国税庁によるプラチナ・ショック発動、大手生保が全損節税保険を即日販売停止へ!

昨年夏頃から動いていた国税庁と金融庁、生命保険各社の全損定期保険の経理処理についての鍔迫り合いに大きな動きがありました。

2月13日に日本生命・第一生命(ネオファースト・フロンティア含)・明治安田生命・住友生命ら国内主要4社が音頭をとって生保各社が集まり「保険税務研究会」という国税庁の顔色を伺っての会議(談合)を行いました。

この保険税務研究会は保険会社の首脳陣らによる自主的な集まりなのですが、昨年夏の指摘から金融庁・国税庁の顔色を伺いながら話し合う場。

これ以上、国税と対立していては法人契約だけでなく一時払を含めた様々な保険税務にまで影響が出かねないと判断したのかもしれません。

“返戻率50%以上の法人契約を即日販売停止”というかなり大きな決断をしました。

3月決算の企業が日本は多いので、その前に動きましたね。今年の決算は節税させないぞという国税庁の宣戦布告です。

返戻率50%以上っていつ時点の話か判然としませんが、ピーク返戻率とすればほぼほぼ全ての法人契約商品(医療・ガン保険以外)全部という範囲のようです。

これに倣って大手以外の保険各社も販売停止に向けて動き始めました。

ここまで保険各社が足並みをそろえたのは久しぶりです。(10年に一度くらいこういうことがある)

法人税基本通達変更されれば損金参入の根拠が将来に向けても全て崩壊する

大手生保各社が足並みをそろえて即日販売停止に踏み切ったのは法人契約の損金算入の根拠である法人税基本通達9-3-5そのものを国税庁は変更することを匂わせたためとされています。

変更されることは即ち問題となっているプラチナ系保険だけでなく、全ての法人保険の税務に影響を与えます。

法人税基本通達9-3-5とは?

“9-3-5 法人が、自己を契約者とし、役員又は使用人(これらの者の親族を含む。)を被保険者とする定期保険(一定期間内における被保険者の死亡を保険事故とする生命保険をいい、傷害特約等の特約が付されているものを含む。以下9-3-7までにおいて同じ。)に加入してその保険料を支払った場合には、その支払った保険料の額(傷害特約等の特約に係る保険料の額を除く。)については、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次により取り扱うものとする。(昭55年直法2-15「十三」により追加、昭59年直法2-3「五」により改正)

(1) 死亡保険金の受取人が当該法人である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。

(2) 死亡保険金の受取人が被保険者の遺族である場合 その支払った保険料の額は、期間の経過に応じて損金の額に算入する。ただし、役員又は部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む。)のみを被保険者としている場合には、当該保険料の額は、当該役員又は使用人に対する給与とする。”

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm

法人契約の保険契約は保険会社にとって単価が高く、世の中から効率良く資金を集めるにはうってつけの商品でした。

保険会社にとって美味しい商品ですが、契約をする会社経営者にとっても苦労して稼いだ利益を繰り延べでき、受取時に退職金や設備投資など使い道を考えておけば課税されることを抑えたり、避けたりできるために魅力的でした。

保険を提案する保険募集人にとっても報酬を得られる機会となり、三方良しでした。

 

一方で国税庁からすれば取れるところから取りたい税金ですから、こんな事をされては税収が減ってしまいます。激おこプンプン丸になるのは分からないでもないですが。

大手各社は空気を読みました。居を正して、従う姿勢を示しました。忖度という奴ですね。

国の税制は取れる所から取るという点において消費増税などを含め社会の実情とかけ離れています。

会社経営者からすれば苦労している時に国は何もしないのに、やっと得られた利益を国は易々と課税して持っていきます。

従業員を雇えば給与だけでなく社会保険料の負担も強いられ、従業員の雇用を守るためにも企業は内部留保を確保していざという時に備えておく必要があります。

そういった需要とも損金算入の法人保険は合致した面もあります。

国税庁は税収のためにどこまで暴君になれるのでしょうか。

その見返りはあるのでしょうか。(消費増税凍結?)

販売停止?空気を読む?そんなの関係ねぇ…って会社もある

“納税は義務”や“空気を読もう”と足並みをそろえた各社とスタンスがいつも違うのがオランダ系資本のNN生命と、カナダ系資本のマニュライフ生命です。

これらの会社は元々法人保険商品に強く、また過去の低解約返戻金型の逓増定期保険(名義変更プラン)全損禁止時も最後の最後まで保険各社の足並みを無視しました。

結果、当時は駆け込み需要を取り込むことに成功してシェアを拡大し現在の基礎を作りました。

 

マニュライフは年払の途中解約したら月払に按分し直して返金する保険業法改正についても今でも無視していますね。契約時に確認書が必要なのでご存知の方もいらっしゃるでしょうけれど。

対応を決めかねている会社も只今協議中

即日とまでは行かないまでも2月20日まで、2月26日着金分までなど各社申し込み期限を設けている会社もあります。

空気を読まない会社があると国税庁がまた激おこプンプン丸になる可能性がありますから、注意が必要です。

マニュライフ生命は4月より料率改定を以前から表明しており、かなりグレーな所を踏み込んできました。

可哀想なのは3月からプラチナ系を販売予定だったFWD富士や、昨年秋の販売延期をしてやっとこさ2月に販売にこぎつけたオリックス生命です。

ソニー生命も1月から災害保障付定期保険を販売開始したばかりですし、今後の展開に注目ですね。

気になるこれまでの損金契約への遡求はありえるのか?

私が国税庁のトップなら過去へ遡求して保険業界の息の根を止めます。

二度と逆らえないようにどちらが主導権を握っているか世間に知らしめます。

日本の保険会社の統廃合が一気に進むでしょう。半分くらいにはなるでしょうか。

しかし現在の国税庁にそんな恐ろしいことを決断する胆力があるとは思えません。

そんな確率はゼロとは言い切れませんが、そんなことやったら保険会社と国税や金融庁などにも死人が出る可能性があります。

最も可能性があるのはプラチナ系(災害保障付定期保険)だけ一定の日にちで区切り、以降の契約日からは損金を認めないか1/4などの経理処理をさせる案です。

ちなみに約10年ほど前に一度だけ過去の契約にまで遡って経理処理をやり直させた長期傷害保険特約の否認という大事件がありました。

契約者が慌てて早期解約をすることで、担当者に早期消滅のペナルティ(戻入)が発生して数千万円の保険会社からの損失補てんを保険募集人は背負わされ、夜逃げした人が全国にいました。

今回は市場が当時よりも拡大しているため、遡求される範囲にもよりますがもし実施されればそれ以上の被害・犠牲が出ることも考えられます。通勤時間帯の電車が各地で止まるかもしれません。

以下に私が考える今後の展開を確率別に記載します。ざっくりですが、また情報が入りましたら適時新しい記事で更新していきたいと思います。

私が考える確率 取り扱い
40% プラチナ系全損は通達発表後の契約日以降の算入不可に。

プラチナ系半損を始めその他の法人保険税務はそのまま。

30% これまでの損金についてプラチナ系全損だけ全て否認、過去の契約にも遡求して課税やり直し。プラチナ系半損は先送り。

今後の保険料についてプラチナ系は全損も半損も通達発表後の契約は新通達適用。

その他の法人保険税務は今まで通り。

 

20% 全てのプラチナ系を否認して過去の契約も遡求。

その他の法人保険税務は今まで通り。

 

10% 損金算入の全ての法人保険契約の過去への遡求で否認。

新通達適用で、再スタート。(保険業界大混乱と統廃合進む最悪のパターン)

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