後の規格との互換性がなく、拡張によって第3世代通信規格を全国で低コストでサービスインできる他社と比べて劣後しました。

自社開発による規格をメーカーに卸してサービスを長年続けてきたNTTと、世界規格に準じて将来の規格への移行を見据えた企業との差によってドコモはこの後挽回までに相当な時間とコストを必要としました。

 

2007年、電話の再発明による革命

iPod、携帯電話、インターネット…一台で全てをカバーしてしまう携帯電話ではなく”スマートフォン”iPhoneの登場によって世界の最先端を行っていたドコモは一転窮地に追い込まれます。

英国ボーダーフォンから日本の通信業界の第三極を引き継いだソフトバンクはアップル社との独占販売を利用してシェアの急拡大を実現しました。

ソフトバンクより3年遅れでauが、更に2年遅れでドコモもiPhoneの販売を開始しました。

機種としての性能よりも、iPhoneの登場によって大きく変わったのが携帯電話の使い方の変化でした。

よく例えられるのが、Andoroidはパソコンを携帯電話の中に入れて

生み出された道具、iPhoneは”ライフスタイル”を提供するという違いです。

 

身近な例としてはAndoroidはOSのバージョンがメジャーアップデートされると一度ほどのアップデートにしか対応しません。

iPhoneは3〜4回のメジャーアップデートにも対応しており、動作の安定性やセキュリティ面での安定性があります。

決して安くはない端末を購入するにあたって2年ごとの買い替えを前提としているAndoroidに対して、最大4年程度の使用を暫定としているiPhone(バッテリー交換は自分でできないが)

かつて日本企業が世界を席巻し、またパソコンの延長線上にあるAndoroidと、スマートデバイスとして基礎から作り直したiPhoneではあらゆるシーンでのスタンスが大きく異なります。

また元ライブドア社長で日本のIT業界に限らず率直に意見を言う事で知名度のある堀江貴文氏は「スティーブ・ジョブズ最大の発明は

自社のスマートフォンを”iPhone”と名付けたこと」と話しています。

アンドロイド?スマートフォン?

高齢者などにとって耳慣れないコンピュータ同然のそれは心理的に操作の複雑そうなものという印象を与えてしまいます。

しかし”iPhone”はフォン(電話)ですから身近で使えるイメージを持ってもらえる。

実態としては持ち運べるパソコンと言っても良い性能のものですが、”iPhone”には”プライベートな電話”としての親しみがあると考えることができます。

近年は率直に言ってApp Storeでのアプリ検閲があるというセキュリティ面以外の面では、Andoroidとの差が急速に縮まった印象があります。

また中国との5G覇権争いでは自国のQualcommとの交渉決裂、EUにおけるデジタル課税の導入、対中貿易におけるファーウエイ孤立という圧力下においてiPhone最新機種(2019年秋モデル)は5Gサービス開始時に

非対応になりそうな気配が濃厚となってきてしまいました。

ただでさえ2018年秋モデルは想定よりも売らずに敬遠されて値下げをしたというのに、次の機種も期待できないとなると逆境と捉えられても仕方ありません。

この印象というのは思いの外重要で、日本の高機能なガラケーを高齢者が使おうとするとそれなりのハードルが高くなってしまいます。

説明書がなくても誰もが使い方を直感的に理解できるという点を含めて、Appleの戦略はこの10年見事にはまったと言えます。今後はわからないけれど。

世界の通信会社ランキング

フォーブスが2018年に発表している世界の企業ランキングでは次のような順位が付けられています。下記の順位は利益率を基準にしています。

通信会社としてのランキングで世界のトップ10位内に日本の3社が入っていますが、その順位は少し意外かもしれません。

1位 AT&T(米国)

売上高: 1590億ドル
利益:310億ドル(売上高に対する利益率19.4%)
資産: 4460億ドル
時価総額:1980億ドル
総合順位:15位

2位ベライゾン(米国)

売上高: 1280億ドル
利益:310億ドル (24.2%)
資産:2650億ドル
時価総額:2010億ドル
総合順位:18位

3位チャイナモバイル(中国)

売上高:1090億ドル
利益:170億ドル(15.5%)
資産:2340億ドル
時価総額:1930億ドル
総合順位:25位

4位ソフトバンク(日本)

売上高:830億ドル
利益:90億ドル(10.8%)
資産:2930億ドル
時価総額:850億ドル
総合順位:39位

5位NTT(日本)

売上高:1050億ドル
利益:80億ドル(7.6%)
資産:1910億ドル
時価総額:960億ドル
総合順位:46位

6位ドイツテレコム(独国)

売上高:850億ドル
利益:40億ドル(4.7%)
資産:1790億ドル
時価総額:810億ドル
総合順位:79位

7位テレフォニカ(スペイン)

売上高:600億ドル
利益:30億ドル(5%)
資産:1410億ドル
時価総額:510億ドル
総合順位:123位

8位KDDI(日本)

売上高:450億ドル
利益:50億ドル(11.1%)
資産:620億ドル
時価総額:660億ドル
総合順位:144位

9位チャイナテレコム(中国)

売上高:540億ドル
利益:30億ドル(5.5%)
資産:1020億ドル
時価総額:390億ドル
総合順位:174位

10位オレンジ(仏国)

売上高:460億ドル
利益:20億ドル(4.3%)
資産:1160億ドル
時価総額:480億ドル
総合順位:192位

https://forbesjapan.com/articles/detail/21501/1/1/1

日本の通信会社は経営規模が大きく世界でも同業者と比べて順位は総じて高い傾向にありますが、AT&T(電話を発明したグラハム・ベルが設立した会社を母体としている)やベライゾンなど世界の上位に位置する企業の

利益率はNTTの2倍近くで、ソフトバンクやKDDIの利益率は海外企業と比べても拮抗する水準に近いと言えます。

これは自社開発を引きずっているためのコスト高から来る面と、収益性が悪化している固定回線や公衆電話の維持などに費用を大きく割かれているためです。

 

世界的に光インターネットが国内に敷設されている先進国は日本・韓国くらい

都市部を除き国中に光インターネット回線が広く引かれている先進国は日本くらいです。アメリカやロシアのように国土の広い国では光インターネットの敷設に時間もコストもかかるため、主要な幹線道路までしか光インターネットが来ておらず「ラスト1マイル」と呼ばれるそこから自宅までの回線をどのようにして開通させるかが2000年代には取り上げられていました。

結果的に言えば電話会社の光インターネットではなく、ケーブルテレビに加入しているユーザーがそのままケーブルテレビの高速インターネット回線を利用することが主流となり、そうこうしているうちに4G、そして間も無く始まる5Gと携帯電話基地局を用いた通信技術の進歩に追いつかれてしまいました。

しかも固定回線の設置にコストをかけすぎる前に、携帯電話による通信が十分な高速化をしたためにフロッグジャンプ(カエル跳び)が途上国以外の先進国でも起こりました。

日本は資産でもあり武器にもなる光インターネット回線の維持に今後どれくらいのコストをかけ続けるのかを真剣に考えていかなければなりません。

海外企業買収が全失敗だった訳ではない遅い改革途上のNTT

持てる資産をフル活用して海外企業の買収を急ぐNTTグループは、2025年までに海外比率60%という壮大な改革の只中にあります。

グラフから読み取れるように2005年度から急速に海外企業の買収によって収益構造が変化してきているのが分かります。

一方で気がかりなのが隣接業界への偏在です。

IT業界はたしかに今は絶好調ですが、中長期的な視点ではどうでしょうか?

 

様々な収益の柱を育てる上ではあまり隣接業界での多角化は影響を受けやすいことを考えると分散効果としては薄いのではないでしょうか。

そうしたことを経営陣らも考えての買収でしたが、戦略としての国際物流の強化や異業種であった不動産業への進出はあながち間違いではなかったとも言えます。

交渉のツメの甘さや合併後にハンドリングがきちんとできる術についてはたらればになってしまいますが、変化を続けていけば将来的にアメリカのGEのように祖業から大きく変化した業態で生き残るなんて事も可能かもしれません。

※GE(ゼネラル・エレクトリック社)はトーマス・エジソンが創業した研究所が母体となった会社です。主要4ジャンルに軸足を置きながら世界一とも呼ばれる多角経営で現在も時代の変化に対応するために変わり続けている企業です。

1)
風力発電、原子力発電、 石炭発電、 石油&ガス、 太陽光発電、水力発電などの関連ビジネスを行うGEエナジー・インフラストラクチャ事業部門

(2)
家電製品・照明機器、産業機械・重電・電機機器・電気部品・電子部品・電子機器・制御機器・配電盤・発電設備・モーターなどの製造ビジネスを行うGEコンシューマー&インダストリアル事業部門

(3)
鉄道・医療機器・航空機エンジン・IT関連ビジネスを行うGEテクノロジー・インフラストラクチャ事業部門

(4)
航空機リース・事業者金融・消費者金融などからなるGEキャピタル部門

このような複合企業をコングロマリットと呼びます。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1059_19.pdf

GEの市場評価は決して今日高いとは言えませんが、市場の変化に対応して高い収益構造を維持している点で多角経営の代名詞とも呼べます。

またGEを参考にして変化を続けている企業の中には日本の日立電機のような企業もあります。

日本企業とGEの最大の違いは決定スピードの速さだと言えます。

※そのGE自体も大きすぎるが故に構造改革が後手になり、ダウ工業平均から近年は外されるまでになりましたが。

スピード感のある方決定を進めるのは強力なリーダーシップを発揮する経営者の有無です。日本の企業にはなかなかそういった人物が少ない事も大きな課題と言えるでしょう。

同じ轍を踏むNTTと日本郵政の買収失敗劇

近年、国営から民営化されてNTTと同じように企業の買収を立て続けに行おうとして失敗を続けているのが日本郵政です。

パソコンやスマートフォンなどの普及に伴って、全国に一律のサービスを提供する需要とコストのバランスによってその収益性に陰りが出始めています。

建前としては国営企業による無駄を、民営化されることで解消して収益の出る企業にする事ですが、実際には収益の縮小していく事業を国費から切り離したいという思惑です。

電電公社が民営化されてNTTになった事でドコモのような新しいサービスが花開いたように、日本郵政も民営化によって新しい収益の柱を育てることが強く求められていました。

2015年に6200億円で買収した豪州の国際物流会社トール・ホールディングスは4000億円の減損で買収が失敗に終わり、

国際物流事業強化のための買収は夢に終わりました。

 

2017年には野村不動産の買収を検討します

郵便、銀行、保険会社という現在の三つの柱が崩れる前に4つ目の柱を立てて盤石にしたいという狙いだったと思われますが、交渉は決裂に終わりました。

日本郵政は金融事業(銀行・保険)で稼いだ収益を、赤字の郵便事業の補填によって維持してきました。しかし近年の低金利によって金融事業も収益が悪化。期待の新規事業として申請した住宅ローンの取り扱いは実現せず。

次こそはと手を出したのが野村不動産だったという事になります。

 

何故、元国営企業は買収に失敗するのでしょうか?

NTTと日本郵政という業界が異なっても経営者の感覚に私は原因があると考えています。

黙っていれば給与がもらえて、ボーナスが出る。

そんな企業で働いてきた人が、収益を上げるために日々努力している民間の企業の人とうまくやっていけるでしょうか?

いわば親の七光りで出世したが、親の威光がなくなれば何もできない企業に成り下がった…それが日本郵政の現状です。

日本郵

 

日本郵政は現在も総務省が大株主となり、

2018年9月時点の公表で56%以上を国や自治体が持っています。

 

NTTが元国営という事でNTT法なる規制を受けて新たな収益を模索することが続きましたが、日本郵政も銀行としては貯金限度額1,300万円まで。住宅ローンなどの融資は取扱えず、稼ぎ頭のかんぽ生命は年々その収益を悪化させてきています。

提携先であるがん保険のパイオニア”アフラック”を三度目の正直で買収しようとしていますが果たしてどうなるでしょうか。

 

国営企業体質からの脱却、NTTも日本郵政も異業種進出が不可欠

NTTは通信、日本郵政は郵便・銀行・保険というこれまでのビジネスを土台とした多角化だけではもはや時代の変化に対応できないというのが実情ではないでしょうか。

自社のリソースがどのような発展性を持っていて、それを応用する事で何が出来るのか。

斜陽産業と呼ばれながらも見事に新たな収益の柱を育てる事に成功した企業が日本にはあります。

イノベーター(異端者)とも呼ばれる革命家のような経営者がNTTや日本郵政のトップに立てば、持てる資源やリソースを新たな収益の柱に育てる事ができるかもしれません。

最も利権の問題で海外の通信会社のようにテレビなどの放送業界へ進出をしようとするとN◯Kのような団体が文句を言い始めますから、NTTと合併をすれば強大な企業に生まれ変わるかもしれませんね。

 

テレビ(放送)とネット(通信)の融合ってそういえば誰かも言って騒いで、いつのまにか潰されてしまいましたね。

あの時、黙ってライブドアと一緒になっていればHuluやNetflixが現在抑えてしまったポジションには日本企業がいたはずだったのですが。

今となっては遅すぎた話ですね。(いちいち利権を守ろうとして後手に回る日本企業の典型的なパターンです)

記者会見にTシャツ姿で登場して社会常識がないと喚かれ、

誰かの足の引っ張り合いをして罪なき罪で収監までされて…

こんな国では米国のように世界を変える企業が生まれるはずないのです。

世間の言う”常識”って何のためにあるのでしょうか。

誰にとっての”常識”なのでしょうか。

NTTや日本郵政に限らず資金力があるというのは才能があるのと同じくらい強いはずなのに、あぐらをかいて努力をせず、衰退の一途を辿る…そんなスポーツにも似た現象が平成も終わろうとしているのに

日本企業には未だ呪縛のように蔓延しています。

 

 

 

 

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