米国IFAチャネルの躍進と現状

大手企業の粉飾決算、大手金融の破綻による金融不審

アメリカでは2000年のITバブル(ドットコムバブル)が崩壊すると、

大手企業の粉飾決算などが露呈しました。

その代表格が2000年代初頭に起きたエンロン事件でした。

電気、ガス、パイプラインなど社会的インフラを総合的に扱っていたエンロンは米国有数の優良企業と言われていました。90年代半ばにはブロードバンドのインフラ整備、デリバティブ取引も扱っていた多角的企業です。

しかし2001年、ウォールストリートジャーナルによってその不正会計が取り上げられると1980年代後半から行われてきた粉飾決算、利益の水増し、インサイダー取引などが次々に明らかとなり、株価は急落。

わずか二か月ともたず、当時のアメリカ史上最大の破綻となりました。

この破綻の教訓としてSOX法が誕生した事は日本にも影響を与えています。

(しかし法整備がされるまでの間に同様の粉飾決算としてライブドア、オリンパス、東芝などが発覚してしまう)

 

エンロン破綻のショックから立ち直りつつあった2007年リーマンブラザーズが破綻。アメリカ大手の保険会社AIGが窮地に追い込まれ破綻をするなど大手企業、特に証券市場にまつわる不祥事が相次ぎ、個人投資家の流れが大手金融機関からインターネットなどを介する新しい手法へと移行が促されました。

 

手数料自由化の波に乗った証券業界の寵児

この流れに乗ったのがアメリカ証券業界第四位(ネット証券では一位)、

インターネット証券のチャールズ・シュワブ・コーポレーションです。

※USスチール創業者に同名の実業家がいますが、同姓同名の別人が創業者です。

1975年、株式手数料の自由化がいち早く起きた米国で手数料を安くして株式の売買を積極的に行うディスカウント・ブローカーの先駆けとして創業。

個々の顧客への説明を行うのではなくセミナーを開催して、そこで勧誘を行う手法を用いて爆発的に口座開設を促しました。

会社独自に顧客から資金を募り運用するファンドを立ち上げたり、24時間年中無休の取引を可能にするなど既存の証券業界の慣習にとらわれない手法で顧客を増やしていきました。

1996年にインターネット取引をはじめると、瞬く間に証券業界の上位に入ったのです。

2007年、アメリカのIFAにあたる独立系登録投資顧問事業者(RIA)ではシェア25%を占める巨大証券となりました。

インターネット証券を活用した対面販売RIAモデル

米国版IFAであるRIA(Registered Investment Advisor)の特徴はこれまでの金融業界の常識であった販売手数料方式(コミッション)から預かり資産残高によるフィーを徴収する成果主義への移行です。

日経新聞『米欧で進む投信販売改革 日本は周回遅れ』

大きなお金を預けてもらうだけで手数料を得る方法ではなく、顧客が資産運用の結果増えた資産からその報酬を受け取る方式への転換は調査が始まったとされる2008年以降右肩上がりで成長しており、米国における資産運用・投資における約40%を占めるまでになっています。

 

2015年、銀行や証券・保険会社などの金融機関所属(直販)のエージェントとRIAの比率は逆転したとされています。

これは直販エージェントの数が減ったわけではなく、直販からRIAへポジションを変えるエージェントが増えているためと言われています。

独立系アドバイザーから見た米国の個人向け証券市場
-2009年1月のチャールズ・シュワブ調査より-

明暗の別れた米国証券市場におけるIFA獲得数

 

日本でも定着するかIFAモデル

金融庁がここ数年、積極的に金融業界の改革に乗り出しています。

特に「顧客本位」を旗印として各金融機関に要請しているフィデューシャリーデューティー(FD)を実現するために意欲的です。

2018年1月から始まる『積立NISA』に関しても金融庁主導による、日本の投資信託革命が本気であることが伺えます。

またその推進に金融庁はIFAで先行する米英にそのビジネスモデルの調査を指示しています。

金融庁がIFA育成に本腰 利益相反抑え、積み立て促進狙う

 

現在、日本のIFAは個人/法人によってその登録金融機関が異なる傾向にあります。

主な金融商品仲介業者 法人 個人 合計
エース証券 133 249 382
SBI証券 170 1 171
三菱UFJモルガンスタンレー証券 76 10 86
PWM証券 73 13 86
高木証券 24 18 42
楽天証券 63 0 63
証券ジャパン 37 7 44
あかつき証券 35 17 52
日産証券 30 12 42
スーパーファンド証券 21 10 31
藍澤証券 26 0 26
リーディング証券 0 4 4
ヤマゲン証券 0 8 8
ニュース証券 0 1 1

2017年1月末時点

 

来年始まる『積立NISA』が本格的に普及するために日本でのIFA育成が急務となっています。

次回は積立NISAで中心となる金融商品「投資信託」とその課題についてご紹介していきます。

 

 

 

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